「設計事務所」のすべてを徹底解剖
特徴やメリットがまるわかり
「設計事務所」と聞いたとき、あなたはなにを思い浮かべますか?
建築家、デザインなどいくつかの単語は思い浮かんでも、特徴を正確に把握できている方は意外に少ないのではないでしょうか。まずは設計事務所について知りたいという方、設計事務所への依頼を考えている方、建築家のメリットとデメリットを知りたい方などへ向けて、この記事では設計事務所のすべてを【徹底解剖】していきます。
この記事のポイント:
- 設計事務所とは建物などの設計や監理をする建築家がいる事務所を指し、主にはアトリエ系設計事務所と組織設計事務所に分かれる
- 主な資格には一級建築士・二級建築士・木造建築士があり、業務の領域としては意匠・構造・設備がある
- 主なメリットは、設計の自由度やデザイン性が高いこと、あなたの立場に立って工事を監理してくれること、様々な領域の依頼が柔軟にできること
- 設計事務所に仕事を依頼するときのコスト(設計監理手数料)は、総工費の 10~20% ほどであることが多い
この記事を読み終える頃には、設計事務所の特徴が理解できていたり、自分が設計事務所に頼むべきかどうかが明らかになったりすることと思います。
【 動画解説版 】設計事務所・建築家のすべてを徹底解説
1. 「設計事務所」とは?
「設計事務所」や「建築設計事務所」と呼ばれる組織は、建物などの設計や監理をする建築家がいる事務所のことを指します。一人の建築家が自分で運営している設計事務所、代表者がいて数人の建築家がいる設計事務所、数十人・数百人の建築家がいる大きな設計事務所など、規模はさまざまです。
2020 年 4 月時点で、日本には 100,042 社もの「建築士事務所」が登録されています。(出所:国土交通省)
建物の設計・監理などの業務を受けるには、都道府県知事に「建築士事務所」として登録しなければなりません。建築士事務所の中には、設計や監理のみを専門とするいわゆる「設計事務所」のほかにも、ハウスメーカーや設計施工の工務店などが登録しています。
さまざまな設計事務所がありますが、彼らの共通する仕事は、モノや空間をデザインして、それが形になるまでの工程を管理するという役割にあります。
2. 「建築家」とは?
それではそもそも「建築家」とは何なのでしょうか?
建築家という職業や肩書きには実は厳密な定義はありませんが、意匠を中心に建物の設計を考える人を指すことが多く、資格と結びついている言葉ではありません。一般的なイメージとしては、家を建ててくれる人というイメージや、芸術家や音楽家のように表現のプロであるというイメージが強いのではないでしょうか。
建築家という言葉が指す職業について、「資格」と「業務分野」の 2 つの視点から解説します。
2-1. 建築家の資格
建築家がとれる資格には、主にこの 3 つの資格があります:
- 一級建築士:あらゆる建物を設計することができる。
- 二級建築士:設計できる建物が一級よりも限られている。高さが 13 メートル以下、軒高 9 メートル以下の木造建築物であれば建てられるなど、いくつかの規定がある。
- 木造建築士:設計できる建物が二級よりも限られている。2 階建て以下、延べ床面積 100 ~ 300 平米以下の木造建築物であれば建てられるなどの規定がある。
しかし、資格を持つ設計士 = 建築家 というわけではありません。著名な建築家の方にも、一級建築士や二級建築士の資格を持っていない人もいます。
設計士というと資格をもつ技能者のことを指し、建築家というとデザイン性や表現のプロ、あるいは設計士の技能も含めて総合的な設計を手がける人を指すことが多いです。
2-2. 建築家の業務分野
また、建物の設計には 3 つの領域があります:
- 意匠(いしょう):見た目の美しさや全体の組み立てなど、よく「デザイン」と呼ばれるニュアンスが指す領域を設計します。構造や設備をとりまとめたり、施工の監理(工事が予定通り進んでいるかをチェックすること)をしたりなど、もっとも幅の広い業務範囲になるのが「意匠設計」です。
