【事例7選】建築家が考える間取りアイデア集|間取りを依頼する際の4つのポイント
注文住宅を建てるときに、最も頭を抱えるのは「間取り」の設計ではないでしょうか。家族で快適に暮らすためには、どのような間取りを取り入れればいいのか、部屋の配置はどうしたらいいのかなど悩むポイントは多いはず。
そこでこの記事では、建築家が考える間取りのアイデアを 7 つの実例を交えてご紹介します。さらに実際に建築家に依頼するときのポイントも解説しているので、これから注文住宅を建てる人はぜひ参考にしてみてください。
最後まで読み終わるころには、これから建てる住宅に取り入れる理想の間取りが具体的にイメージできていることでしょう。
1. 建築家が考えるおしゃれな間取りアイデア集
はじめに、建築家が考えるおしゃれな間取りアイデアを 8 つご紹介します。定番から最近流行っている間取りまで、建築家のセンスあふれる贅沢な間取りの特徴を解説していくため、これから住宅を建てる人はぜひ参考にしてみてください。
自分に合った建築家と話がしてみたい・良い設計事務所を紹介してみてほしいという方は、タイテルの建築家紹介 も便利です。
1-1. 開放感あふれる「吹き抜け」
高級感あふれる住宅に欠かせない「吹き抜け」は、建築家が考えるおしゃれな間取りの代表格です。空間に開放感を与え、上からの採光性や風通しをよくする効果があります。日当たりが良くないといった問題を抱えていたとしても、吹き抜けを作ることで日差しが降り注ぐ明るい部屋を作れます。
さらに家族との距離が近くなることも吹き抜けの特徴です。 1 階と 2 階の仕切りがなく、一体化した吹き抜けを設ければ、違う階にいたとしても家族の存在を近くに感じられる家となります。
1-2. 高天井を利用した「ロフト」
通常の規格よりも高い位置に設計する天井を「高天井」といいます。そして高天井を作れば、さまざまな用途に活用できる「ロフト」を設けられ、周囲と一線を画すようなおしゃれな間取りが作れるため人気の間取りです。
ロフトは、ちょっとした収納スペースにできたり来客用の寝室にしたりと、さまざまな用途で活用できます。さらに狭い土地で空間を有効活用したいときにもおすすめです。高天井にすると採光性も確保しやすくなるため、室内・ロフトともに明るい印象に仕上げられるでしょう。
1-3. 家族みんなが集まる「LDK」
一日のうちで、最も長い時間を過ごすであろう「 LDK 」は、家族みんなが集まりたくなるような広くて過ごしやすい空間。
ひと昔前までは、キッチンが独立した間取りや、リビングとダイニングを仕切りで分けた間取りが一般的でした。しかし今では、リビング・ダイニング・キッチンが一体となった LDK の間取りが主流です。
家族同士のつながりも感じやすく、明るく開放的な空間となるため、多くの建築家が提案する間取りの一つなのです。
1-4. 高級感を楽しめる「リビング階段」
高級感あふれる家にしたいといった希望があるお客さまには、「リビング階段」を提案するケースも多いでしょう。吹き抜けとの相性も抜群で、組み合わせて取り入れるとより一層ゴージャスな家に近づきます。
とくに家具が少ない家ではリビング階段の存在感が際立ち、シンプルかつ高級感のある雰囲気を演出できるでしょう。
また家族とのコミュニケーションが取りやすくなる点も魅力です。外に出るときや自室に行くときは必ずリビングを通るようになるため、必然的に家族同士で顔を合わせる機会が増えます。
1-5. 空間をフル活用できる「スキップフロア」
縦の広がりに着目した「スキップフロア」は最近人気の間取りです。 1 つの階層に複数の高さの床が設けられ、用途に応じて使い分けられます。
スキップフロアは、通常の部屋のように壁でしっかり仕切るのではありません。階段でつないで柔らかく空間を分けるため、開放感を味わいながら家族とのコミュニケーションも取りやすい間取りなのです。この空間を縦に切り分ける斬新なアイデアは、若い世代を中心に人気を集めています。
