フレームがスッキリする FIX 窓!採用のデメリットは?
FIX 窓は、建築家もよく採用する窓の1つです。
窓は住宅の設計において、外観上のデザイン・内観のインテリアとの調和など非常に重要な要素になってきます。
FIX 窓は、一般的な引き違い窓などでは出すことができない魅力がたくさんある一方、デメリットも存在します。
建てた後に後悔しないよう、今回の記事をぜひ参考にしてください。
それでは、まずは今回の記事のまとめポイントです。
- FIX 窓(はめ殺し窓)は、固定されて開閉できない窓のことです。
- フレームがなくスッキリした納まりで、様々な形状に対応できる窓が FIX 窓です。
- FIX 窓は、開閉するための機構がないため比較的コストも安いことも特長です。
- 開閉ができないので通風を確保したい場所への設置や、まめに掃除したい方には不向きです。
- FIX 窓はデザイン性・使用用途をマッチさせると魅力的な空間を演出できます。
1. FIX 窓(はめ殺し窓)とは
まずFIX 窓は、読み方は「フィックスまど」とよみます。
FIX は英語で、意味としては「固定する・動かないようにする」という意味であり、枠・ガラスが固定されて開閉できない窓が FIX 窓です。
FIX 窓を採用する理由としては様々な理由がありますが、開ける必要のない窓(開けることができない)や、おしゃれなデザインを優先する場合に採用されることが多いです。
また、建築用語として固定して動かない状態のことを「はめ殺し」と呼ぶこともあり、別名では「はめ殺し窓」と呼ばれることもあります。
そんな FIX 窓ですが、採用する上でのメリットおよびデメリットを専門家の立場からご紹介していきます。
2. FIX 窓の特長やメリット
まずは FIX 窓自体の特長、取り入れるメリットなどをみていきましょう。
2-1. フレームがスッキリ・1 枚で大きなガラス
窓枠には内側・外側からみてガラスを支える(はめこむ)窓枠が存在します。
一般的に主流である「引き違い窓」(左右にスライドさせて開閉できる窓)や、デザイン住宅でも多く採用される「縦滑り窓」(細長い窓で窓ガラスを縦軸に回転させて開閉する窓)は、窓を動かすことから、支える枠が大きめに必要です。
一方、FIX 窓は固定されており開閉する必要がないため、窓を動かすための部品・機構が不要な分、窓枠を削減することができます。
上記の事例は、窓枠をほとんどなくし、壁の納まりも塗装壁で仕上げておりスマートな印象を創り上げている事例です。
四方の窓枠がほとんど見えない納まりになっていることで、室内のホワイトで統一されたインテリアをさらに引き立たせています。
一般的な引き違い窓では、少なくとも開口部の真ん中に必ず枠がくるため、デザイン上は FIX 窓の方がスッキリした印象になります。
このようにフレームが少なく、スッキリしたインテリア設計にピッタリな FIX 窓は、 titel(タイテル)の建築家でもよく使われる窓になっています。
また、窓の用途・外からの視線が入らない場所によっては、カーテンをあえて設置せずに開放感を演出する方法も良いでしょう。
2-2. 気密性が高い
昨今の住宅は気密性能も全体的に向上しています。
気密性能を上げる目的は様々ですが、窓自体の断熱性能もあがっており相関的に気密性能を上げる意味も増してきています。
主流に使われる引き違い窓は、左右の窓が交差する部分、四方のサッシとガラス窓の間がどうしても隙間となります。
一方、 FIX 窓は固定されて開けることができないため、気密性能を高くでき、気密性能にこだわりたい方にオススメです。
2-3. 吹き抜けの採光窓として最適
開ける必要がない窓、そして物理的に開けることができない窓が、家の設計によっては存在します。
まずは吹き抜けや、階段の上部に明かりを取り入れる目的で設置された窓です。
チェーンなどで開閉ができる窓もありますが、基本的に出入りすることもないので開ける必要はありません。
そんな場合には1枚のガラスで開放感がある FIX 窓がピッタリです。
もちろん、夏場の排熱のために開けれるようにしておくことは、吹き抜けの設計では有効な場合もありますので、そこは建築家と相談しながらFIXか開閉できる窓か?は相談しましょう。