- 構造:希望通りの間取りを実現したり、安全な耐震性を確保したりするために必要な建物の土台や骨組みを考える専門家です。地震や台風に耐えられるかなどの「構造計算」は建物を建てる上で大切なプロセスです。
- 設備:ガスや水道の配管、電気、空調など、建物のインフラを設計する専門家のことを指します。
一般的に「建築家」と呼ばれる人は、「意匠」の設計を担当する建築家を指すことが多いでしょう。建て主の希望を形にしたり、高いデザイン性を実現したりすることに加え、構造・設備・施工など建築のあらゆる領域を知り尽くしてとりまとめる力が必要な仕事です。建築家は、右脳も左脳も必要になる想像以上にプロフェッショナルな仕事であるということが少し伝わりましたでしょうか。
3. 設計事務所の種類
建築家が所属している設計事務所には、大きく分けて 3 種類のタイプがあります。
3-1. アトリエ系設計事務所
デザイン性が高く、少数精鋭で事務所を構えて建築設計を行う事務所のことを「アトリエ系」の設計事務所と呼びます。個人の名前で活動している建築家も多く、事務所の代表である主宰者の作家性などが強く反映される傾向にあります。
手がける建築もそれぞれの事務所によってさまざまで、住宅を中心に手がけるところ、得意な専門領域があるところ、病院やホテルなど大規模な施設まで手掛けられるところなど、色々なアトリエ事務所があります。
「アトリエ」という言葉の語源は、磯崎新という著名な建築家が、芸術家のアトリエのような存在を意識して、自らの設計事務所のことを「磯崎新アトリエ」と名付けたことが由来であると言われています。
アトリエ系設計事務所についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
3-2. 組織設計事務所
所属する設計士の数も多く、規模の大きい建築物を設計することが多い組織的・企業的な設計事務所のことを「組織設計事務所」と呼びます。アトリエ系は主催者の名前やデザイン性が表に出ることが多いですが、組織設計事務所は堅実な設計が得意な傾向にあります。必ずしもデザイン性が低いというわけではなく、組織設計事務所が手がけた建築でも有名な美しいものは数多くあります。
意匠だけでなく構造や設備の設計士も内部にいたり、ひとつの設計事務所で対応できる範囲が幅広いことが多いです。
規模が大きい建物の設計をすることが多いため、組織設計事務所が個人の住宅などを手がけることはほとんどありません。
3-3. その他の建築士事務所
ハウスメーカーや工務店にも「設計事務所」があったりします。確認申請(つくった図面が法律に則っているかどうかを行政と確認するプロセス)などを自分たちで行うには一級建築士事務所の登録が必要であるため、設計と施工の両方を手がけるハウスメーカーや工務店は裏に設計事務所を持っていたりします。
また、構造や設備の設計を専門的に取り扱う建築家が「構造設計事務所」や「設備設計事務所」を構えることもあります。アトリエ系の設計事務所に仕事を依頼した場合、外から構造設計事務所や設備設計事務所を呼んできて、チームを組んで設計することも少なくありません。
4. 設計事務所のメリットとデメリット
建築家に依頼するメリットは、自由度の高いあなただけの設計ができるという点が一番大きいでしょう。その他にも、デザイン性が優れている、細かい配慮が行き届いた設計をしてくれる、信頼できるプロが施工のプロセスをチェックしてくれるというメリットなどもあります。
設計事務所のメリットを詳しく知りたい方は、建築家に家づくりを頼む 5 つのメリット の記事をご覧ください。
土地探しからの家づくりを考えている方にとっては、専門家と一緒に土地選びができるというのも大きなメリットのひとつです。実際に土地を買う前に、候補地にあわせて簡単なスケッチや図面を作成してくれる建築家もいるので、より具体的なイメージをもって後悔しない土地選びができるようになります。
親身に土地探しからサポートしてくれる設計事務所や、特定のエリアに詳しい建築家などをご希望に応じてご紹介 することも可能ですので、土地探しからの家づくりが気になっている方はぜひお気軽にタイテルの専門家との無料相談 をご利用ください。
またデメリットとしては、このような希望がある方は建築家に依頼することは合っていないかもしれません。
