佐賀市の中心部の歴史ある菓子店の一角を改修した、ギャラリー、オフィス兼スタジオ。
写真家でありブランディングデザイナーでもあるクライアントの思いは、「写真を通して佐賀をブランディングし世界とつなげる」ために、自身のスタジオ、ギャラリー、ショップ、シェアオフィスをことの場所にもつことだった。限られた範囲のなかで使い方ができる場所という希望に応えるため、最小限の壁と建具を改修し、天井に装置としての二重格子を挿入した。
二重格子は、照明、プロジェクタ、電源、写真、背景紙など、使われた方に応じた機能を受け止めるハブであり、この場所を特別なものにする象徴性を備えた、ここで展開される行為と空間との物理的、心理的な媒介である。
新しくしつらえた壁面は既存の壁の上からボードを貼って塗装をしただけのものとし、天井は既存のものをそのまま現しとしている。正面の建具は街とのつながりを最大限にするよう、五枚引き戸とした。中間期には開放することで、街の人が気軽に立ち寄れる場所とすることができる。
また、ブランディングしたものや地域の特産品を展示販売するアーカイブには、壁一面にボックスを棚を設置し、外壁に開口部を設けることで、シャッターがしまった後も外から内部がみえるようにした。
商店街に面したこのスタジオが地域の1つの拠点となって、地方と世界の架け橋になることを願っている。
既存建物 / Before
佐賀のスタジオ
オフィス/内装
佐賀県佐賀市
チーム
設計:futuretank architects
施工:株式会社 田久保建設
Photo by Hideki Mizuta