アトリエ建築家とは?家を建てるなら検討したい設計事務所
デザイン性の高い家を建てたい人にとって、どこの設計事務所に設計を依頼するかは、重要な選択です。アトリエ建築家という言葉を耳にして、こんな疑問を持つ人も多いでしょう。
「アトリエ建築家ってどんな人たち?」「マイホームの設計を依頼すると、どんな家が建つの?」
今回の記事では、アトリエ建築家とは何か、どんな事務所がアトリエ設計事務所なのか、特徴や仕事内容を解説します。また、建築家が手掛けた事例も画像付きで紹介するため、ぜひ参考にしてください。
- アトリエ建築家とは意匠性や作家性の高い建築を手掛ける建築家
- アトリエ建築家に住宅を依頼すると、デザインや設計の自由度が高い、施工監理が公平に行われるというメリットがある
- 住宅ローン関連は建て主主導となるが、titel ( タイテル ) にも相談できる
- こだわりの設備や間取り・狭小地・リノベーション・店舗併用住宅などといった場合でも柔軟に対応できる
- アトリエ建築家との家づくりは、意匠性や作品性のある家や、自分の想像を超えたデザインの提案をして欲しい人におすすめ
1. アトリエ建築家とは
まずは、アトリエ建築家とは何か、アトリエ系設計事務所と組織系設計事務所の違いについて解説します。
1-1. アトリエ建築家とは意匠性の高い建物を手掛ける建築家
建築家という呼称に明確な定義づけはありませんが、一般的にアトリエ建築家とは、意匠性や作家性の高い建築を手掛ける建築家のことをいいます。
個人の建築家が主宰する設計事務所の中でも、意匠設計事務所という種類の事務所に属しています。意匠とは、建物の間取りやデザインにおける設計のことです。
有名なアトリエ設計事務所では、事務所のトップである建築家の個性が出る作品が多くみられます。
ちなみにアトリエ( atelier )の語源はフランス語で「木片の堆積」を意味する語から転じて、「大工の仕事場」を指すようになったと言われています。一般的に、アトリエという名前がつけられるのは、画家・彫刻家・写真家など、美術家の職場です。
このことから、アトリエ設計事務所が、建築設計という仕事をする上でデザイン力に比重を置いていることが感じ取れるのではないでしょうか。
しかしただデザインをするだけでなく、建築の法律や構造上の問題をクリアすることは建築設計事務所として基本姿勢であることは変わりません。その上で、デザイン性や作家性のある建物を設計するのが、アトリエ建築家だと言えるでしょう。
1-2. アトリエ系(意匠)設計事務所と組織系設計事務所の違い
アトリエ系設計事務所に対して、大規模かつ組織的な設計事務所を、組織系設計事務所と呼びます。組織系設計事務所は設計を生業とする会社で、ゼネコンとは区別されます。
組織系設計事務所は、一つの建築設計事務所で、意匠・建築・構造・設備のすべての設計を行うという特徴があります。
組織系設計事務所は大規模なプロジェクトや建築物を手掛けることが多く、住宅の設計を主軸にしている会社は多くありません。また、アトリエ系設計事務所に比べると、施工効率や構造に重きを置いた、堅実なデザインであることが多いでしょう。
設計事務所の違いについて、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事もぜひ参考にしてください。
2. アトリエ建築家と工務店・ハウスメーカーの違いは?