- あまりこだわらずに、楽に家づくりがしたい
- 時間をかけずに、とにかく早く家づくりを済ませたい
- 建てたい家のデザインや間取りがほぼ決まっている
設計事務所、ハウスメーカー、工務店はそれぞれ違う性質があるため、あなたに合った相手を選ぶことが大切です。詳しくは次のセクション設計事務所とハウスメーカー・工務店の違い をご覧ください。
5. 設計事務所とハウスメーカー・工務店の違い
家づくりや建物の設計を頼める相手として、主にはハウスメーカー・工務店・設計事務所の 3 つがあります。3 者にはそれぞれの特徴があり、あなたが何を優先して家づくりをしたいかによって選ぶべき相手が変わってきます。
- 楽なプロセスで、家づくりを早く終わらせたいのであれば、ハウスメーカーがおすすめでしょう
- 予算が決まっていて、もっとも安く家づくりを済ませたい場合は、良い工務店を探すのがおすすめです
- こだわりや希望をすべて形にして、あなただけの自由な家づくりをしたい場合は、設計事務所に頼むのがいいでしょう
また、店舗や病院などを設計してほしいという事業者の方は、そもそも頼める相手が限られていたりもします。設計事務所には、病院やオフィスなど特定の建物の実績が豊富な事務所があります。
それぞれの違いを詳しく知りたい方は、ハウスメーカー・工務店・設計事務所の 7 つの違いと選び方 の記事をご覧ください。
一般的にはこのようなメリットとデメリットがありますが、家づくりや設計の依頼にはほかにも色んな要素があるため、「自分に合った相手が誰なのか、専門家の意見を聞いてみたい」という方は、タイテルの一級建築士と無料相談 をご利用ください。
また、タイテルでは家づくりの無料講座 を行なっています。まずは知識をつけたい、家づくりのプロに直接教えてほしいという方は、ぜひ無料講座 を活用してみてください。
6. 設計事務所が対応できるモノとは?
設計事務所にどういうことを依頼できるのかというのも、あまり知られていないことかもしれません。建築家はデザインのプロであるため、基本的にはモノや空間のデザインに関わることはすべて依頼することができます。設計事務所に頼めるものをご紹介します:
- 戸建て住宅:自分の希望を詰め込んだ本当の「注文住宅」を建てることが可能です。
- 別荘やセカンドハウス:山の中や海のそばなど、周りの豊かな環境にあわせた建物をデザインするのは建築家に依頼する醍醐味です。
- リノベーション・リフォーム:新築だけではなく、戸建てやマンションのリノベーションやリフォームも依頼することができます。
- 集合住宅:賃貸用の建物を建てたり、複数の世帯がわかれて住む建物をデザインしたり、コーポラティブ・ハウスを設計したりするのも建築家の得意領域です。
- インテリア・デザイン:建物全体とのつながりを考慮したインテリアのデザインはもちろん、インテリア・デザインだけを依頼したいという場合でも得意な建築家がいます。
- オフィス:最近では企業ごとの働き方が多様化し、コロナ禍でリモートワークやアドレスフリーを導入する企業が増えるなか、建築家に依頼して自由なオフィス設計をする企業も急激に増えています。
- 店舗:アパレル、レストラン、美容院など、さまざまな形の店舗を依頼することもできます。建築家に頼むと、あなたの店舗だけの特別な空間やアクセントを生み出すことができます。
- グラフィック・デザイン:実際の建物だけではなく、企業ロゴや画像処理などのグラフィックのデザインが得意な建築家も多いです。
- プロダクト・デザイン:意外に知られていませんが、椅子やソファ、テーブルなどの家具、食器や調理器具、照明、カバン、アクセサリーなど、モノや製品などの「プロダクト」をデザインできるのも建築家ならではの領域です。
- ランドスケープ・デザイン:ランドスケープとは「景色」や「風景」と訳されることが多いですが、庭、広場、公園など外の空間のデザインを「ランドスケープ・デザイン」と呼び、建築家ならではの美しいデザインを施してくれます。
