事務所兼住宅のおしゃれな実例!メリット・デメリットも解説
フリーランスや小規模事業主の方は、開業する際にオフィスを借りるのではなく自宅を使いたいと考える人も多いことでしょう。
加えて、リモートワークが増えた昨今、自宅で仕事をする人も増えました。
そこで今回は、事務所兼住宅のおしゃれな実例やメリット・デメリットと注意点を解説します。
まず、この記事のまとめポイントです。
- 事務所兼住宅のメリットは、通勤がないため時間がコントロールしやすい、固定費が経費で落とせるなど
- 事務所兼住宅のデメリットは、仕事とプライベートの区別が難しいなど
- 事務所兼住宅に関しては、用途地域・住宅ローン・固定資産税について基礎知識を押さえておきたい
- 建築家に依頼する最大のポイントは、法律な条件をクリアした上で、職場と自宅のメリハリがつきやすく、機能的な仕事環境が提案できること
1. 事務所兼住宅のメリット・デメリットはある?
まず、どんな業種でも事務所兼住宅で仕事ができるわけではありません。また、自宅にオフィスを設けると、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
ここでは、事務所兼住宅に向く業種と、メリット・デメリットを紹介します。
1-1. 事務所兼住宅に向く業種
事務所兼住宅に向くのは、エンジニア、プログラマー、デザイナー、作家、編集者、Web制作、アプリ開発などの職種です。これらの職種には、PCとネット環境が整っていれば仕事ができ、来客対応が少ないという共通の特徴があります。
また、ITやインターネットが普及した現代では、リモートワークを推奨する企業も増えてきました。コロナ禍で、Zoomなどを使ったWeb会議が広がりを見せています。
上記の職種でなくても、工夫次第ではリモートワークが可能かもしれません。今後は事務所兼住宅の需要がますます高まることも予想されます。
1-2. 事務所兼住宅のメリット
事務所兼住宅のメリットを、以下にまとめました。
- 通勤がなくストレスを感じにくい
- 自分好みの仕事環境が作れる
- 水道光熱費などの一部を経費にできる
- 時間帯・仕事の内容・量をコントロールしやすい
事務所兼住宅の最大の魅力は、通勤がないことです。通勤に使っていた時間を仕事に割り当てれば、時間の無駄が省かれ、仕事の効率化も見込めるかもしれません。
水道や電気といった固定費も、仕事として使っている分は経費として落とせるため、節税面もお得です。
そして、事務所兼住宅は仕事の量をすり合わせしやすく、時間にとらわることがありません。自分の都合で仕事を調整できる環境は、子育てや家事、介護などでプライベートが忙しい人にとっても、好都合かもしれません。
1-3. 事務所兼住宅のデメリット
事務所兼住宅には魅力がたくさんある中で、デメリットも知っておきたいものです。
- 仕事とプライベートの切り替えが難しい
- 対外的な信用が得られにくい
- 来客対応が難しい
まず、事務所兼自宅は自由に時間配分ができる反面、仕事とプライベートの切り替えが難しくなります。
また、居住スペースに併設しているため、事業での来客対応が難しいのも事実です。間取りを工夫するなどして、事業と居住スペースを分けることをおすすめします。
2. 事務所兼住宅を考えるときに気を付けたいポイント
事務所兼住宅を建てるには、以下の3つについて知識を得ておくと計画がスムーズに進みます。
- 用途地域
- 住宅ローン
- 固定資産税
また、上記の点は「事務所兼住宅を独立して設けたい場合」に押さえておきたいポイントです。住宅として建築を進め、自宅の一角にワークスペースを設ける場合には、特に気にする必要はありません。
ここでは、事務所兼住宅を建てる時の注意点についてそれぞれ詳しく紹介します。
2-1. 用途地域を調べる
事務所兼住宅を考えるときには、お持ちの不動産の「用途地域」と呼ばれる土地の区分を調べましょう。
市街地では、良好な街づくりを行うため、土地ごとに建築可能な建物の種類や用途の制限が定められています。用途地域は 13 の区分に分けられており、どこにでも事務所兼住宅が建てられるわけではありません。
例えば、工業専用地域には事務所兼住宅は建築不可能です。また、第一種低層住居専用地域では事務所部分の面積が 50 平米を超えるものは建築できないと定められています。
まずは、予定している土地の用途地域を調べ、不明な点があれば専門家に相談しましょう。
2-2. 住宅ローンを調べる
