女性の建築家に頼みたい!特徴やメリットとおすすめ設計事務所を紹介
近年、女性ならではの目線で建物をデザインする建築家に注目が集まっています。「女性の建築家が気になる」「女性建築家に自宅の設計を頼むと、どんな良さがあるの?」このように思う人も多いかもしれません。
そこで今回は、女性建築家ならではの特徴や、設計を依頼するメリットを紹介します。また、女性建築家が手掛けた建築実例も画像付きで紹介しますので、ぜひ読んでみてください。
- 女性建築家は、女性ならではの視線と気配りがある傾向にある
- 経験豊富な女性建築家なら子育てや家事動線の提案の幅が広いことが多い
- 家づくりでは性別を限らず、要望を伝えやすい関係性を築ける建築家かどうかを見極めることが大切
- 夫婦で活躍する男女ユニットの建築家もいるため、検討するのも一つの選択肢
1. 女性の建築家とは?どんな特徴があるの?
これまでは男の職場と思われていた建築業界ですが、近年、女性建築家の活躍も増えています。女性の建築家は、女性ならではの感性が光り、設計に細やかさが表れると好評です。
とは言っても、そもそも女性建築家はどれくらいいて、実際に家を頼むことはできるのかと疑問に思う人も多いでしょう。また、やはり建築家というと男性が担うイメージが先行して、女性と建築職が結びつかない人もいるかもしれません。
そこでここでは、建築の仕事場で働く女性建築家の基礎知識として、建築士のなかの女性の割合と、著名な女性の建築家を紹介します。
1-1. 女性の建築家の割合は
一級建築士資格を持つ人のなかで、女性の割合は全体の 25 %と言われます。そのため、建築士の 4 人に 1 人は女性ということになります。意外と多いと感じる人も多いかもしれません。
特に、建築士が活躍する分野の中でも、構造設計や設備設計よりも住宅の設計は、生活にもっとも身近な分野です。女性ならではの視点を生かしやすい設計の仕事であると言えるでしょう。
建築士が活躍する設計事務所の種類に関して、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にご覧ください。
1-2. 著名な女性の建築家は
近年、国内外で女性の建築家が活躍しています。世界で有名な女性建築家といえば、ザハ・ハディッドをご存じの方も多いかもしれません。新国立競技場の競技場の原案を設計したイラク出身の女性建築家です。
また日本人で著名な女性建築家といえば、妹島 和代( せじまかずよ )がいます。妹島和代は、西沢立衛とともにSANNA( サナア )という建築家ユニットを組み、建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞をはじめとする、数々の賞を受賞しています。
SANNAが手掛けた建築は、金沢 21 世紀美術館やルーヴル美術館の別館であるルーヴル・ランスが有名です。まさに日本を代表する建築家の一人と言えるでしょう。
その他にも、ルイ・ヴィトン ヒルトンプラザ店をデザインした乾 久美子など、活躍する女性建築家は数多くいます。
2. 女性建築家に住宅を依頼する5つのメリット
もし、あなたが家で過ごす時間を重視し、それを建築家のアイデアで間取りに反映してほしいと思うなら、女性建築家に設計を依頼するのも一つの方法です。住宅は、女性ならではの視点と気配りが存分に生かせる設計であるためです。
ここでは、女性建築家に住宅を依頼するメリットを詳しく紹介します。
2-1. 子育てや家事動線の提案の幅が広い
女性の建築家にマイホームの設計を依頼すると、子育てや家事動線の提案の幅が広いという特徴があります。働く女性だからこそ、間取りの段階で、スムーズな掃除や洗濯動線を意識していることも多いでしょう。
毎日、家事や育児で忙しい女性を大切にする視線を持つ女性建築家ならではの丁寧な設計は、戸建て住宅の設計では重宝されています。
2-2. 女性ならではの感性と色彩感覚がある
女性建築家は、豊かな感性と色彩感覚を持っていることも魅力の一つです。女性建築家は、女性の好みを理解しやすいため、建て主の要望を形にできるかもしれません。
