ガレージハウス 完成事例10選でみる設計のポイント
ガレージハウスは、車愛好家の方にとって憧れの住まいなのではないでしょうか。
また最近は、車やバイク好きの方だけでなく、雨に濡れず車の乗り降りができることから、ストレスなく暮らせるとのことで人気が高まっています。ガレージ内に多くの収納を備えるデザインはキャンプなどのアウトドアが好きな方からも人気です。
ここでは、建築家が実際に手がけたガレージハウスの事例を中心に、ガレージハウスのメリットやつくる際のポイントを解説します。
1. ガレージハウスとは?
『ガレージハウス』とは住宅とガレージ(車庫)が一体となった建物のことです。住宅の1階部分や、住宅の一部にガレージがある住居が一般的で、ビルトインガレージなどとも呼ばれます。
「ガレージ(車庫)」とは3方が壁に囲まれており、周囲から遮断されている構造のものをいいます。ガレージは建物の一部なので建築面積にも含まれ、「一つの部屋」として捉えられることもあります。
「ガレージ」と似た言葉に「カーポート」というものがありますが、その2つは異なるものです。カーポートは、雨や雪などをしのげるように、ポールに屋根を取りつけた簡易的な構造のものをいいます。建物とは切り離された「外構の一部」として扱われるのが一般的です。
2. ガレージハウスのメリットと、作る際のポイント
まずはガレージハウスのメリットと、作る際のポイントについて簡単にご紹介します。
2-1. ガレージハウスのメリット
ガレージハウスのメリットは、大きく下記4点となります。
1. 車を守ることができる
車を風雨から守ることができる他、防犯性も高く車を大事に守ることができます。
2. 空間の有効活用
狭小地でも駐車場を借りることなく、駐車スペースを確保することができます。
3. 趣味の空間として利用
車の整備やアウトドア用品の収納など、趣味の空間としても利用することができる点で一石二鳥です。
4. 雨の日の生活が楽
雨にぬれず居住部に入ることができるので、ストレスもなく、荷物も濡れません。
2-2. ガレージハウス間取りのポイント
間取りにひと工夫を加えることで、自分のライフスタイルに合ったガレージハウスをつくることができます。
引っ越してから「こうしておけば良かった」と後悔することがないよう、間取りを考える際に気をつけたいポイントをご紹介します。
2-2-1. 必要な大きさを把握する
まず押さえておきたいのが、「ガレージハウスの大きさ」。ガレージハウスは後から大きくしたり、新しくつくったりするのが難しいため、家を立てるときにあらかじめ何台分のスペースが必要かどうかを想定しておく必要があります。
乗り降りを含めた車1台あたりのスペースは、 全長5.5~6m × 幅2.5~3m × 高さ2.3m 程度確保しておくと安心です。「ガレージはできるだけコンパクトにしたい」「大型のバンを買うかもしれない」「メンテナンスのスペースを設けたい」などの要望がある場合は早い段階で設計者へ伝え、計画に反映しておくことが大切です。ガレージのサイズによって、建物のサイズや全体の計画が大きく左右される可能性があるからです。
2-2-2. 外部・内部との関係性を考える
次に「外とのつながり」や「内部との関係性」をどうデザインするかも大きなポイントです。
例えば「ガレージは道路に面している方が良い」「外から見えないように奥まったところに設けたい」などの利便性や防犯面を考えることで、おおよそのガレージ位置が決まってきます。
また「夜遅くに帰ることが多いから、ガレージは寝室からできるだけ離れた位置に設けたい」「愛車をリビングから眺められるようにしたい」「パントリーとつなげて、ゴミ置場としても使いたい」など生活のシーンを想定して、間取りを決めていくというのも一つの方法です。
2-2-3. 必要な設備も想定しておく
照明やコンセント、水場、換気扇などの「設備」も忘れずに計画に組み込んでおくことが大切です。「暗くてバイクの整備がしにくい」「コンセントが足りない」「登山靴を洗えるような水場があれば良かった」など、生活してから後悔するケースはよくあります。インテリアや収納などのデザインに気を取られ、設備関係はつい忘れがちになってしまいますが、生活に密接に関わる部分なのできちんと計画をしておく必要があります。
2-3. ガレージハウスを建てると税金が安くなる!?