家を建てるときの依頼先は、設計事務所(アトリエ建築家)・工務店・ハウスメーカーという3つの選択肢があります。
設計事務所が工務店やハウスメーカーと違う点は、主に設計やデザインが自由な点、施工管理が公平に行われる点、住宅ローン関連の進め方などの点に違いがあります。
設計事務所と工務店、ハウスメーカーの違いについて更に詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
2-1. 設計やデザインの自由度が高い
アトリエ建築家に住宅を依頼すると、設計やデザインの自由度が高いという特徴があります。設計事務所は、規格のプランを持っていません。建て主の希望や条件を聞き、ライフスタイルや周辺環境、予算などを考え、ゼロから建物を設計していきます。
そのため狭小地や高低差のある土地、周辺環境に特徴がある土地であっても、その土地と住む人にとって最適な住宅を設計できるのが、アトリエ設計事務所の特徴です。
それゆえに、ハウスメーカーや工務店との家づくりでは諦めていた都市部のエリアでも、狭小地を選んでコストを抑えて戸建て住宅が実現するケースは決して少なくありません。建築家との家づくりなら、予算の調節も柔軟に決めていくことが可能です。
さらに、古民家のリノベーションなど既存住宅があるときも、設計事務所であれば耐震補強工事も含めて計画できます。さらに美容室など店舗併用住宅など、建物の使い方が特殊な場合も、アトリエ設計事務所は柔軟に対応し、デザイン力を発揮するでしょう。
2-2. 施工監理が公平に行われる
アトリエ設計事務所では、施工監理が公平に行われるのが特徴です。ハウスメーカーや工務店では、設計と施工が同じ立場から行われます。そのため設計や建築資材の調達価格において、施主からみると不透明だと感じることも少なくありません。
設計事務所は、建て主のパートナーとして、工務店の施工をチェックします。設計事務所との家づくりでは、設計は設計事務所に、施工は工務店にと、設計と施工のプロセスが分かれるためです。
工事現場では、基礎や構造の建て方などは専門的な分野で、建主が見ただけではわからない不具合もあるかもしれません。その点、専門家である建築家があなたとともに現場をチェックしてくれるのは、心強いパートナーとなるはずです。
2-3. 住宅ローン関連は建て主の協力が必要
設計事務所に依頼して家を建てる場合でも住宅ローンは利用できますが、住宅ローンに関しては、建て主が積極的に相談や手続きを進めていく必要があります。ここが、住宅ローンに配慮したサポート体制を整えている大手ハウスメーカーとは異なる点です。
設計事務所に依頼する場合は、住宅ローンの申し込みや融資実行のタイミングを、建て主が金融機関に説明します。
そこでtitel(タイテル)では、ローンや資金計画についてのサポートも行っています。まだ土地が決まっていない場合も、提携先の不動産会社をご紹介することもできます。ローンや土地の面でご不安な方は、ぜひ titel(タイテル)までご相談ください。
また、建築家との家づくりの流れや住宅ローンの審査を受けるタイミングについて、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事が参考になるかもしれません。
3. アトリエ建築家が手がけたおしゃれな建築実例9選!
アトリエ建築家にマイホームの設計を依頼するとどんな家が建つのか、イメージが湧かないこともあるでしょう。実際に建築家とともに建てた住宅実例をみると、ご自身の家を建てるときに、参考になるはずです。
ここではアトリエ建築家が手がけた、おしゃれな建築実例を紹介します。いずれも建築家の作家性や個性のあるデザイン住宅の数々です。
3-1. ガレージハウス:FEDL
建築家の手がけた、ビルトインガレージのある注文住宅です。塗壁の美しい外観が、目を惹きます。ガラスをふんだんに使いながらも通りに面した居住部分は窓が少なく、プライベート感が確保されています。
屋上には小さな庭があるという贅沢さ。休日には、自宅にいながら芝生に寝転ぶこともできますね。週末の過ごし方も、マイホームの間取り次第で変わります。建築家なら、一人ひとりの希望にあわせて柔軟にデザインできるはずです。
3-2. 大島の住宅:futuretank architects
次に紹介するのは、海を眺められる場所に建つデザイン住宅。ロケーションが良いなど、土地の特色を生かした建物をデザインするのは、設計事務所の得意とするところです。
広い土間に薪ストーブ、大きな吹き抜けなど、マイホームを建てるときに、こだわりたい間取りや設備がある人も多いでしょう。建築家は、建物の強度を保ち、法律を守りながら、可能な限り、建て主の要望に沿った自由度の高い設計を行うのが得意です。
3-3. 諏訪山の家: d/dt Arch.
