「モルタル」とは?コンクリートとの違いや注意点を解説

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モルタル」は、建築材料の中でも人気な材料のひとつ。よく耳にする言葉ではありますが、「コンクリートと何が違うのか」「どんな性質の材料なのか」「どこに使うことができるのか」ということまで理解している人はあまりいないのではないでしょうか?
ここでは「モルタルとは何なのか」というところから、モルタル仕上げのメリットやデメリット、そして実際の施工事例までを紹介します。

<目次>

  1. 1. モルタルとは?
    1. 1-1. モルタルの用途
    2. 1-2. モルタルの種類
    3. 1-3. コンクリートとの違い
  2. 2. モルタル仕上げのメリット
    1. 2-1. デザイン性が高い
    2. 2-2. 耐火性がある
    3. 2-3. 比較的安価に施工できる
  3. 3. モルタル仕上げのデメリット
    1. 3-1. ひび割れが起きやすい
    2. 3-2. 定期的なメンテナンスが必要
  4. 4. モルタルはDIYできる?
    1. 4-1. DIYに向くもの
    2. 4-2. DIYに向かないもの
  5. 5. モルタルの施工事例
    1. 5-1.
    2. 5-2. 内壁
    3. 5-3. 外壁
  6. 6. まとめ

1. モルタルとは?

モルタルの素材の画像

モルタル は「セメント + 砂(細骨材) + 水」を混ぜ合わせた建築材料です。ここでの砂 (細骨材) とは、直径5mm以下の小さいものを指します。
ベースとなる粉末状のセメントは、水と混ぜることでペースト状になり、時間が経つと固まるという特徴があります。
セメントは固まる時に熱くなるのですが、その熱によって表面が乾燥したり、ひび割れが起きやすくなってしまいます。しかし砂を混ぜることによって、セメントの量を最小限にし、発熱を減らすことができます。さらにはセメントの一部を砂に置き換えることで、コストを減らすことできるという利点もあります。

1-1. モルタルの用途

  • 仕上げ材

    モルタルはきめ細やかな柔らかい素材なので、主に壁や床の「仕上げ材」として使われます。コテできれいに伸ばしたり、あえて塗りムラを表現したり、など色々なパターンで仕上げることができます。家具の天板や什器の仕上げなどに使われることもあります。

  • 目地材

    粘着力が高いため、タイルを貼ったり、レンガを積んだりするときの「目地材」としても使われています。

  • 下地材

    つるっとした平滑な面をつくることができるので、塗装やクロスを貼る前の下地材として使われることもあります。

1-2. モルタルの種類

モルタルにはいくつか種類があります。ここでは代表的なものを取り上げて説明します。

  • セメントモルタル

    最も安価でよく使用されている、一般的なモルタル。

  • 無収縮モルタル(補修材)

    モルタルが固まるときに収縮せず、ひび割れを起こさないモルタル。セメントモルタルよりも粘度が低くサラサラしており、コンクリート壁の隙間を埋めたり、ひび割れが起きてしまった部分の補修に使われています。コストが高いため、広範囲で使われることはほとんどありません。

  • ポリマーセメントモルタル(下地材)

    セメントモルタルにポリマーを加えたもの。セメントモルタルに比べて衝撃に強く、粘着性も高いため、下地材として使われることが多いです。

  • 樹脂モルタル(仕上げ材、補修材)

    セメントの代わりに樹脂を用いたモルタル。弾性がありひび割れに強く、防水性に優れているため、キッチンや洗面台の天板など水回りに用いられることが多いです。
    高性能な分コストも高いので、用途に合わせてポイントを絞って取り入れるのがおすすめです。

  • インスタントモルタル

    セメントと砂が配合されており、水を混ぜるだけで使えるモルタルのこと。手軽につくれることからDIYでもよく使われています。

  • カラーモルタル

    白色のセメントに顔料を混ぜて着色したモルタルを、カラーモルタルといいます。一般的なセメントは、鉄分が入っているため灰色です。しかし灰色だと顔料を入れた時に発色がよくないため、鉄分を限りなく減らした白色のセメントが登場しました。和風の建物などでは、一般的なグレーのモルタルに墨を混ぜて黒っぽくした「墨モルタル」を使うこともあります。