例えば、工務店の男性スタッフなどでは口で説明してもなかなか伝わらなかったイメージも、女性建築家ならくみ取ってくれるというケースもあるでしょう。
色や素材、インテリアに敏感な女性建築家なら、イメージを現実化する手法を持っているかもしれません。
2-3. 設計デザインにきめ細やかな気配りがある
男性建築家も、もちろんしっかりと建て主の要望を聞いて設計プランを進めていきます。さらに女性建築家は、建て主が言葉に表現しづらい感覚もくみ取って、建物に反映させられることがあります。
「居心地のいい家」「暮らしやすい空気感」といった言語化しにくい部分も、女性ならではの感覚で上手にくみ取り、きめ細やかに気配りをすることが得意です。
2-4. 性能や機能面にも工夫がある
住宅の性能や機能面にも工夫がみられるのが、女性建築家の特徴です。例えば、エアコンなど機械を使わずに、太陽の熱や光、風などを活用する設計手法「パッシブデザイン」に着目する女性建築家も多くみられます。
また、光熱費やメンテナンスの手間など、住みはじめてからの日々の生活に目が行きやすいのも女性ならではの視点と言えるかもしれません。
2-5. 打ち合わせで希望を伝えやすい
女性建築家は、コミュニケーション力の高さも魅力の一つです。建築家といえば男性が多いため、気難しいイメージがある人もいます。実際には、建て主の要望を聞かない気難しい建築家はほとんどいませんが、イメージが先行して接しづらいと思う人もいるかもしれません。
そこで同じ女性だからこそ自分の生活スタイルも話しやすく、スムーズに打ち合わせが進んだというケースもよく耳にします。
3. 建築家は女性と男性のユニットで活動していることもある
ここまで女性建築家の魅力をお伝えしてきましたが、住宅の依頼を女性建築家に限定しない視線を持つことも大切です。
同じ女性といっても、もちろん建築家にも建て主のライフスタイルにも、一人ひとり個性があります。現代では家事や子育てを積極的に行う男性も多くみられるため、男性建築家が一概に家事動線に疎いというわけでもありません。大切なのは、要望を伝えやすい関係を築けるかどうかです。
そこで、夫婦で活躍する建築家ユニットに相談するのも一つの方法です。夫婦の建築家ユニットは、女性建築家ならではの対話力の高さと、男性建築家のダイナミックな感性をバランスよく持ち合わせているという特徴があります。
4. 女性の建築家が手掛けた建築実例9選!
女性建築家や夫婦で活躍する建築家ユニットに住宅を依頼すると、どんな家が建つのかは、実例をみるとイメージが掴めるはずです。
ここでは、女性の建築家や、夫婦で活躍する建築家の手掛けた実例を 9 つ紹介します。いずれも、土地や住む人の個性を生かした住宅です。マイホームのインテリアや外観を決める際に、ぜひ参考にしてください。
4-1. 向陽ロッジアハウス:t e c o
こちらの家は、女性建築家が設計した戸建て住宅です。床のデザインや木目の壁材の選び方に、柔らかな色彩感覚を感じます。
また、キッチンはリビング・ダイニングとつながった開放的な空間です。外の光や風を取り入れる大きな窓からは、お料理をしながら美しいお庭を眺めることもできますね。爽やかさとかわいらしさをあわせ持つ住まいに、女性ならではのセンスを感じる人も多いでしょう。
4-2. 武蔵野の家 :八島建築設計事務所
次に紹介するのは、夫婦で活躍する建築家ユニットの手掛けた住宅です。独特の風合いを持つ無垢材の床と天井、テラスの大谷石と、自然素材をふんだんに使っています。
どこか懐かしさを覚えるくつろぎ感のあるリビングに、建築家の感性を感じます。お気に入りのソファに座ってゆったりと休日を過ごしたくなる、落ち着きのある空気感を持つ住宅ですね。
4-3. fragment house:株式会社TAIMATSU
次に紹介するのは、LDK を区切らず大きな大空間とした間取りの住宅です。夫婦で活躍する建築家ユニットが手掛けました。住宅をプランニングするときに、「子どもが走り回れる家がいい」という建て主様の要望があったのだそうです。
ご覧の通り、はしごや屋根裏部屋をつくり、遊び心のある建築デザインとなっています。また、建具で部屋と部屋を仕切らず、お子さんがどこにいても目が届きそうな間取りをしていますね。