一方でスキップフロアを多用すると階段が多くなってしまうため、小さなお子さまや高齢者と一緒に住む場合には注意が必要です。この場合、階段の幅を広く設定したりステップ数が少なくなるよう配慮したりと工夫しましょう。
1-6. 四季を切り取るスクリーンになる「大開口」
リビングや寝室など、お気に入りの空間に「大開口」を取り入れると、四季を切り取る特別な大スクリーンが完成します。
大開口とは、室内から屋外につながる開口部を大きくとった間取りで、ダイナミックな印象を与えられると人気を集めています。さらに室内から大開口を通して見える風景にまでこだわって設置すると、より魅力的な居住空間となるでしょう。
注意点としては、日差しが強い日には室内の気温が上がりやすく、逆に寒い日にはすきま風が入りやすい点が挙げられます。対策をしなければ「暑くて寒い家」になってしまうのです。そのため軒を深く設計して影を作ったり、複層ガラスを取り入れたりして室温調節がしやすいように工夫すると良いでしょう。
1-7. プライバシーを保護できる「中庭」
「中庭」は、都心部などの住宅街でプライバシーを保護しながら快適に暮らしたい場合に人気の間取りです。
通常、周囲の家同士の距離が近い住宅街では、外からの目線が気になってしまいます。しかし中庭に面する窓なら第三者からの視線を気にせず、カーテンや窓を開け放てます。ロの字型の中庭なら、小さなお子さまだけで遊んでいても安心して見守れる点も魅力でしょう。
さらに真上からの光を取り込めるため、中庭に面する室内の採光性を確保できます。日当たりを確保しにくいこともある平屋とも相性抜群です。
1-8. 中と外を緩やかにつなげる「ウッドデッキ・テラス」
「ウッドデッキ・テラス」は、中と外を緩やかにつなげて開放感のある空間を作る効果があります。加えてアウトドアリビングとして空間を1つ増やせる点も魅力です。
ウッドデッキやテラスを設ける場合には、家族で休日のお昼をゆっくり過ごせるような広さを確保したり、日差しを避けられる屋根付きに仕上げたりすると良いでしょう。また洗濯物を干すスペースとして活用するなら、ランドリールームから近い位置に配置すると家事動線が楽になります。
ただし屋外に設置していることから、きれいな状態を保つには定期的なメンテナンスが必要となることを理解しておきましょう。
2. 建築家に間取りを依頼するときのポイント 5 つ
ここでは、建築家に間取りを依頼するときに考慮すべき 5 つのポイントをご紹介します。
建築家は依頼主の希望を第一に考えるため、理想の家を建てるにはしっかりとイメージを伝えることが重要です。以下のポイントを押さえて、希望に沿った家を建てましょう。
2-1. 家事動線を徹底的に考える
まずは今後何年、何十年と暮らす家であるからこそ、効率的な家事動線を徹底して考えましょう。
たとえば洗濯機がある場所と洗濯物を干す場所が離れていると、洗濯物を持ったまま移動しなければならず大変です。この場合、ランドリールームを大きく設計して、洗濯物を出したらそのまま干せるような間取りを考えると効率的でしょう。乾いた洗濯物をランドリールーム内で畳めるようなスペースがあるとさらに便利です。
家事動線は、なるべく短く済ませるように設計してもらうのがポイントです。家族だけで考えるのが難しい場合は、建築家に相談して実例を教えてもらいながら考えていきましょう。
2-2. 収納スペースも十分にとる
家のデザインをおしゃれにしてもらうだけではなく、収納スペースも多めに設計してもらいましょう。
長く暮らすには収納スペースの量も非常に大切です。「今は夫婦 2 人だから少ない収納で十分」と考えていても、家族が増えたり来客が多くなったりすると自然とものは増えていきます。たとえば夫婦 2 人だとしても、今後サイクリングやキャンプなどのアウトドアな趣味が増えて、ものが増える可能性もあるでしょう。
限られた空間でも収納を増やすには、以下の方法があります。
- ロフトを作って大きい荷物の収納スペースとする
- キッチンにパントリーを設置する
- 階段下収納を作る
- 床下収納を作る