- ビル・複合施設・商業施設:世界中の有名なビルや施設も、建築家が手がけているということは意外に知られていないかもしれません。大きな施設を建てたいときは、まずは建築家を検討することをお勧めします。あなたの事業的な目的を解いた設計をしつつ、建築家ならではのユニークなデザイン性や物語を生み出してくれることでしょう。
- ホテル:美しいホテルや旅館など、デザイン性だけでなく宿泊者の利便性や居心地もトータルで考えなければいけないものこそ、建築家に依頼することで大きなメリットがある領域の一つです。
- 工場:効率の良い生産を達成する最適なデザインをすることはもちろん、資金計画を相談したり、デザイン性をこだわったりすることも建築家になら依頼することができます。
- 学校:小学校・中学校・高校・大学の新しい校舎を設計したり、幼稚園や保育園を建てたりするときに、建築家に依頼する方は近年とても増えています。その土地や地域ならではの制約があったり、学校それぞれの希望や要件があったりする中で、それらを最大限に実現する個別の解法を建築家は見出してくれます。
- 病院:病院にも様々な種類がありますが、それぞれの機能や必要なことを踏まえて、建築家が最適なデザインをしてくれることが多いです。総合病院、小児科、産婦人科、歯医者、動物病院など、それぞれの病院の形で求められるものは変わるため、近い実績を持つ建築家をご紹介することが可能です。
ここで挙げたものも例に過ぎず、建築家はとても広い領域をカバーしているプロ集団です。それぞれの設計事務所によって得意領域や人柄・コミュニケーションスタイルなどが異なるため、気になる方はタイテルの建築家の無料紹介 をご利用いただくのが便利です。設計事務所出身の建築アドバイザーが、それぞれのクライアントや要望に応じたぴったりの設計事務所を紹介しています。まずは気軽な相談からでも受け付けているので、お気軽にご利用ください。
7. 設計事務所の役割
建物を建てる上では 3 つの専門領域・役割がありますが、建築家に依頼する大きな役割として、設計事務所は「設計」と「監理」の立場からあなたの利益になる形ですべてが進んでいるかのチェックをしてくれるという役割があります。
3 つの役割:
- 設計者:家のデザインや設計を考えたり、図面を書いたり、全体を「設計」する人。設計士の役割。
- 施工者:図面に基づき、実際に家を建てる作業を行う人。工務店に依頼し、職人さん・大工さんが担う役割。
- 監理者:家の工事が予定通り進んでいるか、図面に基づいて正確に作られているか、適切なコストに抑えられているか、客観的な立場からチェックする人。
例えばハウスメーカーに依頼をすると、この 3 つのすべてを同じ相手に依頼するということになることが多いです。このような場合、実際の現場や資材の調達でどういうことが起きているか、部材や工務店の値段は本当に適切なのか、施主には見えづらいことがあります。
ヨーロッパでも「施工」と「監理」が分かれている家づくりが一般的です。建築家という明確な監理者がいてくれることで、全体のプロセスをあなた目線でチェックしてくれるプロに任せることができます。
家づくりや施設の設計を依頼するときは、誰が施工をするのか、誰がそれを正しく監理できるのかという役割分担に気をつけて依頼するようにしましょう。
8. お金の話:設計料の相場
設計事務所に仕事を頼むときに、どれくらいの費用がかかるのかというのもあまり知られていないかもしれません。一般的には、新築住宅の場合は総工費(建物価格)の 10~20% が設計事務所への費用(設計監理手数料)になることが多いです。
例えば 5,000 万円の工事費がかかる建物の設計を依頼する場合、設計料率を 15% をすると、設計料は 5,000 万円 × 15% = 750 万円になります。
この 15% を高いと考えるか低いと考えるかは、その時の建物や状況によってケースバイケースです。自由な設計を依頼したいという方にとっては必要不可欠な高くないコストでしょうし、メーカーの規格住宅などと比べられる方にとっては高く見えるかもしれません。
ビジネスモデルの違いにより、ハウスメーカーと建築家では、それぞれ違うものに対してお金を払うことになります。
《 ハウスメーカーの場合 》
