土間のある家にしたい!便利でおしゃれな土間の作り方
「土間」と聞くと、日本家屋にあるような玄関土間と台所をイメージする人も多いかもしれません。
しかし現代では、土間をリビングやダイニングに取り入れて、趣味や収納として活用する人が増えてきました。
そこで今回は、土間のある家の魅力と注意点を解説します。また、おしゃれな土間を取り入れた建築実例を 7 つ紹介しますので、ぜひマイホーム建築の参考にご覧ください。
1. 土間のある家!土間の魅力と活用方法
屋内でありながらも土足で歩ける土間のある家。土間の持つ独特な雰囲気は、家を魅力的に彩ります。
玄関や勝手口にある一帖ほどのコンクリート部分も土間の一つですが、間取りとして取り入れられるのは、もっと広い土間です。
例えば、リビングやダイニングの一部や玄関の続き間として、土間が取り入れられます。趣味や収納、アトリエなど、現代ではさまざまな使い方がされていますよ。
ここでは、土間の魅力と活用方法を詳しく紹介していきます。
1-1. リビングが広く感じられる
「土間を広く作ると、室内が狭くなるのでは」と思う人もいるかもしれません。しかし、建築のデザイン次第では土間をつけた方が LDK は広く感じられます。
一般的な住宅の玄関とリビングの間は、建具で区切られてしまうもの。しかし、土間と LDK を一体化させれば広々とした大空間が実現できます。
また、土間は床の高さがフローリングよりも低いため、天井がより高く感じられます。床の高さに動きが出ることで空間のメリハリができ、リビングに奥行き感をもたせることも可能です。
1-2. 夏を涼しく過ごせる
土間があると、夏が涼しく過ごせます。土間に使われるコンクリートやタイル、モルタルは熱伝導率が高く、熱を逃しやすいという特徴があります。日本家屋に足を踏み入れたとき、足元がひんやりとした感覚を覚えたことはありませんか。
土間は熱を蓄える効果があるため、屋内につけて日差しを遮れば、日陰の涼しさを得られます。そして、冬は屋外の気温が下がっても、土間に蓄えられた熱が夜中に放出されるため、部屋の温度が下がりにくくなります。
エアコンのように消費エネルギーもないため、自然の力で過ごしやすい空間を作れるのが、土間のある家の魅力です。
1-3. 趣味を楽しむ場になる
ガーデニングや家庭菜園の趣味を楽しむ人にも、土間のある家はおすすめです。屋内である土間なら、雨の日も風の強い日も気兼ねなく植物のお世話ができます。
床が土で汚れても、水で洗い流しやすい土間は掃除に手間がかかりません。寒い冬の間、植物を避難させる場所としても活躍するでしょう。
また、家庭菜園をする人にとっては、土で汚れた野菜を置く場所としても便利に使えます。
1-4. 玄関土間は大収納スペースになる
玄関土間を大きくすると、屋外用品を収納する大収納スペースとして活躍します。家族全員の靴やオフシーズンのブーツなどもたっぷり収納できますね。
花粉症や梅雨の時期に、上着やレインコートを家の中に持ち込みたくないと思う人も多いでしょう。土間があれば、屋外でついた上着の汚れを払い、コートクロークとしてそのままかけておくことも可能です。
アウトドアグッズやスポーツ道具など、趣味用品の収納にも玄関土間は役立ちます。サッカーボール・アウトドアチェア・砂遊びセットなどは汚れやすいもの。汚れたものでも、土間なら床にガサッと置けて便利です。
また、土間はベビーカーや自転車も乗り入れて収納できるため、防犯の面でも安心ですね。
1-5. コミュニケーションを楽しむ場になる
土間は、ご近所さんや親しい人との交流にもおすすめです。玄関から上がらなくても、広い土間があれば「ちょっと腰掛けてお茶をしていく」といった楽しみ方ができます。
週末に人が集まる家であれば、仕切りのない土間を中心として食事を楽しむこともできますね。庭につながる土間であれば、屋外と中で気軽に会話をすることも可能です。
人と人とのコミュニケーションをとる場として、広い土間は活躍するでしょう。
1-6. 子供や犬と過ごしやすい場になる