事務所併用住宅として住宅の建築工事を行うと、住宅ローンが使える可能性があります。住宅ローンを利用すると、金利が安く 35 年という長期で組めるのが魅力です。
しかし、事務所併用住宅で住宅ローンが使えるかどうかは、金融機関によって判断が分かれます。
例えば、住宅ローンを利用するには居住部分の面積が、全体の 1/2 であるといった条件を満たさなければならない場合も。また、住宅部分は住宅ローン、事務所部分は事業用ローンと、別々に組む必要があるケースも考えられます。
このように事務所兼住宅に関しては、金融機関ごとに条件の違いがあるため、ご自身のケースでは事前にどの金融機関が使えるのか調べておきましょう。
2-3. 固定資産税を知る
事務所兼住宅では、条件を満たせば固定資産税の軽減措置を受けられる可能性があります。固定資産税とは、所有している土地や住居などに対して課せられる税金です。
固定資産税は、毎年かかる固定費であることから、節税のためにも軽減措置を利用しない手はありません。ポイントとなるのは、住宅部分の面積と建物の構造です。
そのため、設計段階から住居部分の占めるスペースについて注意する必要があります。ご自身の希望と間取りを設計者に伝え、相談しながら計画を進めましょう。
3. 事務所兼住宅のおしゃれな建築実例 1:マンションをリノベーションした SOHO
事務所兼住宅を検討するなら、実際に建てられた空間をみてイメージを膨らませてみてはいかがでしょうか。まずは築 53 年のマンションをSOHOにリノベーションした建築事例を紹介します。
自分の希望や条件に合った事務所兼住宅をデザインしてくれる建築家と話がしてみたい・紹介してみてほしいという方は、タイテルの建築家紹介 も便利です。
一つの大きな空間に仕事とプライベートが共存するワンルームです。左側のオフィス部分はコンクリート壁、右側の居住スペースには木目の壁を施してデザインを分けています。
内装材を変えるとオン・オフの意識がつきやすくなり、メリハリの利いた生活ができそうですね。働く場所とプライベート空間が、心地よく同居するホームオフィスです。
次に、オフィスと住居それぞれのスペースを詳しく紹介します。
3-1. オフィス部分
事務所兼住宅の、ワークスペース部分です。白い床タイルに無彩色のインテリアをあわせて、キリッと気持ちの良い仕事場を作り上げています。
この部屋をシャープで無骨な雰囲気に演出しているのは、コンクリート打ちっぱなしの壁と水平・垂直に走る配管です。あえて天井を張らずに構造体を露出させることで、無骨でスタイリッシュな印象を与えています。
次は、住宅部分を紹介します。
3-2. 住宅部分
クールなオフィススペースとは対照的に、居住スペースは、床と壁に木目を使って落ち着きのある空間に。緩やかにカーブした壁が、柔らかな印象を与えています。
左手の奥にみえるのは、寝室のスペースです。オフィス空間よりも天井を低くし、ダウンライトを施しています。夜に明かりを落とせば、ゆったりとくつろげそうなベッドルームですね。
次は、こちらの事務所兼住宅の間取りを紹介します。
3-3. 間取り
左が改修前、右が改修後の間取りです。事務所と住居の間を、建具などで区切らず、一つの大きな空間としています。空間を最大限に活用し、無駄なスペースが一つもありません。
また、プライベートゾーンとワークゾーンをぐるっと回ることが可能で、自由に行き来できる動線が確保されています。
下の写真の、窓際のソファに注目してください。
窓からたっぷりと光が差し込むソファは、ワークスペースと寝室がつながる位置に配置されていますね。仕事の途中に一息つくときにも、プライベートを充実させるときにも活躍しそうな長椅子です。
4. 事務所兼住宅のおしゃれな建築実例 2:RC 造と木造のオフィス兼用住宅
事務所と一口にいっても、一人で使うオフィスから複数人の社員が在籍する事務所まで、規模はさまざまです。人の往来がある事務所では、住宅とオフィスを分けてみてはいかがですか。
次に紹介するのは、鉄筋コンクリート造の大きな事務所スペースの上に、木造住宅を併設した事例です。
建物の通りに面した部分には、換気フードも雨樋も取り付けていないため、すっきりと洗練された佇まいを見せています。住宅には欠かせないエアコンの室外機や給湯器といった設備類は、反対側に配置されているのかもしれません。
次は、建物の内観を紹介します。
4-1. オフィス部分
1 階のオフィス部分は、白を基調とし天井をコンクリート仕上げにすることでシンプルな印象を作り上げています。
