デザイン住宅の魅力や注意点、依頼先は?建築家の実例も紹介
「家を建てるなら、かっこいいデザイン住宅にしたい」「デザイン住宅では、どんな家が建てられるの?」
マイホームを建てるなら、どこにでもあるような一軒家ではなくて、デザインにこだわった家を建てたいという人も多いでしょう。
そこで今回の記事では、デザイン住宅の魅力と注意点を解説します。建築家が手掛けた建築実例も紹介しますので、ぜひご覧ください。
まず、この記事のまとめポイントです。
- デザイン住宅とは、外観・内観・空間構成などを一つのデザインコンセプトで作り上げた住宅のこと
- デザイン住宅の魅力は、こだわりのデザインで建てられ、土地の条件にも合わせやすく、費用の調節が可能であること
- デザイン住宅の注意点は、性能面に気を配る必要があり、完成までに時間がかかること、住宅によっては売却しづらいこと
- 建築家に依頼する際のポイントは、ご自身のライフスタイルや希望の住宅イメージを伝えること
1. デザイン住宅とは?魅力を解説
デザイン住宅とは、外観や内観、動線、空間構成などを一つのデザインコンセプトで作り上げた住宅のことです。建築家やデザイナーが設計した、オリジナリティ溢れる家を指します。
価値観が多様化した現代では、画一的な間取りでは、個々のライフスタイルにぴったりあった家を探すのは難しいものです。そこで、デザイン住宅なら自分たちの理想のライフスタイルにあわせた家が建てられます。
ここでは、デザイン住宅の魅力を詳しく解説します。
1-1. こだわりのデザインが叶う
デザイン住宅は、インテリアや空間の構成、設備、外構に至るまで、こだわりのデザインで家を建てられることが一番の醍醐味です。規格住宅の多くは、決められた設備や内装材など、選択肢が狭められていることも少なくありません。
一方で、デザイン住宅で選べる設備や建築材料の幅は広く、国内外から手に入れた資材を住宅に使用できます。そのため、希望のテイストが叶いやすいのがデザイン住宅の魅力です。
1-2. さまざまな土地の条件にあわせられる
デザイン住宅は、さまざまな土地の条件にあわせやすいという特徴があります。ゼロからプランニングしていくデザイン住宅は、狭小地や傾斜地、変形した土地など、特徴のある土地に対応した住宅を建てることが可能です。
個性がある土地に家を建てるなら、斜面や変形した形状を生かし、いかに機能的なプランを生み出せるかが、建築家やデザイナーの腕の見せ所とも言えます。
1-3. 費用の調節がしやすい
デザイン住宅と聞くと、値段が高いイメージを持つ人も多いでしょう。しかし、デザイン住宅が一概に高い住宅だというわけではありません。
意外に思うかもしれませんが、デザイン住宅は建築家や工務店と相談しながら計画を進めていくため、費用の調節がしやすいという特徴があります。
規格を持たないデザイン住宅だからこそ、こだわりの部分には予算をかけ、それ以外の部分はコストカットするなど、柔軟な対応をしてもらえるケースが多いでしょう。事前に予算を伝えておくと、費用を抑える案や代替え案を提案してくれることもあります。
2. デザイン住宅の注意点
デザイン住宅を建てるには、性能面や機能面を上げることや、完成までの時間がかかることに気を付けなければなりません。また、売却しようとすると、高値では売りにくいこともあります。
ここでは、デザイン住宅を建てるときの注意点を詳しく紹介します。
2-1. デザインだけでなく性能面も考える
マイホームは何十年と長く住む家であるため、デザイン住宅の耐震性や機能性が気になる人も多いでしょう。建築の計画次第では、デザイン性と性能の、どちらも兼ね備えた家をつくることは可能です。
例えば、「窓ガラスをふんだんに使い開放的な空間を作ると、プライバシーが確保されないのでは?」と思う人もいるでしょう。しかし、設計次第では、耐震性を高める壁を設けながらも光を取り入れる工夫ができます。
もちろん耐震性能や断熱性能の目標値を設定し、その数値に合わせた設計をすることもできます。
また、地震に強い家や、長く安心して住める家を希望する人は、長期優良住宅や住宅性能表示制度を取得することをおすすめします。設計事務所やハウスメーカー、工務店など、依頼する会社に制度を利用したいと伝えましょう。
2-2. 完成までに時間がかる
デザイン住宅は注文住宅であるため、完成までに時間がかかる傾向にあります。建売住宅のように、購入後、すぐに引っ越して入居することはできません。
ドアや設備など、あらかじめ決められた規格品の枠にはまらないこともあり、部材を特注すると施工期間が長くなる可能性もあります。物件や大きさにもよりますが、間取りの計画から入居まで、1 年半程度かかることも少なくありません。