2-4. 閉め忘れがない防犯上の安心
単純なメリットですが、開閉による閉め忘れがないため防犯上の安心感は高いです。
窃盗犯の手口としては、引き違い窓のクレセント(カギ)付近だけのガラスを割って、窓を開けて侵入する手口が多いです。
FIX 窓の場合は窓全体を割らないと侵入できないため、割るための音も大きく目立つため敬遠される傾向も考えられます。
窓自体の構造としても、室内側からビスで固定するため外されない構造になっていたり、防犯面でも有効的と言えます。
2-5. 様々な形がある
FIX 窓には、開閉できる窓とは異なる様々な形が実現できます。
円形の窓や三角形の窓(上記の事例の2階部分)など、 FIX 窓であればガラスとサッシの加工によって形状をアレンジできます。
円形の窓であれば、サッシメーカーから既製品として販売されていることから、既製品を組み込むのも良いでしょう。
2-6. 引き違い窓などに比べ価格が安い
既製品で比較する場合、引き違い窓など開閉できる窓に比べて価格が安くなります。
同じ大きさで比較する場合、例えばLIXIL・サーモスⅡ(16018サイズ)では下記のような定価差があります。
このように開閉する必要がない場所は FIX 窓にすることで、コストを安くすることができます。
3. FIX 窓のデメリット
それでは、 FIX 窓のメリットを紹介してきましたが、一方でデメリットもしっかり抑えたうえで FIX 窓を使う場所などを検討しましょう。
3-1. 通風が取れない
1点目は、当然ですが通気や出入りができません。
そのため FIX 窓を使う場所は、手の届かない場所など使える場所が限られてきます。
住宅は季節によっては、外気を取り入れて空気質をリフレッシュすることで家の寿命も長持ちします。
住宅にとっても、住んでいる人にとっても定期的な空気の入れ替えは大事なことです。
FIX 窓は、通気・通風も考えたうえで、開閉できる窓と FIX 窓をバランスよく配置すると良いでしょう。
3-2. 外側の掃除が室内からできない
開閉できないことから、外側のガラスの掃除などは外側からでないとできません。
高い場所などに採用されることがあると紹介しましたが、2階の FIX 窓はバルコニーなどから手が届かない場所に設置されていると、足場を組まないと掃除ができません。
吹き抜け上のガラスなどは、いずれにしても外側から掃除ができませんが、掃除をまめにしたい方は、設計段階で気にしておきましょう。
3-3. シャッター設置時に室内から開閉不可
掃除ができないデメリットと同様ですが、シャッターを併用する場合は、外側から開閉する形になります。
FIX 窓に対応した外側から開閉するタイプのシャッターもあり、カギもかけることができます。
FIX 窓でシャッターを付ける場合は、電動か外から開閉できる場所に設置することになります。
4. titel(タイテル)の建築家による事例 10 選
つづいて、 titel(タイテル)の建築家による FIX 窓を活用した住宅の事例をみていきます。
自分に合った建築家と話がしてみたい・良い設計事務所を紹介してみてほしいという方は、タイテルの建築家紹介 も便利です。
4-1. 大島の住宅
こちらの事例は、海辺に建築された開放感が抜群の住宅です。
FIX 窓が吹き抜けに採用されており、壁一面が FIX 窓で構成されています。
上部の窓は、屋根の傾斜角に合わせた台形の形状に合わせて作られている点も FIX 窓ならではの特長です。
既製品の窓ではなかなか出すことができない開放感を、 FIX 窓で実現している事例になります。
4-2. 愛宕の山荘|Atago Cottage
リビングを全面ガラスで設計した別荘の事例です。
特に上下の2段で構成された窓になっていますが、上部の窓は FIX 窓として固定されており、1枚で非常に大きなサイズになっています。
内部からは外の森の景観を一面に見ることができ、別荘で楽しむ非日常空間を創り上げます。
4-3. residence jo kamisannomiya
こちらの事例は、坪庭との調和が特長になっている事例です。
左右には開閉できるガラス扉がありますが、中央の大きな窓ガラス・上部は FIX 窓で構成されています。