オフィス空間では、照明のデザインも重要なポイントです。書類やディスプレイがくっきりと見える明るさを、天井照明でしっかりと確保していますね。
間仕切り壁も柱もない大空間は、複数人がコミュニケーションを取りながら仕事するのに活躍しそうです。
次は、この鉄筋コンクリート造部分の上にある 2 階部分をご覧ください。
先程のすっきりとしたオフィスとは印象を変え、木目の梁とフローリングで明るく温かみのある内装に仕上げています。
木造でありながらも大きな空間が確保できるのは、太い梁を使っているためです。次は、この事務所併用住宅の外観を紹介します。
4-2. 外観
遠くから眺めると、住宅が併設されている様子がよく分かります。切妻でシンプルな形の屋根は、すっきりとした事務所の外観に馴染んでいますね。
住宅部分の外壁色にベージュを選ぶことで、街並みにもすんなりと溶け込んでいます。外観の見え方にもこだわった、ハイセンスな事務所併用住宅です。
5. 事務所兼住宅のおしゃれな建築実例 3:マイホームに書斎を作った例
リモートワークや在宅ワークが広まった現代では、自宅で仕事ができるスペースを作るのもおすすめです。
ここでは、建築家がデザインした住居内の書斎スペース事例を紹介します。住居の一部に作った機能的なワークスペースは、事務所兼住宅を作る際のインテリアの参考になるはずです。
5-1. 事例 A:ロフト下のデスク
天井が高い空間であれば、ロフトの下に書斎を作ってみてはいかがですか。ベッドスペースの下にデスクを設けた事例を紹介します。
横に長いデスクは、PCを複数台おいても十分な広さです。フローリングの色とあわせて、カウンターも白系にすることでスッキリとまとまっていますね。廊下との境目には収納棚を置き、空間を上手に利用しています。
仕事場は、開放的なスペースだとかえって集中できないという声もよく耳にします。低めの天井のワークスペースは、集中した時間を確保するのにも最適ですよ。
5-2. 事例 B:書斎スペース
次に紹介する事例は、吹き抜けの 2 階に作ったワークスペースです。カウンターの黒と、アイアンの造り付け棚が、木と白を基調としたインテリアの引き締め役となっています。
また、 1 階とつながる部分に取り付けたのは木枠の室内窓です。作業に集中したいときには窓を閉めると音を遮断するのに役立ちます。また、暑い夏に窓を開けて風を通すなど、時と場合に応じた使い方が可能です。
天板の広いワークスペースに資料を思う存分広げたら、良いアイディアが浮かびそうな書斎ですね。
5-3. 事例 C:モノトーンインテリアの書斎
次に紹介する事例は、モノトーンインテリアの書斎スペースです。床・壁・天井すべての色を白・黒・シルバーで構成することで、洗練された空間に仕上がっています。
天井側のエアコンは、白い横桟のカバー内に設置しているため、デザインの邪魔になりません。ワークスペースの下の引き出しは、仕事道具もたっぷり入りそうです。
彩度の低いモノトーンでスッキリとまとめられたデスクは、集中力が妨げられず仕事が捗りそうですね。
5-4. 事例 D:在宅ワークができるデスク
在宅ワークが週 3 日あるというご夫婦のために、本格的な仕事場を作った事例をご紹介します。
ワークスペースとなるカウンターは、 2 人が並んで座るのに十分な幅です。反対側のデスクも、資料を広げたり打ち合わせをしたりする時に活躍しそうですね。
一つの部屋の中に、集中できる仕事スペースを作るなら、目線よりも高い仕切りを作ることがポイントです。ワークスペースと居住スペースとの間に本棚を造り付け、空間を緩やかに分けています。
住まいにスッと馴染みながらも、仕事に必要なスペースを十分に確保した、機能的な在宅ワークスペースです。
6. まとめ
事務所兼住宅は、通勤がないため時間を有効活用できる仕事場です。しかし、プライベートとの区別も難しくなるため、自宅に事務所を併設する場合は、間取りに工夫をすると良いかもしれません。
建築デザインは、アイデア次第で使い勝手が変わります。もし事務所兼住宅で不安に思うことがあれば、建築家に相談してみませんか?
ご自身の事業にぴったり合ったハイクラスな空間を、建築デザイナーなら提案できるはずです。
タイテルでは、一級建築士の建築アドバイザーによる相談を無料で受け付けております。もし判断に迷った場合は、ぜひお気軽にご相談 ください。
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