天窓で後悔しないためのポイント + 事例10選
今回は、洋風住宅などで人気の高い天窓について紹介していきます。
みなさんが不安に思われている「天窓は雨漏りが多い?」「天窓ってデメリットが多いって聞くけど本当?」「メンテナンスってどれくらいかかるの?」といった不安を解消します。
また、天窓を採用した建築家のオシャレな住宅の事例も合わせて紹介しますので、ぜひ悩んでいる方は検討の材料にしてください。
それでは、まずは今回の記事のポイントをみていきましょう。
- 天窓はトップライトとも呼ばれ、採光・通風を目的として設置される窓のことです。
- 天窓のメリットは、家の中心部でも自然の光を取り込めることと、夏季の室内の熱を逃がす役割を果たすことです。
- 天窓のデメリットは、メンテナンスをしっかりする必要があることです。
- 雨漏りは、定期的な防水メンテナンスを行うことで安心して使うことができます。
- 建築家に依頼すると既製品の天窓だけでなく、建物のデザインに合わせて窓の大きさ・角度・取り入れる光量まで考えて設計してくれるので、おしゃれな空間を演出できます。
1. 天窓(トップライト)とは?
屋根に設ける窓のことを「天窓」または「トップライト」と言います。 特に洋風住宅や、スタイリッシュなモダン住宅に取り入れられることが多く、昔から人気があります。
まずは、気になる天窓のメリットとデメリットをみていきましょう。
1-1. 天窓(トップライト)の役割
家における天窓の役割は、「採光や通風を屋根で取ること」です。 特に北側の部屋や採光が取りにくい部屋は、天窓があることによって日中の部屋の明るさが向上します。
また、吹き抜けなどの空間に開閉式の天窓を設けることで、空気の流れを創り出すことができます。 一般的な窓は水平方向の空気の流れですが、天窓があると空気が上下でも対流するため、空気の流れがより一層活発になります。
そんな天窓のメリット・デメリットを 1 つずつ解説していきます。
1-2. 天窓(トップライト)のメリット
天窓のメリットは主に 3 つあります。
- 採光が取れること
- 開閉ができるタイプなら換気・通風が確保できること(特に夏)
- 星空や朝日を感じられること
採光が取れること
役割でもお伝えしたとおり、採光が取りにくい部屋の明るさを確保することができます。
昼間の自然光は、直射光・天空光・反射光の3つの種類があります。 その中で、天窓からは天空光(空の明るさ)を取り込むことで部屋を明るくします。 天空光は、直射日光と異なり眩しくなく均一なやさしい明るさが特徴で、採光を安定して部屋に取り込みます。
また、晴れの日だけでなく曇りの日でも、天窓から天空光を取り込むことで日中に照明が必要なく過ごすこともでき、自然な明るさが最大の魅力と言えます。
開閉ができるタイプなら換気・通風が確保できること(特に夏)
空気は比重の関係で、あたたかい空気が上に、涼しい空気が下に流れていきます。 そのため、建物内の暑い空気が建物・部屋の上にあがっていき、開閉ができる天窓があれば、窓から外気を取り入れて天窓から暑い空気を逃がします。
特に夏場には暑い空気を天窓から逃がすことで、有効的に熱を排出することができ、建物の中に気持ちよく風が流れます。
星空や朝日を感じられること
天窓では、壁に設置された窓では感じることができない「空」を感じることができます。 起床時に朝日を感じながら起床する、または夜に星空を見ながら就寝する、といった天窓ならではのメリットを感じられるでしょう。
1-3. 天窓(トップライト)のデメリット
天窓の主なデメリットはこちらの 3 点です。
- メンテナンスを怠ると雨漏りのリスクがある
- 夏に暑い、雨の音が気になる場合がある
- 太陽光発電の設置スペースが少なくなる
抑えておくべき最大のデメリットがメンテナンスです。
屋根は定期的に雨漏りチェックが必要ですが、天窓がある場合は特に雨漏りに注意しましょう。 開閉ができないFIX窓の場合は、窓が設置されている周囲、開閉ができるタイプは窓周囲に加えて窓自体からの雨漏りもチェックが必要です。 10 年おき、できれば 5 年おきに専門業者でチェックしてもらうと良いでしょう。
そして天窓ならではのデメリットとしては、夏に暑くなる場合があることと、雨の日は雨音が気になる場合があることです。 日光で部屋を明るくしてくれる天窓は、夏に熱気も取り込んでしまうことがあります。 昔の窓に比べて、遮熱性能も高くなっており、ガラスから取り込む熱は軽減されているとは言え、真夏は天窓から熱を取り込んでしまいます。 熱対策として天窓用のカーテンも販売されていますので、暑いと感じることが多い場合はカーテンを併用すると良いでしょう。