収納が少ないと、ものが収まりきらずに理想の家とは程遠い、散らかった家になってしまう可能性があります。あとから後悔しないよう、設計段階で収納スペースは十分に確保しておきましょう。
2-3. 自分のイメージを写真で伝える
建築家に依頼するときは、自分が惹かれる事例写真をたくさん集めて「このような感じで」と見せながら説明すると伝わりやすくなります。
写真は、本や SNS でピックアップしたり、担当の設計事務所の過去の事例から選んだりして探しましょう。また本サイトでも建築家が設計した住宅の実例を多数ご紹介しています。こうした Web ページを見せながらイメージを伝えることも可能です。
建築家とのイメージのすり合わせは、理想の間取りを作るために非常に重要です。「思っていたのと違った」とならないよう、写真を用意して視覚的にしっかりと伝えましょう。
2-4. 長期的な暮らしを想像して間取りを考える
建築家に間取りの考案を依頼するときには、長期的な暮らしを想像しましょう。ついつい現在の暮らしを中心に考えて、今の快適性を考えた間取りを採用しがちです。しかし今後何十年と暮らしていく家ですから、家族が増えたり体力が落ちたりしたときのことまで考えた設計が重要といえます。
たとえば夫婦 2 人のうちは大きな部屋が一つあれば問題はありません。しかし子どもが生まれて大きくなったら部屋数が足りなくなる可能性もあります。将来的に部屋を 2 つに仕切れるように、窓や扉の位置を考えて設計してもらうと良いでしょう。
現在だけを中心にするのではなく、長いライフスタイルを見据えて、長く暮らしたくなる快適な家を目指しましょう。
2-5. 子どもの目線でも間取りを考える
子どもがいるご家庭は、子どもの目線でも間取りを考えてみてください。これまでは気が付かなかった改善点や工夫点が見えてきます。
たとえばリビング付近に小上がりで子どもが勉強するスペースなどを設ければ、すぐに様子を見てあげられるうえに、親子のコミュニケーションも図れます。またおもちゃなどで遊んだあとは子どもが自分から片付けられるように、低い位置に造作収納を作るのも良いでしょう。
家族みんなが住みやすい空間にするためには、子どもの目線になって考えてみることも大切なのです。
3. 建築家にトータルコーディネートを依頼してみよう
「自分で考えるのは難しくて大変」と感じる場合には、建築家にトータルコーディネートを依頼してみましょう。トータルコーディネートを依頼すると、外観や室内はもちろんのこと、エクステリアや造作家具の配置まですべて建築家にお任せできます。
建築家は、長年にわたり培ってきた優れた技術と経験で、依頼主の理想の家を建てるプロです。「家族みんなが集まるような家にしたい」「開放感あふれる家にしたい」といった理想を伝えたら、その理想を叶えられるようにコーディネートしてくれます。
自分ですべての組み合わせを考えるのは、非常に骨が折れる工程です。最短で希望通りの家を建てたい人は、建築のプロにトータルコーディネートを依頼してみてください。
4. 建築家に注文住宅を依頼するときによくある Q & A
ここからは、建築家に注文住宅を依頼するときによくある Q & A をご紹介します。
4-1. 建築家に依頼する費用っていくらなの?
建築家に注文住宅を依頼した場合の費用は、工事費の「約 10 ~ 20 %」が設計料として計算されるケースが多いです。
たとえば、工事費が 3,000 万円、設計料が 15 %と仮定して計算してみましょう。
・工事費 3,000 万円 × 設計料 15 % = 設計費 450 万円
・実際の総工費 = 3,000 万円 + 450 万円 = 3,450 万円
設計料は国土交通省告示第15号に記載されている計算式で算出するのが基本ですが、そのとおりに計算すると高額になってしまうケースが多くあります。そのため多くの設計事務所では、だいたい上記の設計料で設定しているのです。
設計料について詳しく知りたい人は、下記の記事で詳しくご説明していますのでご覧ください。
設計料(設計監理料)とは? 一般的な相場や算出方法を解説4-2. 狭小住宅でも請け負ってくれる?