枠のほとんどない FIX 窓が、落ち着いたインテリア、和風のわびさびを感じることができる素敵な坪庭をつなげる役割をしています。
FIX 窓でないとなかなか創り出すことができない、内部と外部の空間のつながりの演出が特長となっている事例と言えます。
4-4. MGYベース
こちらの事例は、ガラス一面で構成された正面からの外観が印象的です。
住宅ではなくオフィスの事例ではありますが、全面的にガラスで構成するため、様々な形状でアレンジできる FIX 窓がピッタリです。
この建物設計では、開閉する窓はむしろ危険にもなるため安全上の配慮からも FIX 窓を採用しています。
4-5. 木箱 kibako
こちらの事例は、安全上の配慮とデザインを兼ねて FIX 窓を採用した事例です。
外観もスクエア型で構成された今回の事例では、スクエア型の FIX 窓もデザイン上も調和しており額縁のようなデザインが印象的です。
通風を取り入れる場合は、落下しない小さな小窓から通風を取り入れており、採光と通風の目的ごとに使う窓を使い分けています。
4-6. residence jo mibu banba
こちらの事例は、縦方向全面を FIX 窓で仕上げた和モダンの住宅事例です。
全面が石タイルで構成された坪庭になっており、和モダンのやさしいスタイルを創り上げます。
坪庭を宅内からも楽しむため、そして昼間に陽のあかるさを最大限に取り込むための役割を FIX 窓で創り上げています。
4-7. 東浪見の別荘
別荘の事例ではありますが、ダイニングに設けられた開放感を演出する FIX 窓が印象的な事例です。
テレビの左右にある FIX 窓は、調理中・食事中・団らん中などのシーンで外の庭を絵画のように映し出す役割を果たしています。
窓枠がほとんど目立たないサッシ・ガラスを採用し、枠の出てこないスッキリした窓によって、インテリア全体もスマートなデザインに仕上がっています。
4-8. 白い豆腐
外観・内観全体をホワイト色で統一した住宅事例で、大開口が設置されたリビングは外部のような内部のような不思議な雰囲気です。
これも、窓枠がほとんど見えない設計になっている FIX 窓がつくりだす空間の魅力です。
床や天井と面一(段差がない)になった窓がスマートかつスタイリッシュな印象を強調しています。
4-9. 南原の山荘|Villa Minamihara
モダンクラシックなインテリアの中で、南面に開かれた大開口の窓が特長の別荘です。
2階部分にもやさしく光を取り込むため、様々な形状の FIX 窓が採用されています。
屋根の傾斜等に応じて、形状をアレンジしやすい点も FIX 窓のメリットです。
4-10. RIGID FRAME 02
こちらの事例では、縦に大きく特徴的なかすみガラスの FIX 窓があります。
かすみガラスであることから、カーテンなどがなくてもプライバシーの確保ができることと、夜間はやさしく光が外に漏れて印象的な外観を演出します。
宅内は、この FIX 窓のおかげで日中はあかるい陽が入り込みます。
5. まとめ
titel(タイテル)の建築家による FIX 窓の事例を通じて、 FIX 窓を採用するメリットや使うポイントなどをお伝えしてきました。
最後に、冒頭でお伝えした内容を復習としてもう一度振り替えってみましょう。
- FIX 窓(はめ殺し窓)は、固定されて開閉できない窓のことです。
- フレームがなくスッキリした納まりで、様々な形状に対応できる窓が FIX 窓です。
- FIX 窓は、開閉するための機構がないため比較的コストも安いことも特長です。
- 開閉ができないので通風を確保したい場所への設置や、まめに掃除したい方には不向きです。
- FIX 窓はデザイン性・使用用途をマッチさせると魅力的な空間を演出できます。
窓をあけることができない FIX 窓のデメリットとして、通気や通風が取れないことや掃除が家の中からしにくいことはありますが、それ以上の魅力が FIX 窓にはあります。
FIX 窓を使った建築に興味を持った方は、デザイン性、採光を家のデザインにフィットさせて調和させる FIX 窓を上手く設計できる titel(タイテル)の建築家に相談 してみましょう。
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