屋外とリビングの中間地である土間は、子どもが遊ぶ場所としても最適です。土間なら靴を脱がずに通れるため、遊び盛りの子どもたちも、外と中を行き来しながら自由に楽しめます。
また、犬などのペットを飼うご家庭にも土間はおすすめです。散歩などで出入りする際に、汚れを落とす場所として機能します。タイルやコンクリートで作られた土間は、掃除もしやすいためペットトイレの置き場所としても活躍するでしょう。
2. 土間のある家にデメリットはある?解消するためのコツ
土間があると便利で過ごしやすく、おしゃれなインテリアが作れますが、デメリットはあるのでしょうか。事前に注意点を知っておくと、マイホーム建築に役立ちます。
ここでは、土間のある家のデメリットと、解消するためのポイントを紹介します。
2-1. 部屋の行き来を考えた動線を作る
土間を作ると床の高さが変わるため、部屋の行き来を考えた動線を作ることが重要です。土足で入れる土間リビングから別の部屋に移動する際は、靴を脱ぎ履きをします。
また、屋内の土間スペースを広くするなら、スリッパに履き替える生活スタイルを選ぶのもおすすめです。将来に備えて、土間の一部をスロープにするという方法もありますよ。
一方で、土間と床の高低差は、間取り次第ではメリットになります。例えば、和室は床座で過ごすため目線が低くなる部屋です。一段低い土間に椅子座のカウンターをつけると、床座と椅子座で過ごす人の目線が、同じ高さになりやすいでしょう。
このように、動線の問題は間取り次第で解決できるケースも多いため、希望のスタイルを設計者に相談しましょう。
2-2. 寒さ対策には薪ストーブがおすすめ
夏は涼しい土間空間ですが、冬は寒くなりやすいため対策が必要です。吹き抜けなど大空間で、土間を広くした住宅には薪ストーブをおすすめします。
薪ストーブは、たった一台で家全体を効率よく暖めることが可能です。薪ストーブは、燃料の薪を燃焼させ、暖まったストーブ本体からの輻射熱で室内を暖めます。
また、炎の揺らぎを眺めていると、リラックスした気分になるという人も多いでしょう。第二のコンロとしても活躍する薪ストーブは、焼き芋や煮込み料理も楽しめますよ。土間のある家なら、家族で薪ストーブを囲みながらゆったりとした時間を過ごせそうですね。
2-3. 湿気対策として風通しをよくする
土間は湿気が溜まりやすいため、風の通り道を作っておくことをおすすめします。二面の壁に窓をつける、天井を吹き抜けにして高窓をつけるのも良いでしょう。
窓を設けると夏も心地よい風が吹き抜けるため、冷暖房費の節約にも役立ちます。敷地の状況により窓がとりづらい場合は、換気扇と通気口を設けましょう。
また、土間の通気性を保ち、湿気が溜まりにくくしておくと、カビなども防ぐ効果が期待できます。
3. 土間のある家!おしゃれな建築実例 7 選
土間のある家を建てるなら、実際に建てられた家をみてイメージを膨らませましょう。
ここでは、土間のある家のおしゃれな建築実例を紹介します。いずれも、土間の特徴を活かした個性あふれる住宅です。ぜひ、マイホーム設計のイメージ作りに役立ててください。
自分に合った土間のデザインをしてくれる建築家と話がしてみたい・紹介してみてほしいという方は、タイテルの建築家紹介 も便利です。
3-1. 多目的に使える広い土間のある家
風と光が心地よく通り抜ける土間を作った事例を紹介します。実は、こちらの写真の右側にみえる壁は住宅の南面。しかし、隣の敷地に集合住宅の駐車場があるため、窓を一つもつけていません。車の排出ガスや視線を気にせずに生活できるよう、配慮された間取りです。
窓をつけない代わりに吹き抜けの土間を設け、 2 階から自然光を取り入れています。木製の廊下と階段の隙間から、光と風が差し込むデザインになっていますね。
土間を作ることで、南側に窓がなくても明るく開放的な住まいが実現しました。敷地の持つ問題を解消し、住宅のアクセントとなった素敵な通り土間です。
3-2. 家をすっぽり包む断熱層の土間のある家
次に紹介するのは、土間の空気層を作った寒冷地の住まいです。1 階の和室の外側には、コの字型に土間の空間があり、夏の風通しを確保しています。土間の上部には 2 階リビングが広がります。スノコの隙間から、明るい自然光が差し込んでいますね。
