【実例あり】天袋の使い方やおしゃれな活用法を紹介!地袋などまわりの収納も解説
天袋(てんぶくろ)はスペースを有効活用し、さらに部屋をおしゃれにしてくれる優れた収納です。しかしあまり天袋を使ったことがない方にとって、どんな物を入れるのか、新しい家にはどのように取り入れたら良いかイメージしにくいかもしれません。
ここでは天袋の基本的な使い道や、作るときの注意点などを詳しく解説します。また実際に天袋を活用している例や、部屋をおしゃれにする使い方も紹介しています。読んでいただくとより使いやすく、スタイリッシュな天袋を作れるようになります。
まず、この記事のまとめポイントです。
- 天袋は高い位置の空いているスペースを有効活用する便利収納
- 位置が高いため、出し入れしにくいなどの注意点がある
- 部屋の中はもちろん、ホールやキッチンなどさまざまなな場所に作ることができる
- 収納だけでなく、飾り棚やエアコンの目隠しなど部屋をおしゃれにする役割もあり
- 地袋などまわりの収納も合わせて設計すると、さらに便利でおしゃれになる
1. 天袋はスペースを生かす収納
天袋とは、目線より上の高さにある作り付けの収納で、窓や押し入れの上など使われない空間を有効活用できます。ちなみに下に何もない天袋は、吊り戸と呼ぶこともあります。洋室や和室、キッチン、ホールなど、場所を選ばずに作ることができるのも特徴の一つです。
正面には押し入れと同じ左右にスライドする襖を付けたり、取り出し口がより大きく開く扉を付けたり、何も付けずオープンにしたりもできます。天袋はより使いやすいようにアレンジもできる収納です。
1-1. 天袋の使い道とは
天袋には普段あまり使わない軽めの物を入れるのが一般的です。これは天袋が高い位置にあり、出し入れがしにくいためです。昔はお客さま用の座布団や、あまり使わない頂き物などを入れるのが定番でした。現在は季節から外れる衣類や、出番の少ない小物などを入れるご家庭が多いようです。
1-2. 天袋のデメリット
スペースを無駄なく生かせる天袋ですが、実際に作るときは次のようなデメリットに注意するようにしましょう。
出し入れがしにくい
天袋は高い位置にあり、物を出し入れしにいというデメリットがあります。両手を頭上に伸ばして作業するため、特に重い物はかなり出し入れしにくくなります。このため天袋には、できるだけ軽い物を入れるようにしましょう。
もし押し入れの上を活用したいなら、押し入れ内の天井を高く作り、枕棚を付けて天袋代わりにする方法もあります。天袋より若干スペースは小さくなりますが、出し入れはかなりしやすくなります。
重い物は入れられない
天袋は、何十㎏もある重い物を入れても耐えられるように作られていません。前述のように高い位置で出し入れがしにくいため、重い物を入れるとは想定していないからです。あまり重い物を天袋に入れると、底板が下がったり壊れたりする恐れがあります。
もし重い物を入れる予定なら、耐えられるように補強して作ることもできます。事前に施工会社などへ、どのような物を入れるか伝えて相談してみましょう。
圧迫感を感じることがある
下が空間になっている天袋は、サイズや色によって圧迫感を感じてしまうことがあります。例えば奥行きのある天袋は、近くにいると覆い被さってくるように見えます。また天袋の扉を濃い色にすると、視線が遮られ狭さを感じるようになります。
このため人が座ったり、良く通ったりする近くに天袋を作るときは、不便にならない範囲で奥行きを浅くしましょう。また扉の色を明るめにすると、広がりを感じやすくなります。他にも扉などを付けずオープンな天袋にして、圧迫感を減らす方法もあります。
2. さまざまな場所で活用される天袋の事例
天袋は部屋の中にとどまらず、さまざまな場所で活用されています。ここからは実際に天袋を施工した事例と、プランニングのポイントを紹介します。
2-1. 窓上の収納
窓の上に扉付きで設けた天袋です。地袋や縦型のクローゼットと組み合わせ、変化のある収納デザインにしています。またこのような広めの空間であれば、高さや奥行きのある天袋でもそれほど圧迫感を感じません。扉に明るい木目を選び広さを感じさせているところは、一般住宅でも参考になる工夫です。
2-2. ホールのプラス収納
ホールにプラスアルファの収納として設けられた天袋です。下にある飾り棚を兼ねた地袋と組み合わせることで、見せる収納にもなっています。また中間がくり抜きになっているため、広さも感じさせます。限られた広さになりがちなホールに、ぜひ取り入れてみたい天袋のプランです。