そのため、デザイン住宅は急いで引っ越す必要がなく、専門家と一緒にじっくりと家づくりをしたい人に向いていると言えるでしょう。
2-3. 売却しづらい
デザイン住宅は、特殊なデザインである住宅が多いため、売却する際に高値がつきにくい傾向にあります。一方で、購入者のニーズと合えば、高い価格で売れる可能性もあります。
例えば、ビルトインガレージなどは人気の間取りです。建売住宅や中古住宅の中には、ビルトインガレージ付きの住宅はほとんどありません。そこで、ビルトインガレージ付きのデザイン住宅を売りに出せば、高い値段で売れる可能性が高まります。
このように、デザイン住宅のすべてが高値で売れにくいというわけではありません。希望者の要望とうまくマッチすることもあります。
よくあるニーズとしては、ビルトインガレージの他にも、リビング階段・吹き抜け・ロフトなどです。
3. デザイン住宅はどこに頼む?依頼先ごとの特徴
いざ、デザイン住宅を建てようと思うと、どこに依頼するかどうかで悩みます。
デザイン住宅の依頼先としては、建築家など設計事務所、ハウスメーカー、工務店の 3 つの選択肢が考えられます。
ここでは、それぞれの依頼先の特徴を解説します。
3-1. 建築家など設計事務所
設計事務所では、独立した建築家が建物の企画・設計・管理などを行っています。そのため、家づくりで建築家が行うことは、デザインを含む「設計」と、設計図書通りに施工が行われているかの「監理」です。施工は工務店に依頼します。
建築家と一緒に家づくりをするメリットは、設計の柔軟さとデザイン性の高さです。あらかじめ決められた規格を用いる必要がないため、建て主の要望にあわせて自由にデザインすることができます。
しかし、それぞれの建主の希望にあった住宅を新しくプランニングしていくため、家の完成までに時間がかかることも少なくありません。建築家に依頼するときは、入居までの期間に余裕を持つことをおすすめします。
3-2. ハウスメーカー
ハウスメーカーは、多くが全国に営業所を持つ企業で、規格化された住宅を大量に生産することに長けています。一般的な家庭にあうような「商品」を持ち、住宅を規格化することにより安く提供するというビジネスモデルです。
ハウスメーカーの中でも、デザイン住宅を設計するチームを持つ会社もあります。しかし、こだわりのあるデザインを希望すると、ハウスメーカーの間取りや部材が規格から外れることも少なくありません。
デザイン住宅では建築部材を大量生産できない分、ハウスメーカーならではの価格を抑えられるメリットがなくなってしまうため、注意しましょう。
3-3. 工務店
工務店の多くは、建設業を行う中小企業などを指します。自社で、設計士・大工・営業などを抱える会社もいますが、施工だけを行う会社も少なくありません。ハウスメーカーからの下請け業務のみを行う工務店もあります。
工務店の一番の強みは、施工技術です。そのため、住宅の設計やデザインは、施工の補助として行っているケースも多数見られます。工務店には施工のみを依頼し、住宅のデザインは設計事務所に依頼するという方法もあります。
さらに詳しく知りたい人は、こちらの記事をご覧ください。
4. デザイン住宅のおしゃれな建築事例 7 選
デザイン住宅を建てるには、実際の建築事例を参考にするとイメージが湧きやすくなります。お気に入りのデザインをみつけたら、ブックマークしておいてはいかがでしょうか。スクラップブックのように保存しておくと、建築家にイメージを伝える際にも役立ちます。
ここでは、建築家が手掛けたおしゃれなデザイン住宅の建築事例を 7 つご紹介します。いずれも個性が光、デザインコンセプトの住宅です。ぜひご覧ください。
4-1. 独創的でやわらかいデザインの家
ゆるやかなドーム形状の天井を持つ 3 階建てのデザイン住宅を紹介します。室内は立体的に空間がつながる、大きなワンルーム構造です。そのため、上部の高窓から取り入れた自然光が、曲面の壁に沿って下の階へと降り注ぐデザインとしています。
窓枠や上部のガラス手すりなど、建築デザインはシンプルにすることで、こだわりの家具の上質さが引き立ちます。白い漆喰の塗壁が、室内をより味わい深い空間に仕上げていますね。
4-2. デザイン性と耐震性をあわせ持つ家
次は、デザイン性と耐震性を兼ね備えたデザイン住宅を紹介します。中庭に向けて大きな窓を持ち、さらに広々とした LDK を作った二世帯住宅です。
在来軸組工法では耐震性が失われるため、開放的な大空間は実現しづらいものです。しかし、こちらの住宅は構造体に SE 構法を用いることで、広々としたリビングが実現しています。