3 つ目は太陽光発電を設置する場合、設置スペースが少なくなることが挙げられます。 屋根形状や天窓設置場所によりますので、一概に全てのケースで天窓で設置面積が少なくなるわけではありませんが、太陽光発電を設置したい方は建築家とプランを考えましょう。 太陽光発電の設置プランも、天窓を避けて設計したり、天窓を北面のみに設置するなど工夫次第では避けることができます。
2. 天窓(トップライト)で雨漏りを防ぐメンテナンス
天窓で一番気を付けたい「雨漏り」。 最大のデメリットへの対策として、注意しておきたいポイントをみていきましょう。
2-1. 雨漏りが起きるメカニズム
屋根と窓の取付部のパッキンや下地枠が劣化してきて、そこから雨が入り込んでしまう、ということが雨漏りが発生する主な原因です。
一般的な屋根でも、屋根材のズレ・劣化などが原因で雨漏りをすることがありますが、屋根に穴を空けている天窓部分がどうしても弱点になりがち。
壁面に比べて直射日光・雨をダイレクトに受けるため、壁面の窓に比べて劣化が早いことは事実です。
2-2. 防ぐ方法はメンテナンス次第
ズバリ、雨漏りを防ぐためには「メンテナンスをしっかり行うこと」です。
また、専門の慣れた業者・建築家で設計・メンテナンスすることをオススメします。 設置場所次第では室内からの点検も可能ですが、設置や取り外しなどは屋外から行うため、一般的には足場などを組んでメンテナンス・取替を行うことになります。
外壁や屋根の塗り替えも、素材によっては 10 年程度で行う必要があります。 そのタイミングで必ず天窓のパッキン・防水処理、劣化の程度によっては天窓自体の交換をしましょう。
適切かつ専門の慣れた業者に依頼することで、二次トラブルも防ぐことができます。 天窓を設計する場合は、施工経験のある建築家に相談するとよいでしょう。
3. 天窓(トップライト)の種類・価格
つづいて、天窓の種類をみていきましょう。
3-1. FIX式・開閉式
天窓には、ガラスが開閉できないFIX式と、窓を開けることができる開閉式(手動・電動)があります。
採光だけで良ければ故障などのリスクも少ないFIX窓がオススメですが、吹き抜けや 2 階廊下などに設置する場合は、開閉が電動でできるタイプがオススメです。 吹き抜けの上部にたまった熱気を逃がすには、天窓を開けることは非常に有効です。
設置場所や、メリットの1つでもある「通風」を取り入れるかどうか、が選択のポイントです。
3-2. 天窓(トップライト)を製造しているメーカー
現在、天窓を製造・販売している主なメーカーは 4 社。 「LIXIL(リクシル)」「ベルックス」「YKKAP」「三協アルミ」です。
- LIXIL:「スカイシアター」(1シリーズ)
- ベルックス:「スカイビューシリーズ」他、全3シリーズ(天窓専門メーカー)
- YKKAP:「天窓シリーズ」(1シリーズ)
- 三協アルミ:「天窓スターフルV(ヴイ)」(1シリーズ)
各社、FIX式・手動開閉式・電動開閉式の 3 種類があります。 メーカーによっては中軸回転式のオシャレな窓もあったり、用途や家のコンセプトに合わせて選んでも良いでしょう。
3-3. カーテン(ブラインド)の有無
各社、オプション設定でカーテン(ブラインド)があります。
南面に設置される場合、また寝室などに設置される場合は、カーテンまたはブラインドの併設をオススメします。
カーテン自体も、種類によってロールスクリーン・ハニカムブラインドなどの種類が多く、また遮光タイプなどラインアップが多くあります。
開閉方式は、電動・手動とありますので、予算と設置場所で選択可能です。
3-4. 価格の相場観
電動式と手動式で価格が大きく変わってきますが、手動式では約 5 万円~、電動式では約 10 万円~が相場になります。
施工費自体は新築では、別途の足場代などは不要なため割安で設置可能ですが、建築家に相談しましょう。
4. おしゃれな天窓(トップライト)の事例 10 選
つづいて、titel(タイテル)の建築家による天窓の建築事例を紹介していきます。
天窓をどこに設置しようか、天窓を設置するとどんな雰囲気になるか?といった実例が気になっている方はぜひご覧ください。
4-1. ANDON