2-3. テレビボードの便利収納
テレビを置くベースとセットで設計された天袋です。テレビまわりやリビングの小物をしまえる、べんり収納になっています。また中央にエアコンを埋め込み、すっきりとした部屋の雰囲気づくりに貢献しています。上下にある照明や扉の明るい色の効果もあり、大きさを感じさせない天袋になっています。
2-4. キッチンの収納
キッチン上の収納として作られた天袋です。右側の良く使う物を入れる部分は、あえて扉を付けず出し入れしやすいようにしています。一方で左側の使うことが少ない物を入れる部分は、扉を付けて目隠しをしています。使いやすさを考えながら、見た目が単調にならないようデザインされています。
3. 天袋のおしゃれな応用例
天袋は収納だけにとどまらず、おしゃれな部屋づくりにも応用できます。ここからは空間を生かしながら、部屋をスタイリッシュにしている天袋の例を紹介します。
3-1. 飾り棚として活用
テレビの上に扉を付けないオープンな天袋を作り、ディスプレイとして活用している例です。間接照明を付け小物を置くことで、シンプルでありながら目を引く存在になっています。ただし少し高めな配置にして、テレビを見ているときは気にならないよう配慮もされています。
3-2. エアコンの目隠し
ホールの押し入れの上に、エアコンを入れるために作られた天袋です。飾りの格子で覆うことで、冷暖房は通しながらエアコンを目立たないようにしています。また格子を左右に伸ばすことで、空間のデザインアクセントにもなっています。
4. 天袋まわりの収納など
天袋を計画するときは、まわりにある他の収納なども知っておくことをおすすめします。天袋は周囲にある物と一緒にプランニングすることで、より便利でおしゃれになるからです。最後に天袋のまわりにある、代表的な収納などをわかりやすく解説します。
4-1. 地袋
地袋は床置きで作る低めの収納です。 天袋と異なり出し入れがしやすく、すぐ下が床のため重い物も入れられます。ただし場所を取るわりに収納量は少なく、その下を他の用途に使える天袋とは大きな違いになっています。
4-2. 違い棚
違い棚は高さの異なる棚を組み合わせた、小さな置物などを飾る棚です。この違い棚は天袋や地袋と組み合わせ、収納を兼ねた部屋のデザインアクセントとして作られます。和室や洋室、ホールなどどこにでも設けることができ、棚の形も一枚板などさまざまな種類があります。
4-3. 神棚
神棚とは神社でいただいた、お札をまつる場所のことです。お宮やサカキなどを置いて敬い、家内安全などをお祈りすることもあります。形は収納などの上をくり抜いて作る天袋式と、壁から張り出した板の上に作る棚式があります。いずれも目線より上の高さで作るのが一般的です。
4-4. 床脇
床脇(とこわき)とは、その字の通り床の間の脇のことで、上記で解説しました違い棚や地袋、また天袋などを設えた場所のことをいいます。
床脇棚(とこわきだな)は床脇に設けられた棚のことで、違い棚や地袋、天袋のことを指します。
4-5. 吊り押し入れ
吊り押入れは下が空間になった、浮いているように見える押入れのことです。下に窓を取ったり上も空間にしたり、さらに天袋と組み合わせたりなど、さまざまなバリエーションがあります。もとは限られたスペースで明かりを取るための工夫でしたが、現在はデザインに変化を付ける目的でも作られます。
4-6. 高窓と地窓
天袋と同じく目線より高い位置に作る窓を高窓、地袋と同じく低い位置に作る窓を地窓と呼びます。収納の上下や家具、家電の上など、壁が限られた場所で明かりや風を取り入れるために付けられます。また最近では家の中のプライバシーを守る目的で、従来の大きな窓の代わりに付ける方も増えています。
5. まとめ
天袋は頭上の空間を有効活用できる、とても便利な収納です。また天袋は収納としてだけでなく、飾り棚やエアコンの目隠しなど幅広い使い方もできます。さらに地袋などまわりにある収納と一緒にデザインすれば、より便利でおしゃれな天袋にできます。
もし自宅に天袋を作るなら、さまざまな天袋のアイディアを持つ建築家に一度相談してみてはいかがでしょうか。お客さまだけでは思いつかない、さまざまな天袋を提案してくれるはずです。
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