勾配天井のオシャレな実例を公開!照明とシーリングファンの選び方も解説
屋根の形状を活かした勾配天井は、広々とした雰囲気があり人気を集めています。
「マイホームに勾配天井を採用するか迷う」「照明は何を選べばいいの?」
という疑問も湧いてくるかもしれません。
そこで今回は、勾配天井のメリット・デメリットを解説し、オシャレな建築実例を紹介していきます。照明やシーリングファンの配置についても解説していきましょう。
1. 勾配天井とは?事前に知っておきたいメリット・デメリット
マイホームに採用するか決めるために、まずは勾配天井とは何か、メリット・デメリットを詳しくみていきましょう。
1-1. 勾配天井とは
勾配天井(こうばいてんじょう)とは、文字通り勾配のついている天井のことをいいます。屋根の形にあわせて傾斜がついている天井です。片流れの屋根なら一方向に傾斜し、三角屋根の場合は二方向に傾斜して作ります。
勾配天井をつけるのは、2階の部屋・2階のない1階の屋根がついている部分・平家の部屋です。普段はデッドスペースになってしまう小屋裏部分を活用できることから、積極的に採用する人が増えています。
また、勾配天井に高窓をつけると光と風を取り込みやすいため、住宅密集地で取り入れているケースも多くみられます。
1-2. 勾配天井のメリット
フラットな天井とは一風変わった勾配天井には、さまざまなメリットがあります。詳しく紹介していきましょう。
開放感を出せる
まず、勾配天井の一番の魅力は、開放感が出せることです。空間は奥行きや幅だけでなく、高さがあることでも広く感じます。
また、低いところから高いところへと視線が縦に抜け、広がりを感じるのも勾配天井の醍醐味です。
高い位置に窓をつけると光を取りみやすく、景色も目に入ります。窓から空が見える暮らしは、開放感やリラックス感をもたらしてくれるでしょう。
メリハリのある空間が作れる
勾配天井にすると、一つの部屋の中に天井の高い部分と低い部分が出来て、メリハリの利いた空間になります。
写真のようにリビングの上部空間を利用して、ロフトを作ることも可能です。天井が低いところには落ち着きを、高いところは広がりを感じ、空間にリズムが生まれます。
注文住宅ならではの、ダイナミックな空間設計ができるのも勾配天井の魅力です。
通気が良くなる
勾配天井は、通気が良くなるのもメリットです。暖かい空気が上にあがり、冷たい空気は下に入り込むという性質を上手に利用できます。
例えば、勾配天井のリビングで高窓と腰窓を別方向につけてみましょう。
すると、夏場には室内にこもる熱気を逃がし、新鮮な空気を取り入れる「風の通り道」ができます。心地よい風が抜け、過ごしやすい空間を保てるでしょう。
梁がアクセントになる
勾配天井は、普段は天井の中に隠れてしまう構造体をみせることも可能です。梁のあるデザイン性の高い空間を作れるのは、勾配天井ならではと言えます。
写真は、屋根の小屋組をみせた事例です。梁がみえると天井の傾斜が強調されますね。また、梁は内装のアクセントとなり、味わい深い印象を与えます。
1-3. 勾配天井のデメリット
一方で、勾配天井のデメリットもしっかり理解してから採用を決めたいものです。 ここでは、天井の高い勾配天井のデメリットを紹介します。
メンテナンスが難しい
勾配天井は、通常の天井とは違い高い部分のメンテナンスが難しくなります。高窓やシーリングファンを取り付ける場合は、掃除の方法を考えておかなければなりません。
また、梁をみせる場合は、梁の上の掃除も同様です。柄が伸縮する掃除道具を使って、手が届くかどうかを確かめておくと良いでしょう。
そして、器具や電動開閉窓の故障となると、業者に修理を依頼することになります。脚立で届かない高さであれば室内足場を組むため、費用が高くなることも頭に入れておきたいものです。
音が響きやすい
勾配天井は空間が縦に広がるため、音が反響しやすいという点もデメリットです。しかし、音の問題を解決するには、建築で大掛かりな工事は必要ありません。
反響音を減らすために、布製のソファ・カーテン・カーペットなど、音を吸収する素材をお部屋に増やしていきましょう。
また、本にも吸音性があるため、蔵書が多い人は本棚を作るのもおすすめです。
暖房効率が悪くなる
縦方向に空間が広くなる勾配天井では、体積が大きくなるため暖房効率は悪くなります。前述した通り、暖かい空気は上にいき、冷たい空気は足元に流れるという性質を持つためです。
冬に、暖房器具をつけてもなかなか暖まらないと思うことも少なくありません。解消するためには、家そのものの断熱性能を高めましょう。断熱材や窓サッシの選び方がポイントです。
また、サーキュレーターで空気を循環させる、床暖房を採用するという方法も効果的です。
2. 勾配天井にはどんな照明がいいの?