こちらの事例では、LDK に大きな天窓を設置しています。 一般的な天窓とは異なり斜めに設置された大きな窓を天窓とし、開放感がある設計になっています。
4-2. 武蔵野の家 | Musashino house
寝室に天窓を設置した事例です。 斜め天井のトップに、天窓を設置することで、排熱・採光の役割を果たします。
注目すべき点は、寝ている場所に直接的に日光が入り込んでくる設計ではなく、壁面を明るく照らすことでやさしい明るさを天窓から取り込みます。寝室に取り入れる参考したい事例の1つです。
4-3. 神楽坂スウィートハウス | Kagurazaka House
天窓によって、空が見えるリビングの事例です。
こちらの事例の建物は、建物全体がコンパクトに設計されているため、大きいFIX窓を斜めに設けて、リビングに採光およに開放感を付加しています。
4-4. L-Court House
こちらの事例はオープン階段のある吹き抜け部分に、天窓を設けて明るさを取り入れています。
日中は、照明では創り出せない明るさを天窓で補い、吹き抜け全体をやさしく照らします。
4-5. MDCE
こちらは、階段部分を窓と天窓をくっつけて設置している事例です。
壁面側の窓はプライバシーの確保でかすみガラスにしていますが、天窓は隣地からの視線を気にする必要がないので透明ガラスで開放感を演出しています。
床・壁ともにホワイトで統一されている、明るくスタイリッシュなデザインをより一層、天窓が引き立てます。
4-6. 牛久の家 | Ushiku house
こちらの事例では寝室と吹き抜けに天窓を採用しています。
寝室は、部屋の中心ではなく角に設置することで、やさしい陽が差し込みます。 また廊下は暗くなりがちな、ホール・吹き抜け中心部に天窓を設けています。
日中は照明がなくても、部屋の中心から入る日光で、程よい明るさで和風住宅ならではの「わび・さび」を感じれます。
4-7. 千歳烏山の住宅 〜小さな自然を切り取る〜
奥の寝室とリビングを繋ぐ天井の高いテラス廊下に、天窓を設けた事例です。
「小さな自然を切り取る」というコンセプトになっており、天窓は空を切り取り、住空間の中に取り込んだ事例です。
天井が高いだけで開放感がありますが、天窓を設けることでまさに屋外のような空間を演出します。
4-8. 羽根北の家
こちらの事例は、季節に応じて天窓をうまく活用している事例です。
夏には天窓を開放して、1 階から入り込む風を取り込んで、室内にこもる熱を天窓から逃がすつくりになっています。 冬は天窓を閉め、日光をしっかり取り込むことで熱を室内に取り入れます。
採光を取り入れる箇所も建物の中心部にしており、建物全体の室内の明るさ確保といった機能的な役割と共に、緑を導入することで差し込む日光をより印象的に仕上げています。
4-9. House in Matsubara
こちらの事例は、小屋裏の採光として天窓を取り入れている事例です。
小屋裏は照明がしっかりないと、日中でも非常に暗くなるため、天窓を利用して明るさと開放感を創り出しています。
4-10. 川沿いのシルバートール
LDK の真ん中にはトップライトを設計しており、時間の変化に伴って室内に印象的な影を作り出します。
朝は気持ち良い日光を取り込み、日中は非常に明るいダイニングキッチンになります。
また、屋根に設置された天窓は3階を経由して、2 階のダイニングキッチンまで光が届くよう意図されて設計されています。
5. まとめ
以上で天窓のメリット・デメリット、そして豊富な事例を紹介してきました。
建築家ならではの特徴で、既製品の天窓の採用は少なく、建築に合わせた大きさを考慮して設計されている事例が多いことがわかります。
また、建築家では天窓が創り出す空間の雰囲気を考慮しながら、窓の大きさや角度までこだわって設計しています。
そのため、天窓を最大限活用して唯一無二の空間を演出している点が、建築家に設計を頼む一番のメリットでしょう。
せっかく天窓を設置しても、眩しい・暑いなどのデメリットが目立ってしまうような設計では残念です。
天窓をうまく活用して、オシャレな空間を要望される方はぜひ、titel(タイテル)の建築家にご相談 ください。
建築アドバイザーに相談してみよう
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後悔しない家づくりをするためには、プロの意見を一度は聞いてみることがオススメです。