華やかなテレビ CM をよく見たり、立派な住宅展示場で熱心な営業マンが話をしてくれることがあったりすると思いますが、 ハウスメーカーはマーケティングに多くの費用をかけるビジネスモデルをとっています。ハウスメーカーで家を建てる場合、建物費用の約 30~50% が営業経費であると言われています。つまり、建て主が支払うお金の約 1/3 から 1/2 は、建築工事や住宅資材ではなく、営業やマーケティングにかかる費用です。
これは良い悪いではなく、そういうビジネスモデルだということを認識することが大切です。ハウスメーカーは、似た商品を大量生産することによって 1 軒あたりのコストを下げて、マーケティングでたくさんの顧客を獲得し、自分たちの商品を気に入ってくれた顧客に対してリーズナブルな価格の家を売っている会社です。ハウスメーカーのカタログにのっている商品が気に入った場合は、それ以上に価格が下がることはなく、とても割安に家が買えるという建て主のメリットにつながります。
《 設計事務所の場合 》
設計事務所に家づくりを頼む場合は、マーケティング・コストに対してではなく、建築家に設計してもらうことに対してお金を払うことになります。設計事務所の家づくりは、設計料という部分だけを切り取ると、ハウスメーカーに比べて高い金額になります。ハウスメーカーの「商品」をカタログから買うわけではなく、ゼロから建て主の希望に沿った間取りやデザインを考えていくため、建て主はその時間・作業・発想力などに対してお金を払うことになります。
建築家への設計料は建築価格の 10~20% ほどであることが多いです。ほとんどの設計事務所はマーケティングなどは行っていないため、この 10~20% の費用は建築家の実際の仕事に対してお金を支払っていることになります。ハウスメーカーは規格や商品がある程度決まっていることが多いので、設計料はそこまで高くならない傾向にあります。
このように、ハウスメーカーと設計事務所のビジネスモデルは全くちがいます。ハウスメーカーはマーケティングや大量生産に経費を使い、建築家はそれぞれの建て主への設計に時間とお金をつかっています。建主にとってみれば、営業経費(によるスケール・メリット)にお金を払うのか、個別の設計作業(による自由なデザイン)に対してお金を払うのかの違いです。どちらが良いか悪いかではなく、あなたが求めているものが何かを考え、それをより叶えてくれる相手を見つけることが、後悔しない家づくりをする上でとても大切なことになるでしょう。
9. よくある建築家のイメージと実態
建築家や設計事務所に対しては、偏った極端なイメージを持っている人も少なくありません。多くの場合では真逆のイメージを持ってしまっていることも多いため、ここではよくある誤解を紐解いていきます。
9-1. 設計事務所は値段が高い?
自由な家づくりをしたい場合は、設計事務所の方がむしろ安くなります。逆に、ハウスメーカーのカタログにある商品や規格住宅をそのままの状態で満足できるという方は、設計事務所に頼むのは割高になります。
《 ハウスメーカーなどが割安になるケース 》
カスタマイズが少ない場合は、ハウスメーカーなどがお得になることが多いでしょう。たくさんの住宅で共通する資材を使うことで費用を安くしていることが多いため、カタログに載っている図面やデザインからほとんど変える必要がない場合は、費用が安くなることが多いです。逆に、あなたの希望に合わせたカスタマイズが多くなってくると、ハウスメーカーはかえって割高になることが多いのが特徴です。
《 建築家・設計事務所が割安になるケース 》
こだわりのある柔軟な設計をしたい場合は、建築家との家づくりがお得になることが多いです。設計事務所には決まったパッケージや規格がない分、デザインも構造も資材も設備もすべてゼロから考えることになります。その中でひとつひとつあなたの希望を叶えれば、適切な価格であなたのこだわりの家を建てることができます。
あなたの家づくりではどちらの方が安くなるかわからない方は、一級建築士への無料相談 を活用してみてください。家づくりの専門家が、コストの考え方やあなたの家づくりにぴったりの進め方を客観的にアドバイスしてくれます。
9-2. 建築家は気むずかしい?