こちらの住宅の 2 階部分をご覧ください。
太鼓障子の向こう側が、土間の上の廻り廊下です。冬は障子を閉めて室内を区切り、冷たい外気との間に空気層を作ります。障子の向こう側には大きな窓が並んでいるため、柔らかな光がリビングじゅうに広がっていますね。
夏は風を通し、冬は熱を蓄えるという土間の特性を活かした素晴らしい建築アイデアです。
3-3. 二世帯をつなぐ通り土間のある家
南側に長く設けた土間が、ぐるっと大きな住宅を囲む二世帯住宅を紹介します。親世帯と子世帯をつないでいるのが、こちらの土間です。
両世帯共有の玄関から、土間を通っていくと親世帯に到着します。親世帯の土間はスロープとし、足腰に負担をかけずに上がれる工夫がされていますよ。
大人の目が届きやすい屋内の土間は、子どもの遊び場としても活用できそうですね。
3-4. アトリエとして活躍する土間
陶芸家や写真家などで、自宅にアトリエを併設したいという人は多いでしょう。そんな方におすすめするのは、土間のアトリエを作る方法です。 4 代にわたる木版画家のアトリエの改修事例を紹介します。
土足で行き来する土間はフローリングとは違い、作業中も汚れを気にすることがありません。土間は仕事と居住のスペースを区切りやすく、来客対応にも向くでしょう。
歴史のある日本家屋の佇まいはそのまま残し、アーティストが作業しやすい環境を整えた、素敵な土間のアトリエです。
3-5. 狭小住宅を広く見せる土間のある家
市街地などで床面積を広く取れない狭小住宅にも、土間はおすすめです。リビングのつづき間として玄関土間を作った事例を紹介します。
通常、玄関からリビングに入る前には玄関ホールを作るもの。しかし、限りのある敷地面積では、別々にすると、どちらも狭くなるというケースも少なくありません。
そこで、写真のように玄関とリビングを一体化すれば、光が溢れる開放的な土間空間が作れます。リビングにつながる長い土間は、近隣の方とのコミュニケーションが取りやすい間取りです。
一方で、引き戸の障子を閉めれば、プライバシーが確保されます。開いたり閉じたり自由に使い分けて使える、利便性の高い土間ですね。
3-6. 外と室内をつなぐ土間空間
次に紹介するのは、スキップフロアの住宅で玄関土間を広く取った事例です。玄関ドアの先に広がる土間であれば、ご覧のように自転車も屋内に収納できます。
広い土間は、レインコートやコートクロークとしても活用できます。庭で使う、ボールや三輪車などの遊び道具を置くスペースにもなるでしょう。
また、左奥にみえる大容量の収納スペースには、大型のレジャー用品などもたっぷりと収納できそうです。便利な生活動線がしっかりと確保された、おしゃれな土間のある家ですね。
3-7. 明るい吹き抜けの玄関土間
次に紹介するのは、吹き抜けの玄関土間を持つ二世帯住宅です。こちらの 1 階の住み手は、シルバーカーを愛車とするおばあちゃん。土間は長く緩やかなスロープになっているため、足腰に負担をかけることがありません。
吹き抜けを通してつながる部屋は、2 階の子世帯のリビングです。1 つの空間としてつながるため、声も掛け合えますね。
明るい日差しが差し込む縁台は、どこにでも腰掛けられるため、来客とおしゃべりが楽しめます。
2 階に住む家族や、ご近所さんと交流できる土間のある家は、おばあちゃんの暮らしを豊かにすることでしょう。
4. まとめ
土間は、外と中の中間地点として、趣味のスペースや収納など、さまざまな使い方ができます。土間の特性を活かすには、間取りや生活動線に工夫が必要です。敷地や周辺の環境とあわせて「どんな暮らしをしたいのか」という、あなたの持つマイホームのイメージを大切にしましょう。
土間のある家を作るなら、建築家に相談してみませんか。豊富な専門知識と経験を持つ建築家なら、あなたの土地やライフスタイルにぴったりあった家を提案できます。
タイテルでは一級建築士の資格をもつ建築アドバイザーとの無料相談 も行っていますので、個別のご相談などがある際はぜひお気軽にご利用ください。