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2020 / Private House Renovation / Tokyo


窓辺に奥行きと居場所を紡ぎ出す


駅からのバスを降り、野川を越えて少し歩いたところにこの集合住宅は建っている。部屋のある4階まで上がると、窓の外に庭の緑が頭を覗かせ、その先には遠くまで景色が広がっているのが印象的であった。そしてL字型の平面をしたこの部屋には沢山の窓があり、その窓辺で陽の光や涼やかな風、緑の葉擦れを日々感じられたらどんなに幸せだろうと想像した。
そこで既存の間仕切り壁と天井を取り去り、躯体の中、一から窓辺に居場所を紡ぎ出していこうと考えた。窓辺を囲むように45mm角のツガ材をリブ状に並べ、そこに13mm 厚の合板を回していく。合板は仕上げと構造を兼ねて二枚張り合わせ、窓側にラワン材、反対側には限りなく白に近いグレー色の塗装面が現れるものとした。そしてここで用いたラワン材は、穏やかな木目に沿って自然オイルを染み込ませていくと、息を吹き返したかのように赤味を帯びてくる。窓から溢れ込む陽の光の束に、肌理の荒いその木面を差し延べると、光の粒がやわらかな濃淡として現れ、得も言われぬあたたかみと落ち着きを感じさせてくれた。
また曲面壁の内側には構造として効く横リブが回り、本棚となっている。そこに沢山のお気に入りの本や宝ものが並べられると、自分だけの居場所が自然と作られていく。さらに窓周りにおいては、壁面や上部の梁の面を延長するかのように仕上げの合板を内側まで張り延ばしている。煩雑に見える既存のアルミサッシ枠が隠れることで、外の緑が近く感じられるだけでなく、窓辺にできたレイヤーの重なりの中に豊かな奥行きがつくり出せるのではないかと考えた。
こうして窓辺を膨らませるように、木を用いて寄り添いたくなる場を設えていく。ここで暮らしていく家族が、穏やかな自然の揺らぎと共に居心地を感じながら、幸せな時を一緒に過ごしていくことを期待している。


             
















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