むしろ逆で、建築家はとても話しやすい、コミュニケーションのプロが多いです。
尖ったデザインをするアーティスト寄りの建築家はむしろ少数派で、建築家さんは気さくに話せる人が実は多いです。1-2 年にわたる家づくり・設計プロセスの後は、担当してくれた建築家と親しい仲になる建て主も少なくありません。
タイテルの建築家紹介 では、作風や実績などはもちろん、建築家と建主の人柄の相性も含めて建て主にぴったりの建築家をご紹介しています。気になる方はぜひお気軽にご利用ください。
9-3. 建築家は希望を聞いてくれない?
建築家は、まずあなたの希望をすべて聞いて、それをどう実現できるかを考えてくれるプロの人たちです。
あまり知られていないですが、「クライアントの希望を叶えるのが自分たちの仕事」「やりたいことを遠慮なく言ってくれる方が嬉しい」と言う建築家の方が実際は多いです。こだわりの希望がある方は、まずはぜひ建築家に相談してみてください。
10. 設計事務所へのよくある疑問
設計事務所に対するよくある質問にひとつずつお答えしていきます。
10-1. [Q] 建築家の住宅は、結局いくらくらいの総工費になるのか?
家づくりの費用を算出する上では様々な要素が関わってきますが、ざっくりとした費用感は「面積」と「構造」に大きくは左右されます。総工費の目安は、「延べ床面積(坪数)」×「坪単価」で計算されることが多いです。例えば 40 坪の家を坪単価 100 万円で建てたい場合は、40 坪 × 100 万円 = 4,000 万円の総工費という目安で計算されます。
坪単価は木造や RC 造などの建物構造によって左右されます。それぞれの特徴と費用感はこちらの通りです。
構造種別 | メリット・デメリット | 平均 坪単価 (※) |
---|---|---|
《 木造 》 |
|
70~120万円/坪 |
《 鉄骨造(S造)》 |
|
100~150万円/坪 |
《 鉄筋コンクリート造(RC 造)》 |
|
120~180万円/坪 |
(※) 平均坪単価は、あくまで参考費用です。面積が小さい家では坪単価は割高になり、同じ面積でも凹凸が多いほど高額になります。 エリアや地形、仕様、施工業者によっても費用にばらつきがあります。
費用について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください:
10-2. [Q] コロナやウッドショックの影響は受けているのか?
建築家との家づくりでは、設計料の金額感は変わっていませんが、建材の調達は影響を受けているところは少なくありません。これは建築家というよりも、部材を調達する工務店にヒットしている値上がりです。木材の世界的な供給不足により、建材の供給が以前より減っており、最近の木造住宅の値段は 10~20% 前後の値上がりがあることもあります。
今後の見通しはなかなか予想が難しいですが、建設需要の落ち着きやコンテナの供給が増え始めたことなどからまた緩やかに値段が下がり始めるだろうという見方をする専門家も少なくありません。
10-3. [Q] ハウスメーカーよりも性能が落ちるのか?