LED電球が普及してから、電球を交換する頻度は少なくなりました。とはいえ、勾配天井の照明のメンテナンスが心配だと思う人も多くいるかもしれません。
では、勾配天井で機能もオシャレさも兼ね備えた照明をつけるには、どうすれば良いでしょうか。 ここでは、勾配天井に向く照明の選び方を紹介していきましょう。
2-1. 照明器具の選び方
勾配天井では、メンテナンスしやすい位置や高さに照明を配置することがポイントです。天井面に取り付けなくても、壁付け照明だけで足りてしまうケースも少なくありません。
写真は、壁付けの照明をいくつも配置し、天井からの照明は一つにした事例です。壁面を照らすスポットライトは、リラックス感のある間接光として部屋に広がっています。
あかりが必要な箇所に向けて光を届けるスポットライトは、角度の調節もできて便利です。
2-2. 間接照明など埋め込み照明
勾配天井のリビングを、より上質な空間にみせるには間接照明などの埋め込み照明をつけてみてはいかがでしょうか。
写真は、壁と天井の間に埋め込み照明をつけた事例です。間接照明が美しい木目を引き立て、贅沢な空間を演出しています。
ダウンライトなどの直接光は、暗い影ができるのが難点です。一方、間接照明は影が薄まるため、落ち着いた印象が作れます。
間接照明の光は、天井や壁から反射して、ゆるやかに部屋の中央へと広がります。
3. 勾配天井にシーリングファンはつけられる?
勾配天井にシーリングファンをつけたいけど、取り付けられるかどうか疑問に思う人もいるかもしれません。結論からお話しすると、勾配天井にシーリングファンはつけられます。
しかし下地材の補強と器具の選定が必要になるため、計画段階から設計者に相談しましょう。
シーリングファンをつけると、空気の循環が行われ冷暖房効率が上がります。回転するファンが光を遮らないよう、ダウンライトは近くに配置しないことがデザインのコツです。
見た目もオシャレなシーリングファンは、リゾートホテルのような雰囲気を演出してくれます。
4. 建築家が手掛けた勾配天井のオシャレな建築事例 5 選
次からは、建築家が手掛けたオシャレな建築事例をご紹介しましょう。
プロの建築家は、これまで解説した勾配天井の特徴を踏まえて、土地や住む人に寄り添いながら設計プランに落とし込んでいきます。
実例の写真を参考にして、理想的な住まいのイメージを膨らませてみてください。
4-1. 事例1:スキップフロアのリビング
天井を勾配にして、スキップフロアを設けた事例をご紹介します。スキップフロアとは、2.5階や1.5階の部分で、いわゆる中二階のことです。
天井の傾斜角度を空間の途中で変え、絶妙なバランスで組み合わせています。まるで浮いたところからダイニングを見下ろしているような、特別な空間ですね。
4-2. 事例2:平家の勾配天井
次は、平家の事例をご紹介しましょう。屋根の形にあわせた勾配天井がどこか懐かしさを感じます。ゆるやかな勾配の天井で、広がりを感じつつも落ち着きのある魅力的な空間に仕上がりました。
裸電球のペンダントライトを部屋の中央ラインであわせて配置し、スッキリとした印象にまとめています。
4-3. 事例3:ロフトのある2階リビング
勾配天井ととても相性が良いのは2階リビングです。勾配天井の高い部分にはロフトをつけ、メリハリの利いたリビング空間を作りました。
明るい日差しを取り込んでいるのは、傾斜にあわせて取り付けた三角の窓ガラスです。ロフトと見せ梁の色を揃えて、デザインのポイントとしていますね。
照明は天井面にはつけず、ロフトと壁面だけにスポットライトを配置しています。ロフトに登れば手が届くため、メンテナンスの心配もありません。
機能性とデザイン性に優れた、魅力的な勾配天井の2階リビングが出来上がりました。
4-4. 事例4:木目の勾配天井
最後にもう一つ、平家の事例をご紹介しましょう。写真は中庭に向かって天井を低くした事例です。
天井は高いだけが良いとは限りません。座って過ごすことの多いソファリビングでは、低い天井のほうがリラックスするという人もいるはずです。
最も高い天井部分につけた天窓からは、明るい自然光が差し込みます。ゆるやかな傾斜の天井は、ゆったりとくつろげる上質な空間を演出してくれます。
5. まとめ
立体感がありオシャレな勾配天井。せっかくこだわりの新築住宅を建てるなら、天井の形にもこだわって、ワンランク上のインテリアに仕上げたいですね。
勾配天井のメリット・デメリットを知った上でも、マイホームに取り入れるか迷うかもしれません。
そんなときは住宅建築の専門家に相談してみませんか。プロの建築家なら、あなたの持つ不安を解決するアイディアを持っているかもしれません。
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