1-3. コンクリートとの違い

「モルタル」と「コンクリート」の大きな違いは「材料」と「使用用途」です。
その違いは「砂利(粗骨材) が含まれているかどうか」によって生まれます。コンクリートの材料は「セメント + 砂(細骨材) + 砂利(粗骨材) +水」。つまりモルタルに砂利(粗骨材)を加えたものになります。ここでいう砂利とは、直径5mm以上の大きいものを指します。
コンクリートに含まれる砂利がセメントと結びつくことで、モルタルよりもひび割れに強いという特徴があります。これに鉄筋を入れると「鉄筋コンクリート」となり、建物の柱や梁、壁などの構造体として使われます。
砂利が入ることで、モルタルよりもザラザラとした質感で無骨な印象となります。

2. モルタル仕上げのメリット

モルタルの素材の画像

続いて、モルタル仕上げのメリットを紹介いたします。
大きく分けて、デザイン性耐火性安価といった点があります。

2-1. デザイン性が高い

何よりもデザイン性の高さが人気の秘訣。どんな空間にも馴染みやすく、お洒落に仕上がる万能な材料です。仕上げ方一つでモダンな印象になったり、優しい雰囲気になったりなど、印象がガラリと変わります。
特にコテを使って手で塗る「手塗り」には高度な技術が必要で、左官職人は一人前になるのに時間がかかるとも言われています。仕上げのパターンが豊富な分、奥が深い業種なのです。

2-2. 耐火性がある

モルタルは原料がセメントと砂でできているため、燃えにくいという特徴があります。そのため都市部の外壁などに必要とされる「耐火構造」や「防火構造」としても認められています。

2-3. 比較的安価に施工できる

コストを抑えられるというのもメリットの一つです。モルタルは材料費が安いので、床をタイルにしたり、フローリングにしたりするよりも安く施工することができます。
ただし塗りのパターンにこだわったり、無収縮モルタルや樹脂モルタルなどの高性能なモルタルを使う場合にはコストが高くなることもあります。

3. モルタル仕上げのデメリット

3-1. ひび割れが起きやすい

セメントの一部を砂に置き換えているモルタルですが、どうしてもひび割れのリスクは避けられません。表面の割れはそこまで問題ではありませんが、外壁に大きなひび割れができた場合には壁の中に雨水が侵入し、劣化や雨漏りの原因になります。施工業者の腕によって、仕上がりだけでなく耐久性も変わってくるので、業者選びにも注意が必要です。

3-2. 定期的なメンテナンスが必要

ひび割れによる劣化や、汚れ、カビを防ぐためには定期的なメンテナンスが必要です。10年に一度くらいの頻度で、施工業者に現地を見てもらい、補修や塗り替えなどのメンテナンスをしてもらうことをおすすめします。ただし、幅1mm程度の大きなひび割れがある時には雨漏りのリスクがあるので、なるべく早く補修をした方が安全です。

4. モルタルはDIYできる?

施工する場所や規模によっては、DIYはおすすめしません。
実際にセメントやインスタントモルタルは、ホームセンターやネットでも手に入りやすく、DIYでも使われます。ただしモルタルを扱うには注意点もありますし、水の量や混ぜ方、コテの使い方などによって仕上がりに大きく影響します。きれいな仕上がりを求めるのであれば、間違いなくプロにお任せするのが安心です。

以下にDIYに向くもの、向かないものをまとめました。

4-1. DIYに向くもの

  • ひび割れの補修(外壁以外)
    軽いひび割れは、自分たちで補修することもできます。「補修材」というチューブの製品を使うのがおすすめです。ただし、外壁のひび割れは雨漏りの心配もあるので、施工業者に見てもらいましょう。

  • ブロック積み
    花壇をつくるなど、外構のブロック積みはDIYでもつくりやすいものの一つです。ただし高く積み上げる場合には、倒れる危険性もあるのでプロに頼みましょう。

  • 内壁の一部分
    モルタルは水を混ぜた段階から固まり始めるので、スピーディーに作業しなければなりません。一度にたくさんモルタルをつくることはおすすめしないので、まずは小さい面積で試してみると良いでしょう。

  • 小物づくり
    自由に形をつくることができるので、モルタルで植木鉢やオブジェ、小物入れなどをつくるのはおすすめです。

4-2. DIYに向かないもの

  • 内壁(広い一面など)
    モルタルを数回に分けてつくると、塗った箇所によって色むらが出たり、仕上がりが変わてしまうなど、あまりきれいに仕上がらないケースもあります。広い面積を塗るときには、スピーディーできれいな施工が求められるので、プロに頼むことをおすすめします。

  • 外壁
    外壁は家の性能を決める重要な部分です。雨風から家を守るためには、たくさんの工程や高度な技術も必要になるので、プロの施工業者にお任せしましょう。


  • 特にひび割れが起きやすいのが、床の仕上げです。できる限りひび割れを防ぐためには、2~3cmほどの厚みでモルタルを敷き、中に補強用の金網を入れるという方法がおすすめです。かなりの量のモルタルが必要になるので、こちらも施工業者にお任せしましょう。

