コンクリの家 | 3つのメリットと注意点・費用を徹底解説

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「コンクリの家」は、スタイリッシュなデザインで人気がある構造の一つです。個人の住宅だけではなく、集合住宅やオフィス、ホテルなどの大規模な施設に使われることも多い「コンクリート」とは、一体どのようなものなのでしょうか?
ここではコンクリートの家を建てるメリットと注意点、そして費用について説明します。

<目次>

  1. 1. コンクリとは?
  2. 2. コンクリの家を建てる3つのメリット
    1. 2-1. 実は高性能(耐久性・耐火性・遮音性)
    2. 2-2. 広々とした空間 / スッキリとした空間
    3. 2-3. 自由度の高いデザイン
      1. - コンクリート = 打ちっ放しではない
      2. - 曲面を用いた有機的な形をつくることもできる
  3. 3. コンクリの家を建てるときの3つの注意点
    1. 3-1. 断熱性・気密性を確保する
    2. 3-2. 換気計画を立てる
    3. 3-3. メンテナンスを考慮する
  4. 4. コンクリの家の建設費用はどのくらいかかる?
  5. 5. コンクリの家が向いている人と向いていない人は?
  6. 6. まとめ

1. コンクリとは?

「コンクリート」の略です。コンクリートとは、セメントに骨材(砂利や砂)と水を加えて練り混ぜてつくる建築材料のことです。セメントが接着剤の役目となり、骨材が結合することで強度を生み出しています。

「コンクリの家」とは、一般的には「鉄筋コンクリート造の家」を指します。鉄筋コンクリートとは、いろんな方向から力がかかっても十分に耐えられるように、コンクリートに鉄筋を入れたものです。
「より強化されたコンクリート」という意味の英語である「Reinforced Concrete」を略して「RC」とも呼ばれています。

2. コンクリの家を建てる3つのメリット

2-1. 実は高性能(耐久性・耐火性・遮音性)

最大のメリットと言えるのが性能の高さです。木造や鉄骨造に比べて、特に耐久性、耐火性、遮音性に優れています。

鉄筋コンクリート造の建物の耐用年数は「47年」といわれています。一般的に木造は「22年」、鉄骨造は「27年」といわれているので、コンクリート住宅がいかに耐久性に富んでいるかがわかります。

またコンクリートは材料そのものが燃えることがなく、熱にも強いため「耐火構造」とすることができます。
木造や鉄骨造の場合には、構造を耐火性・断熱性の高いもので覆わなければ「耐火構造」として認められません。そのため耐火構造が必要となる都市部の建物や、3階建て以上の建物、大規模な建物には鉄筋コンクリート造が適しているのです。

最後に遮音性の高さ。厚い壁にコンクリートが隙間なく詰まっているので、音を通しにくいという特徴があります。車の音や周囲の騒音が気になる人、ピアノなど楽器を弾きたいという人にはピッタリです。

【コラム】RC で最上級の耐震性を極める?

一般的な耐震性であれば木造でも耐震性が十分に高い家を建てることはできますが、「どれだけお金をかけてでも、可能な限り耐震性を高くしたい」「高層ビル並みの耐震性が欲しい」という方もいます。そのような希望がある方は、コンクリートで建てることをおすすめします。
木造で耐震性を極めるにはかなりの量の補強材が必要になるため、部屋が狭くなったり窓が小さくなったり、間取りの自由さが限られたり、不自由が多くなってしまうことが多いです。普通の家以上の耐震性を望む方は、RC で家を建てるのが現実的となるでしょう。

2-2. 広々とした空間 / スッキリとした空間

コンクリートの家がスタイリッシュに見えるのは、「視界が抜けた大空間」や「凸凹の少ないスッキリとした空間」を実現しやすいからかもしれません。
鉄筋コンクリート造には、主に2つの構造形式があります。「ラーメン構造」と「壁式構造」です。

ラーメン構造」とは、柱と梁でフレームを組んで建物の重量を支える構造です。
鉄筋コンクリートは、木造に比べて大きな力にも耐えることができるため、柱の数を減らして広々とした大空間をつくることができます。また将来的な間取りの変更や、リフォームに対応しやすいという利点もあります。窓の位置を比較的自由に決められたり、窓を大きく取れたりするのもメリットです。

諏訪山の家|Suwayama House (武富 恭美 の作品) 諏訪山の家|Suwayama House (武富 恭美 の作品) 諏訪山の家|Suwayama House (武富 恭美 の作品)
諏訪山の家|Suwayama House(建築家:武富 恭美

壁式構造」とは、柱と梁を設けず、壁だけで建物を支える構造です。ラーメン構造に比べて壁の量は増えますが、柱や梁の凸凹が出てこないためスッキリとした空間になります。また壁式構造は、部屋間の遮音性に優れているというメリットもあります。