街中で、かっこいいデザインの建物をみかけることはありませんか。垂直や水平のラインが整った建築デザインは、住宅街の中でもひときわ目立つ存在です。
せっかく自分だけの住宅を建てるなら、暮らしやすさだけでなく外観のデザイン性も重視したいポイント。アトリエ系設計事務所の建築家に依頼すると、意匠性や作品性を重視することも可能です。
ハウスメーカーや工務店で好みの住宅をみつけられなかった人は、建築家の手がけた住宅事例の中から、希望のデザインを探してみてはいかがでしょうか。
3-4. 「 T 」型のボリューム:FAWDO.inc
見慣れた景色でも建築のデザイン次第では風景が切り取られ、まるで絵画のように感じることがあります。次に紹介するのは、斜向かいにある公園の景色を、バルコニーから眺められるように設計した住宅です。
2階リビングのむバルコニーの床には公園に向かう方角にウッドデッキが貼られ、自然と緑のある方角に視線が向きます。また、バルコニーの屋根がせり出し、額縁のように風景を切り取っていますね。
春・夏・秋・冬と、四季を通じて変わる景色を眺められる暮らしは、周辺環境を考慮してデザインされた住宅だからこそ実現します。
3-5. 登り梁の家:田中洋平建築設計事務所
設計の自由度が高い建築家との家づくりでは、日本の伝統工法を生かした家にすることもできます。
現代の住宅では、建築材料は工場でカットされるのが一般的です。しかし事例の住宅は、柱や梁、床・壁・天井などの材料を、のこぎりやカンナなどを使い、一本ずつ木の性質をみながら加工したのだそうです。
細部まで職人の技がふんだんにみられる住宅を、建築家の現代的なセンスでまとめ上げているかのようです。和風建築などこだわりのデザインにも、アトリエ設計事務所であれば対応可能です。
3-6. residence jo mibu banba:竹内誠一郎建築研究所
今、住んでいる住宅をリフォームする際にも、アトリエ設計事務所に依頼できます。写真は、建築家が手がけた町屋のリノベーション事例です。趣のある既存住宅の柱が、モダンなデザイン住宅のなかに溶け込んでいますね。
古民家のリノベーションは、既存の住宅の寸法にあわせていくため、ハウスメーカーの規格部材にあわせるのが難しいケースが多く見られます。はじめから規格のプランを持たない設計事務所に依頼した方が、費用を抑えられることも少なくありません。
3-7. 東村山の家:石井秀樹建築設計事務所株式会社
次に紹介するのは、建築家の手がけた東村山の平家住宅です。こちらの住宅は、中庭をぐるっと囲むように玄関・リビング・ダイニング・寝室が配置されています。
すべての部屋を仕切る壁はなく、スキップフロアでゆるやかにつながり、家のどこにいても緑が眺められるプランになっています。木漏れ日が心地よく差し込み、まるで森林の中にいるようにリラックスできそうな住宅ですね。
アトリエ設計事務所との家づくりは、自分の想像を超えたデザインの提案をしてもらいたい人にも最適です。
3-8. oNoff:御手洗龍建築設計事務所
店舗や事務所併用住宅も、設計事務所にデザインを依頼してみてはいかがでしょうか。次に紹介するのは、建築家が手がけたSOHOのリノベーション事例です。
こちらの住宅は、住居と事務所部分の内装のカラーが全く異なります。住居側は、木目をあしらいリラックスした印象の内装ですが、事務所側は、白と黒のアクティブな印象を与えます。
部屋をどのように使いたいか、家族はどのように過ごすことが多いのか、相談してみるのも一つの方法です。豊富なアイディアを持つ建築家なら、部屋の用途に合わせたデザインを提案してくれることでしょう。
3-9. MA Residence:STAR/エスティエイアール
家を建てるとき、建物だけでなくインテリアにもこだわりたいからデザイナーに依頼したいという人も多いでしょう。対応力のある建築家なら、インテリア・照明・家具のデザインを任せられることもあります。
細部まで建築家とデザインの打ち合わせをすることで、手持ちの家具とのコーディネートも考慮してくれることもあるでしょう。
4. まとめ
一般的にアトリエ建築家とは、意匠性や作家性の高い建物を手掛ける建築家のことをいいます。アトリエ設計事務所に属しており、デザインに重きを置いた建築の仕事をしていると言えるでしょう。
アトリエ設計事務所に家の設計を依頼すると、設計やデザインの自由度が高く、施工監理の面でも施主と同じ立場から、現場をチェックしてくれるという特徴があります。
自分だけのこだわりの住宅を建てるなら、設計事務所に依頼してみませんか。自分の想像を超えるデザインの提案が受けられるかもしれません。
また、今回の記事で挙げた建築事例はほんの一例です。titel(タイテル)内の建築実例 から、理想のデザインをぜひ探してみてください。
こちらでは、女性の建築家が手がけた事例をまとめています。よろしければそちらもご覧ください。
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後悔しない家づくりをするためには、プロの意見を一度は聞いてみることがオススメです。