こちらの住宅の外観をみてみましょう。
開放的で明るい内観とは裏腹に、通りに面した側には窓が一つもありません。上下で塗り分けられたスタイリッシュな外観は、白と黒のコントラストが美しいですね。
デザイン性と耐震性がありながらも、プライバシーが保たれた明るい LDK を持つ、機能的なデザイン住宅です。
4-3. 柔らかい壁で光を取り込むリノベーションの住まい
デザイン住宅は、マンションのリノベーションでも叶います。曲面の壁が、柔らかく心地の良い空間を作り上げているデザイン住宅を紹介します。
こちらは、集合住宅の 4 階で、窓からは緑の庭や遠くの美しい景色が見えるそうです。そこで、窓を囲みながらコンパスで弧を描いたように壁が配置されています。
窓から差し込む光や風がリビングを通り抜け、家族の暮らしを心地よいものにしてくれそうです。窓際のソファで、ゆったりとくつろぎたくなるリラックス感のあるデザイン住宅ですね。
4-4. 趣味を満喫できる内装のデザイン住宅
内装デザインにこだわりたい方にも、デザイン住宅はおすすめです。壁付けの大きな棚を持つ事例を紹介します。趣味の本やCDのコレクションを持つ人も多いでしょう。壁付けの本棚は、デザイン性も耐震性も高く、収納力にも優れますよ。
また、デザイン住宅なら手持ちの家具にテイストをあわせることも可能です。写真のように、鮮やかな赤のダイニングテーブルと真鍮のペンダントライトといった味のある組み合わせも、建築家の手にかかれば住宅にすんなりと馴染みます。
お気に入りのものに囲まれた暮らしで、毎日が充実した時間を過ごせそうなデザイン住宅ですね。
4-5. 懐かしさを感じる木目のデザイン住宅
デザイン住宅の、いわゆる白や黒のスタイリッシュな外観や内観を連想する人は多いかもしれません。しかし、デザイン住宅の強みは、どんなテイストの住宅でも建てられることです。
次は、木をふんだんに使い「森の中の図書館」というコンセプトでデザインされた住宅を紹介します。こちらの住宅は、たくさんある蔵書をしまい、野鳥の観察ができる家を建てたいというのがお施主様の希望だったそうです。
野鳥を暮らしの中で観察できるよう、リビングに大きな腰窓をつけています。ただ大きな窓をつけただけでは、隣家からの目線が気になってしまいます。そこで、リビングの床の高さを下げ、お庭には低い塀を設けています。
たくさんの本に囲まれながらお庭を眺められ、くつろいで過ごせそうなリビングです。飛来する野鳥を眺めながらもプライバシーが確保された、建築家のアイデアが光る住宅ですね。
4-6. 佇まいが美しい平屋のデザイン住宅
まるで外国の一軒家のようにおしゃれな、平屋のデザイン住宅の事例を紹介します。こちらの住宅を上から見ると、東西、南北に向けて伸びる 2 つの壁が、十字に交差しているように配置されています。塗り壁の白い壁が、庭の樹木を美しく引き立てていますね。
また、室内は十字の壁で、「お客様を迎える場所、家族が過ごす場所、休息する場所、お客様をもてなす場所」の 4 つに領域を分けています。
道路側と壁で隔てたお庭側のプライベート空間は、車通りを気にすることなく落ち着いて過ごせるでしょう。テラスの上の大きな庇も、住宅のデザインの一部になっているため、外観がすっきりしています。
豊かな自然にそっと寄り添うような、美しい平屋のデザイン住宅です。
4-7. 個性的な外観の家
次にご紹介するのは、まるでヤドカリのような形をした個性的なデザイン住宅です。斜めの壁を折り込んだ特徴的な形をしていますね。モルタル外壁と金属系のサイディングを使い、テイストを分けることでメリハリの利いた外観を作り上げています。
こちらの家が建っているのは、幹線道路が近くにある住宅地。外からの音や通りからの視線が気にならないよう、通り側の窓は少なくしています。
しかし、建物と建物の間に細い隙間をつくり、自然光を家の中に取り入れています。家の内部は、光がたっぷりと差し込む開放的な空間になっていますよ。
住宅地でも開放感を得たいという建て主の要望を、建築家のアイデアで叶えた素敵なデザイン住宅です。
5. まとめ
デザイン住宅を建てるときのポイントは、設計者に「住宅でどんな風に暮らしたいか」「理想のイメージはどういった住まいか」というのをうまく伝えることです。
建築家は、敷地の条件を踏まえ、建主の希望を取り入れながら住宅をデザインしていきます。間取りや予算、敷地状況のことなど、気になることや不安なことがあれば、建築家に相談してみませんか。
建築家の持つさまざまなアイデアで、あなたの住宅に対する不安が解消されるかもしれません。
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