2-3. 自由度の高いデザイン

コンクリート = 打ちっ放しではない

自由に仕上げを決められるというのもコンクリートの家の魅力です。
「コンクリートの家」と聞くと、コンクリートの壁がそのまま仕上げとなる「打ちっ放し」を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、「コンクリート=打ちっ放し」という訳ではありません。

例えば自分の好きな色に壁を塗装したり、壁紙を貼ったり、場合によっては木を貼ったりすることもできます。
外壁についても同じです。石を貼ったり、タイルを貼ったり、左官で仕上げたりすることもできます。

湯布高原のVILLA (吉田慎二+杉田陽子 の作品) 湯布高原のVILLA (吉田慎二+杉田陽子 の作品) 湯布高原のVILLA (吉田慎二+杉田陽子 の作品)
湯布高原のVILLA(建築家:吉田慎二+杉田陽子

曲面を用いた有機的な形をつくることもできる

コンクリートを用いると、ダイナミックな形状をつくることもできます。
コンクリートの壁は、まず木の板で型枠を組んでその中にコンクリートを流し込み、コンクリートが十分に固まったら型枠を外すという流れでつくられます。型枠の形に合わせてコンクリートがかたどられるので、型枠を曲面でつくることで曲面のコンクリート壁をつくることができるのです。
木造でも曲面の壁をつくれないことはないですが、その分構造が複雑になったり、たくさんの骨組みが必要になったりするため、あまり合理的ではありません。

Stir (御手洗 龍 の作品) Stir (御手洗 龍 の作品) Stir (御手洗 龍 の作品)
Stir(建築家:御手洗 龍

3. コンクリの家を建てるときの3つの注意点

鉄筋コンクリート造の家にはメリットもたくさんありますが、気をつけなければならないポイントもあります。

3-1. 断熱性・気密性を確保する

コンクリートの家を建てるときには、きちんと断熱をすることと、室内の熱や冷気が外へ逃げないよう気密性を保つことが大切です。
もちろん木造や鉄骨造の住宅でも断熱はすべきですが、コンクリートの住宅ではコンクリートの材料の性質を踏まえた上で断熱を考えることが重要です。

【コラム】コンクリート住宅は健康に良くないって本当?

「コンクリート住宅は健康に良くない」という話を耳にして、心配になった人もいるかもしれません。実際にそのような本や記事を見かけることもあります。
その根拠ははっきりと提示されてませんが、おそらく「コンクリートが体の熱を奪う」という考えからきていることが考えられます。

コンクリートは熱を通しやすい材料です。つまり外気温の影響を受けやすく、「夏は暑く、冬は寒くなりやすい」ということです。
例えば、冬の寒い日にコンクリートの床を裸足で歩いたら冷たいと感じますよね。それはコンクリートが体温を奪っているからなのです。
靴下を履いたり、カーペットを敷いたりすれば、冷たさが軽減するのはイメージしやすいかと思いますが、断熱材を入れるのも同じ原理です。熱を伝えにくい材料で家の外周を囲うことで、外気温の影響を受けにくくなり、木造や鉄骨造の家と変わらず快適に過ごすことができます。

コンクリート造の場合は、外壁に断熱材を貼る「外断熱工法」が特におすすめです。外断熱を採用すると、コンクリートの蓄熱作用をうまく活かすことで冷暖房の負荷を減らすことができるのです。
例えば夏に室内で冷房をつけると、コンクリートが急速に冷え、家の中全体が冷えやすくなるという効果があります。外壁の外側には断熱材があるため、外からの熱は室内へ入ることはなく、冷えた空気も外へ逃げることはありません。

一方で、コンクリート打ちっ放しの外観にしたいという希望がある場合には、内壁に断熱を入れる内断熱がおすすめです。断熱材を入れる分、部屋の面積が少し圧迫されてしまうというデメリットはありますが、内断熱の方が外断熱よりも低コストで施工できるというメリットもあります。

3-2. 換気計画を立てる

コンクリートは水分や湿気を吸収しやすく、湿気が溜まった空間ではカビが生えやすいので注意が必要です。空気がこもらないよう、定期的に換気をおこなうことが大切になってきます。
快適な室内温度を保つには、「熱交換換気」がおすすめです。外の空気を取り込んで室内の空気と入れ替える、というのが通常の換気ですが、熱交換換気の場合は、外気を室内の温度に近づけてから取り込むことができるので、室内の熱を逃さずに換気ができます。
特に冬になると寒さから給気口を塞いだり、窓を締め切ったりすることで換気が十分に行えず、湿気が溜まってしまうことがあります。日常的に換気をおこなう習慣をつけたり、熱交換換気を取り入れたりするなどの工夫をしながら、結露やカビが発生しないよう注意しましょう。