ガレージハウスには、固定資産税を軽減することができる可能性があります。
延床面積のうち、5分の1以下をガレージ部分に割いた場合、そのスペースは固定資産税の「計算外」となるのが一般的です。これによって固定資産税額も低くなるという訳です。これは、土地の値段の高い都市部の狭小住宅では大きなメリットになります。
また、都市部では駐車場1台分の金額が年間で30万円以上となることも珍しくありません。土地の値段が高いエリアでは、ガレージハウスはお得な家とも考えられるかもしれません。
1つ注意点としては、ガレージハウスはあくまでも家の一部として計画されるので、カーポートなどの全く固定資産税の対象にならないような設備に比べると値段は上がるということです。
3. ガレージハウスのデメリットや注意点
魅力的なガレージハウスですが、デメリットや注意点もあります。
まずガレージを設ける分「居住スペースが狭くなる」というデメリットがあります。また都心などの狭い敷地だと、1階にガレージを設けるために2,3階を居住スペースにするということも考えられます。階段の上り下りが負担になる可能性があることは、理解しておきましょう。
またガレージを設けるには費用もかかります。車が入るための大きな間口を設ける必要があるため、構造をその分しっかりと作らなければなりません。場合によっては鉄筋コンクリートや重量鉄骨などの材料でつくることもあります。
さらにガレージにシャッターを設ける場合は、その分の費用もかかってきます。機能にもよりますが、手動の場合は30~60万円、電動の場合は50~150万円ほどかかるといわれています。2台分の場合はさらに高額になるので、あらかじめ予算の中に含んでおくようにしましょう。
4. 建築家によるガレージハウスの事例10選
それでは実際に建築家が設計したガレージハウスの事例をみながら、ポイントをご紹介します。自分に合ったガレージハウスをデザインしてくれる建築家と話がしてみたい・紹介してみてほしいという方は、タイテルの建築家紹介 も便利です。
4-1. 車を飾りたい、眺めたい人のガレージハウス
このガレージハウスでは、バイクをショーケースで飾るように置き、眺めることができます。趣味の空間をリビングから眺め、穏やかに過ごすことができそうです。
こちらは、外観が真っ白でシンプルだからこそ、美術館のように外から見たときに車が映えるデザインです。外観は防犯上も考慮した間取りがわかりづらい閉鎖的なデザインでもあり、内部は明るく開放的な空間が広がります。
上から落ちる光が印象的なガレージハウスです。車やバイクも人間と同じように家の中にしまわれます。ガレージは白ベースに少しポップな色使いで、車好きの方にとっては心躍る空間になるでしょう。
こちらは、ホテルのようにエレガントな住宅です。光の差し込む打ちっぱなしコンクリートの空間に、車は飾られるように置かれます。車は住宅の中からも見ることができます。
4-2. 積極的に車と関わりたい人のガレージハウス
続いて、車を整備したり眺めたりと、積極的に車と関わりたい人のためのガレージハウスのご紹介です。
郊外への移住を考えている方は、土地をたっぷり使って自分の趣味の空間を作り込むのはいかがでしょうか。生活部分は明るく外の光が差し込む柔らかな空間です。ガレージは周囲を備品やコンテナに囲まれた少しギークさのある空間になっています。大好きな車の整備などに没頭したい方におすすめです。
寝室から車やバイクを眺め、整備しながら休日をガレージで過ごし、天気のいい休日には屋上の小さな庭でビールを飲む小さな楽しみがちりばめられた家です。建て込んでいるため居住部分にはピクチャーウィンドウとして景色の良い方にのみ開口部を設け、2棟を繋ぐガラスの階段室から光を取り込んでいます。難しい条件の敷地でも、建築家とつくることで納得のいく住宅をつくることができます。
4-3. 豊かな緑とガレージハウス
次に、郊外や別荘地など、緑が豊かな場所でガレージハウスを検討している方に、おすすめな事例です。
こちらは八ヶ岳に別荘として建てられました。住居の下をくぐるように車は敷地を通り 抜けることができます。周囲を囲む森までも家になったかのような体験をすることができます。
この住居はベランダやテラス、庭など外部空間とガレージの関わり方が豊かです。いつも外を楽しめそうな空間は、ガレージを暖かい印象の場所へと変えています。
4-4. シンプルなガレージハウス
最後に、車が中心の生活ではないけれど、都心で車のある生活をしたいという方におすすめな事例をご紹介します。
ビルトインガレージで、車と居住部との関りは薄めですが、その分居住部を豊かに撮ることができます。都心で車を持ちながら居住部にこだわりたいという方向けのプランです。
シンプルなビルトインガレージでの住宅です。セットバック部分が十分にとられ、車の出し入れがしやすいプランです。都心の建て込んだ敷地で車の出し入れがしやすいのは小さいポイントながら、安心でストレスのないプランです。
5. まとめ
車愛好家の方のみならず、様々なメリットがあるガレージハウス。
車が大好きな方はもちろん、暮らしを少し豊かにしたいなという方はぜひご検討ください。タイテルは、あなたと建築家をおつなぎします。登録している建築家の作品を見て好みをさがしたり、専門スタッフとの相談であなたに合った建築家とつながったりすることができます。
様々な事例をご紹介しましたが、悩みや迷いがある方には、まずは一級建築士の資格をもつタイテル建築アドバイザーとの無料相談 が便利です。専門家に、ガレージハウスの設計に関する悩みや疑問を気軽に相談することができます。