5. モルタルの施工事例

ここからは、実際に建築家が手がけたモルタルの施工事例をご紹介します。

5-1. 床

大島の住宅 (鴻野 吉宏 の作品) 大島の住宅 (鴻野 吉宏 の作品) 大島の住宅 (鴻野 吉宏 の作品)
大島の住宅(建築家:鴻野 吉宏

玄関や土間スペースの床は、モルタルを取り入れやすい場所の一つです。こちらの事例では、モルタル土間の部分に暖炉や植物を置き、外とつながるテラスのような使い方をしています。モルタルの土間は、掃除がしやすい点もおすすめです。

Stir (御手洗 龍 の作品) Stir (御手洗 龍 の作品) Stir (御手洗 龍 の作品)
Stir(建築家:御手洗 龍

床一面をモルタルで仕上げると、半外のような開放感のある空間をつくることができます。こちらの事例では、一面のモルタル床にカーペットを敷いてそれぞれの居場所をつくりました。モルタルの柔らかい質感をそのまま残せるよう、塗装もマットなものを選んでいます。

MA Residence (佐竹 永太郎 の作品) MA Residence (佐竹 永太郎 の作品) MA Residence (佐竹 永太郎 の作品)
MA Residence(建築家:佐竹 永太郎

海外のギャラリーを思わせるリビング。床だけではなく、テレビボードもモルタルで仕上げています。水に濡れたような艶のある塗装にするだけでも、一気にクールでモダンな印象になります。モルタルのひびも味となり、空間に馴染んでいます。

5-2. 内壁

slash house キッチンから生まれるリノベーション (松尾宗則 ・ 松尾遥 の作品) slash house キッチンから生まれるリノベーション (松尾宗則 ・ 松尾遥 の作品) slash house キッチンから生まれるリノベーション (松尾宗則 ・ 松尾遥 の作品)
slash house キッチンから生まれるリノベーション(建築家:松尾宗則 ・ 松尾遥

インテリアのアクセントとして、内壁の一面をモルタルにしています。モルタルの壁は、木の家具やグリーンとの相性も抜群。ナチュラルで柔らかな雰囲気をつくり出しています。

Crown Heights Garden (松田 仁樹 の作品) Crown Heights Garden (松田 仁樹 の作品) Crown Heights Garden (松田 仁樹 の作品)
Crown Heights Garden(建築家:松田 仁樹

左官職人が塗りムラをつけて施工した事例です。ライン照明がモルタル壁を照らし、左官のパターンの陰影が浮かび上がってきます。シンプルでモダンな中にも、手仕事の温かみを感じる空間となりました。

surround house 団欒を囲う家 (松尾宗則 ・ 松尾遥 の作品) surround house 団欒を囲う家 (松尾宗則 ・ 松尾遥 の作品) surround house 団欒を囲う家 (松尾宗則 ・ 松尾遥 の作品)
surround house 団欒を囲う家(建築家:松尾宗則 ・ 松尾遥

カラーモルタルの事例です。グリーンがかかった柔らかい色味が特徴的な空間になっています。耐火性があるので、コンロ周りでも問題なく使うことができます。

5-3. 外壁

「 T 」型のボリューム (保坂 裕信 の作品) 「 T 」型のボリューム (保坂 裕信 の作品) 「 T 」型のボリューム (保坂 裕信 の作品)
「 T 」型のボリューム(建築家:保坂 裕信

外壁にモルタルを用いると、継ぎ目がなくシンプルですっきりとした仕上げにすることができます。こちらの事例では、一般的なグレーのモルタルと黒く着色したものの2種類を効果的に組み合わせ、シャープさと奥行き感を生み出しています。

ガレージハウス | House with a garage (伊原 孝則 の作品) ガレージハウス | House with a garage (伊原 孝則 の作品) ガレージハウス | House with a garage (伊原 孝則 の作品)
ガレージハウス | House with a garage(建築家:伊原 孝則

白系の色を選ぶと、よりクリーンな印象になります。真っ白ではなくベージュがかかった白にすることで、周囲環境と馴染みやすく、汚れも目立ちにくくなります。

6. まとめ

モルタルの特徴や施工事例について紹介しました。
デザインの良し悪しだけでなく、特性やメリット・デメリットを理解した上で素材を選ぶことが、家づくりおいてはとても大切です。
建築家はそれぞれの素材についての特徴や機能、お手入れ方法などを含めて説明した上で、あなたにぴったりのデザインを提案してくれます。
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