3-3. メンテナンスを考慮する

コンクリートの住宅は、屋上や外壁のメンテナンスが命です。
コンクリートの家ではフラットな屋根が採用されるケースが多く、水はけが悪いため、メンテナンスを怠ってしまうと雨漏りのリスクが一気に増します。
耐久性が高いコンクリートの家ですが、雨漏りを起こしてしまうと大変な状況になりかねません。ひどい場合にはコンクリートの中の鉄筋が錆びてしまい、コンクリートが割れてしまう危険性もあります。

屋上の防水については「耐用年数」を把握し、定期的にメンテナンスをすることが大切です。防水の耐用年数は製品や施工方法によって違うので、新築時に確認しておいてください。理想は5年に1度、トップコートの塗装をおこなうこと。簡単なメンテナンスをこまめにおこなうだけで、防水層の持ちが良くなります。

また外壁塗装のメンテナンスは、一般的に10年に1度が理想だといわれています。ただしコンクリートの壁にひび割れが生じた時には、そこから雨水が侵入するリスクがあるので、早めに補修をすることが大切です。
シンプルな打ちっ放しの外観の場合は、ひび割れや雨染み、汚れが目立ちやすいというデメリットもあります。しかし、細やかなメンテナンスをすれば美しさを保つことができます。コンクリートの風合いを残せるような補修剤や塗装もあるので、専門家にコーティングの種類やメンテナンス方法を相談してみましょう。

4. コンクリの家の建設費用はどのくらいかかる?

面積や建物の形状にもよりますが、1坪あたり 120~180万円 程度かかるケースが多いです。木造や鉄骨造に比べると、基本的には建てる時のコストは高くなります。
構造ごとの費用の比較はこちら

ただし長い目で見ると、コンクリートは建て替えのスパンが長く経済的だという考え方もあります。しかも定期的にメンテナンスをおこなっていれば、一般的な耐用年数(47年)より長く使える可能性も大いにあります。

また、「限られた予算内でコンクリート造を実現したい」という場合には「混構造」を採用するという選択肢もあります。

【コラム】混構造とは?
岡本の家|Okamoto House (武富 恭美 の作品) 岡本の家|Okamoto House (武富 恭美 の作品) 岡本の家|Okamoto House (武富 恭美 の作品)
岡本の家|Okamoto House(建築家:武富 恭美

「混構造」とは、異なる構造を組み合わせることです。例えば「1階は鉄筋コンクリート造で2階は木造」「地下は鉄筋コンクリート造で1・2階は鉄骨造」などのケースが挙げられます。

自分の叶えたい希望と予算に合わせて、それぞれの構造の強みを活かせるというのが混構造メリットです。「広いガレージを作りたいけれど費用が心配」「音楽スタジオをつくるのに遮音性が欲しい」などの要望があるときには、部分的に鉄筋コンクリート造を取り入れるというのも一つの方法です。
ほかにも、例えば敷地が傾斜地の場合には、下の階は安定性や耐震性の高いコンクリート造とし、その上に温かみのある木造を載せるという選択肢もあります。
混構造の場合、構造計算が複雑になったり、施工手間がかかってしまうという可能性もあります。必ずしも大幅なコストダウンになるとは限らないので、建築家の意見を聞いて判断することをおすすめします。

5. コンクリの家が向いている人と向いていない人は?

コンクリートの特徴から、このようなことを考えている方は RC の家が向いているかもしれません:

  • とにかく長持ちして性能が落ちにくい家に住みたい
  • 耐火構造にしなければならない
  • 楽器の演奏部屋やシアタールームなど、防音性が高い空間がほしい
  • 柱や壁が少ない広いスペースをつくりたい
  • 大きくて開放的な窓を自由にとりつけたい
  • コンクリートのスタイリッシュなデザインが好き

逆に、「とにかくコストを抑えたい」という方には、必ずしもコンクリートの家は向かないかもしれません。色々なメリットがある分、RC の家は木造や鉄骨造に比べて坪単価が高くなることが多いです。

そのほかにもいろいろな希望や条件があるため、迷っている方はあなたに合う家の構造をしっかりと考えることが大切です。自分で調べきれないことも多いと思いますので、 専門家への無料相談 なども活用して後悔のない家づくりを進めましょう。

6. まとめ

注意点さえ気をつければ、お洒落でスタイリッシュなコンクリの家を実現することができます。ただし、性能面については専門的な知識が必要なので、建築の知識を持った専門家やプロの建築家に相談することをおすすめします。プロの建築家はさまざまな希望や条件から、「あなたのケースではどの構造がぴったりか」ということを提案してくれます。

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一方で「建築家に問い合わせるのはハードルが高い」「どの業者と家づくりを進めるか悩んでいる」という人もいるかと思います。タイテルの建築アドバイザーが第三者の立場でアドバイスをすることもできますので、 タイテルの無料相談 をぜひご活用ください。