狭小住宅の依頼も、もちろん可能です。むしろ予算が限られている狭小住宅だからこそ、建築家や設計事務所に依頼することをおすすめします。なぜなら規定の資材やデザインに縛られない自由な設計により、予算内でおしゃれな住宅を仕上げてくれるためです。
たとえばハウスメーカーに依頼した場合は、決められた規格内の資材しか使えないため、デッドスペースが生まれてしまうケースもあります。一方で建築家に決められた規格はありません。そのため空間を有効活用した家作りが可能なのです。
狭小住宅のように、限られた空間・予算で理想の家を建てたい人こそ建築家に依頼することを検討してみましょう。
5. 建築家が考えた住宅の間取り 7 選
最後に、建築家が考えた住宅の間取りを 7 つご紹介します。プロならではのおしゃれな実例を参考に、ご自身が満足する家を考えていきましょう。
5-1. 広いワンルームに出現したキューブ
こちらはマンションの一室をリノベーションした実例です。家族のつながりを感じられる広々とした LDK 。その真ん中に、空間の仕切りともなる木製キューブを配置しています。
このキューブはさまざまな役割をになっており、間仕切りとしてだけではなく、クローゼットやダイニングテーブルとしても活躍します。独創的なアイデアで、まさにプロのなせる技といえるでしょう。
5-2. 日の光がさんさんと降り注ぐ至高のリラックススペース
東京都の住宅街に建てられたこちらは、温かく心地よい日の光がさんさんと降り注ぐテラスを設計しています。屋外用のチェアやテーブルをセットし、周囲には癒し効果のある植物を配置。
日中はゆったりと読書をしたり、夜はコーヒーを飲みながら星空を眺めたり、自分の好きなときに好きなように使えるリラックススペースとなっています。
5-3. 迫力のあるらせん階段が中心となった家
1 階は和食店、 2 ~ 4 階が個人住宅の一風変わったこちらの住宅。建物全体を大きく貫くように設計されたらせん階段は、独創性があり唯一無二のデザインといえます。
全体的に打ちっぱなしコンクリートをメインとして、無機質な印象を与えているのも特徴です。冷たい印象に偏りすぎないように、家具などのアイテムで温かみをプラスしています。
5-4. 高級感溢れるモダンなリビング
東京都の広尾にそびえ立つこちらの邸宅。スタイリッシュな小窓や間接照明を使いながら、全体的にシンプルモダンなスタイルでコーディネートしています。
また車を 2 台所有しているお客さまだったため、 1 階部分にはガレージを設計。木製のシャッターを用い、おしゃれにまとめ上げています。
5-5. カーブする壁によって家族が柔らかくつながる家
各部屋を仕切る壁が、美しい曲線を描いているこちらの住宅。直線的な壁よりも優しい雰囲気となり、家族同士を柔らかくつないでくれます。
またフローリングや壁などでは、ナチュラルな印象を楽しめる無垢材をふんだんに使用。カーブした壁と相まって、時間を忘れてリラックスできるような空間となっています。
5-6. 書斎としても役立つロフトがある家
異なる 5 つの木箱を並べたようなこちらの住宅は、大人も子どもも使いやすい小さなロフトが設計されています。子どもたちの遊び場としてはもちろん、大人の書斎としても大活躍。また家の至る所にあしらわれた無垢材が、自然の温かみを感じさせてくれます。
そしてリビングダイニングに設置された長い木板は、キッチンの作業台として、テーブルとして、椅子としてさまざまな使い道があり、変わりゆくライフスタイルに柔軟に合わせてくれるでしょう。
5-7. キッチンから流れるようにつながる間取り
中古マンションの一室をリノベーションしたこちらの家は、お客さまから「家全体の連続性を大切にしたい」との要望がありました。そこでキッチン、ダイニング、キッチンを分けずに一つの大きな空間となるような間取りにしています。
料理をしながらでも子どもたちが遊んでいる様子を感じられ、楽しそうな声を聞いていられる素敵な空間となりました。
6. まとめ
住宅の間取りは、家族みんなが心地よく暮らすためにさまざまな要素を考えながら設計しなければなりません。そのため家づくりにおいて悩む人も非常に多い部分です。ご自身で考えるのが難しいと感じるなら、建築家に相談してトータルコーディネートの依頼をしてみましょう。
「 titel(タイテル)」では、こだわりの注文住宅を建てたいお客さまに、建築家(設計事務所)を無料でご紹介しています。「まずはプロの意見を聞いてみたい」と考えている場合には、ぜひお気軽にご相談ください。一級建築士の資格をもつタイテル建築アドバイザーが、あなたの状況にあったオーダーメイドのご相談に乗ります。