耐震性や耐久性など、建築家の家はハウスメーカーほどの性能の高さはないと誤解されている方も少なくありませんが、設計事務所との家づくりは性能も含めて設計が自由であるため、あなたの希望次第ではハウスメーカー以上の性能を備えることも可能です。
家の形や構造なども耐震性に大きく関わってきますが、ハウスメーカーの耐震性では不安で物足りないという方を、構造設計にも強い設計事務所にご紹介した事例もタイテルではあります。
耐久性を優先される人にはそれに適した構造や仕上げを施したり、ホームシアターや楽器の演奏部屋がほしいという人には防音性の高い構造を選んだり、性能にこだわる人こそプロの建築家にデザインを頼むことも多いです。
10-4. [Q] 拠点が近い設計事務所に頼んだ方がいいのか?
基本的には、設計事務所の拠点はそこまで気にしなくても大丈夫です。コロナ禍でオンラインの環境が整ったこともあり、多くの建築家が全国対応をしています。
重要なミーティングは直接会って話をしたりすることもありますが、設計の段階ではオンラインで済ませることも難しくはありません。また、施工の段階になったら(工事が始まったら)、建築家は定期的に現場を訪れてプロセスをチェックしてくれますが、遠方の設計事務所を雇う場合はその交通費精算は発生する可能性があります。
こまめに直接会って話したい方や、交通費の実費精算も節約されたい方は近くの設計事務所に頼むメリットはありますが、基本的には作風・実績・建築家の人柄などで選ぶ方が重要でしょう。頼みたい設計事務所がある場合、遠い場所にあるからといって諦める必要はありません。
10-5. [Q] 大手や有名な設計事務所はどこか?
設計事務所のランキングなどを調べている方などもいますが、基本的には設計事務所や建築家をひとつの基準だけで比べるのは難しいです。ベテランの建築家、有名な建築家、多くの戸数を経験している設計事務所、受注の金額が高い設計事務所、人数の多い設計事務所などさまざまな形がありますが、大きかったり有名だったりするからあなたに合っているとは限りません。
同じような物件をやったことがある設計士だと安心する、デザイン性が好きだからこの建築家に頼みたいなど、うまくいく事例では「自分に合った」設計事務所を選んでいる方が多いです。
建築家に設計を頼んでみたいと気になっているけど、どうやって選べばいいかわからない・始め方がわからないという方は、タイテルの一級建築士への無料相談 をぜひ活用してみてください。設計事務所出身のタイテル建築アドバイザーが、気軽な相談からぴったりの建築家紹介まで、家づくりのすべてを丁寧にサポートしています。
10-6. [Q] 自分でも住宅の設計を頼めるのか?
だれでも建築家に設計を依頼することができます。設計事務所は敷居が高いという誤ったイメージを持たれている人が多いですが、日本には 110 万人以上の建築家がいて、あなたに合った建築家は必ずいます。予算が決まっていたらそれに合わせた設計を考えてくれますし、こだわりの条件があればそれを実現するためにプロの知見を存分に発揮してくれます。こだわりの建築を考えている方は、まずは設計事務所に相談してみるのがいいでしょう。
タイテルでは、建築アドバイザーがあなたの希望をヒアリングした上で、あなたにぴったりの設計事務所を無料で紹介 しています。建築家に頼みたいと思っているけどどうやって始めたらいいかわからないという方は、ぜひお気軽にご利用ください。
11. まとめ
意外と知られていない設計事務所や建築家について、様々な観点から徹底解剖をしてきました。
- 建築家は、決して敷居が高いわけではなく、幅広い領域のデザインをしてくれるプロであること
- あなただけの自由な設計をしたいときは、まず建築家に話を聞くことがおすすめであること
などがお伝えできていれば幸いです。
タイテルは、国内の厳選された建築家 が登録しているプラットフォームです。一級建築士の資格をもつタイテル建築アドバイザーがあなたの希望をお聞きして、あなたの住宅や施設・店舗の設計にぴったりの建築家をご紹介 することも可能です。無料相談 も行っておりますので、設計事務所が気になっている方はぜひお気軽にご相談ください。
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後悔しない家づくりをするためには、プロの意見を一度は聞いてみることがオススメです。