お子様の成長や家族の生活スタイルの変化にも、柔軟にあわせていけそうな工夫のある住まいです。
4-4. torimichi:ミハデザイン一級建築士事務所
次に紹介するのは、建築家の男女ユニットが手掛けた建物です。こちらの建物は、写真スタジオを併設した住宅で、三方を道に囲まれています。
建物の一番高い部分よりも向こう側が、写真スタジオとリビングのお庭、右側が家族の過ごすキッチン・ダイニングに続くお庭です。それぞれのお庭を、お客様が来るパブリックな場所と、洗濯物などを干すプライベートな場所へと分けています。
広々とした敷地の形を生かしながら、お客様が来る仕事場と家族の動線を分けた、きめ細やかな設計に建築家の工夫がみられますね。
4-5. 御宿台の家:エーエムーエーデザイン建築設計事務所
次に紹介するのは、屋根をカットしたようなダイナミックな形が特徴の平家です。こちらの一軒家は、夫婦の建築家ユニットが手掛けています。
大屋根の下に広がる大きなテラスは心地良さそうで、休日にはソファベッドを置いて寝転びたくなるほどです。洗濯物を干すのにも、活躍するでしょう。
街中でパッと目を惹く大胆なデザインと、くつろぎ感のあるテラスは、男女どちらの感性も生かされた建築デザインだと言えるのではないでしょうか。
4-6. 葉山の住宅:hm+architects 一級建築士事務所
次に紹介するのは、夫婦の建築家ユニットが手掛けた葉山の住宅です。大胆な吹き抜けの LDK にふさわしい、シンボリックな照明が目を惹きます。
こちらの住宅では、2 階の個室に行くまでに必ずリビングを通る動線としています。キッチンで作業する家族とも自然と顔をあわせる階段は、家族のコミュニケーションが増やせると人気です。
また、陽だまりができる窓際に、子供が遊べるスペースを作っています。大人も子どもも居心地よく家族が過ごせる間取りに、設計者の気配りを感じますね。
4-7. 南片江の家:杉田吉田アーキテクツ 一級建築士事務所
こちらのモダンな外観の建物は、男女建築家ユニットが手掛けた住宅です。真っ白で美しい塗壁材に、天然木の外壁材をアクセントに使った趣のあるデザイン。
ゆるやかな勾配の屋根が、スタイリッシュな白壁を落ち着いた表情にみせています。お庭の門扉にも外壁と同じ木材を使い、細やかな工夫がされていますね。モダンでエレガントな外観に、完成度の高さを感じます。
4-8. 木箱の家:一級建築士事務所すずき
こちらの写真は男女の建築家ユニットが手掛けた、美容室のある住宅です。こちらの建て主様は美容師の奥さまと、執筆活動をする旦那さま。
奥さまは 40 年もの間、この土地で美容室を営んでいるのだそうです。奥さまのライフスタイルを尊重するかのように、すんなりと街並みに溶け込むようなデザインを採用していますね。
また、建物の材料にはふんだんに無垢材が使われています。経年により変化していく無垢材の色合いを、長く住みながら楽しめそうな住宅です。
4-9. 富士山を望む八ヶ岳の家:PRIVATE建築設計事務所
最後に紹介するのは、女性建築家の手掛けた八ヶ岳の邸宅です。家具やインテリアデザインの色使いに、女性ならではの豊かな色彩感覚を感じます。
このリビングをグッと上質な空間にランクアップさせているのは、照明の存在です。間接照明やダウンライトの配置にも、丁寧な設計を感じますね。
また冬の厳しい寒さに耐えるのにふさわしく、ペレットストーブを配置しています。設備にも工夫を凝らし、快適に過ごすことへの配慮も忘れません。ところどころに建築家のセンスが光る建物です。
5. まとめ
女性建築家に住宅の設計を依頼すると、女性ならではの感性と視点が生かされることが多くみられます。家事経験を持つ女性建築家なら、生活しやすい動線を意識しながら間取りを設計することもあるでしょう。
一方で、依頼する建築家を女性だけに絞らないことも大切です。さまざまな建築事例をみて、ご自身にとって相性のいい建築家を探してみてはいかがでしょうか。
こちらの記事でも、アトリエ系建築家の建築事例を紹介していますので、ぜひご覧になってみてください。