茶室の構成や用語を解説!建築家の手がけた事例10選も紹介

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この記事では、茶室の構成や間取り、ルールや用語などの基礎知識を、建築家の手がけた茶室の事例10選とともに徹底解説します。
また、茶室を自宅につくるポイントとその魅力もご紹介。自宅に茶室を作成するのは決して難しくありません。しかし多くの方は「茶室を作るのは何だかたいへんそう」と感じているのではないでしょうか。
この記事では茶室の種類など基礎知識と、本格的な茶室から気軽に楽しめる茶室まで、自宅に作る方法をわかりやすく解説しています。これを読んでいただくと、自宅に理想の茶室を実現できるようになります。

<目次>

  1. 1. 茶室とは
    1. 1-1. 書院茶室
    2. 1-2. 草庵茶室
  2. 2. 茶室を構成するもの
    1. 2-1. 露地(茶庭)
    2. 2-2. 躙口(にじりぐち)
    3. 2-3.
    4. 2-4.
    5. 2-5. 天井
    6. 2-6. 水屋
  3. 3. 自宅に茶室を作る!その魅力とポイント
    1. 3-1. 茶室を作る魅力とは?
    2. 3-2. 間取りを考える
    3. 3-3. デザインを考える
    4. 3-4. 気をつけておきたいポイント
  4. 4. 建築家が手がけた、茶室つき住宅 10選
    1. 4-1. 品と風情のある書院茶室 3選
    2. 4-2. 侘びを楽しむ草庵茶室 3選
    3. 4-3. モダンな建物にある茶室 2選
    4. 4-4. 今の住まいに加える茶室 2選
  5. 5. まとめ

1. 茶室とは

茶室は室町時代ごろに遊興を楽しむ場で、主催者=亭主が招いたお客さまにお茶を振る舞った部屋が原型と言われています。そして茶室は時代とともに変化し、書院茶室草庵茶室の2つの様式と楽しみ方が生まれます。

1-1. 書院茶室

K邸茶室新築工事 (椿 邦司 の作品) K邸茶室新築工事 (椿 邦司 の作品) K邸茶室新築工事 (椿 邦司 の作品)
K邸茶室新築工事(建築家:椿 邦司

お茶を振る舞う部屋に徐々に茶道具や書画などの飾り物が置かれ、それを見ながらお茶を楽しむようになります。そうした飾り物を置くための床や棚、付書院などが部屋に加えられ、後に書院茶室と呼ばれるようになります。

書院茶室は飾り物だけでなく床や棚など部屋全体の優美さを楽しみながら、お茶をいただく空間になっています。

1-2. 草庵茶室

O邸新築工事 (椿 邦司 の作品) O邸新築工事 (椿 邦司 の作品) O邸新築工事 (椿 邦司 の作品)
O邸新築工事(建築家:椿 邦司

その後、つつましさの中にある美を重んじる、侘び(わび)を取り入れた草庵茶室が生まれます。草庵茶室は優雅な書院茶室と違い、当時の民家に使われていた丸太や竹、土壁といった質素な材料を使います。また亭主とお客さまが心を通い合わせやすいように、2畳や3畳の小さな茶室が主流です。

草庵茶室の様式を完成させたのは千利休と言われますが、彼の作と推定される国宝茶室「待庵」も2畳の広さです。このように茶室とは単にお茶を飲むためだけでなく、その空間全体を楽しむ部屋になっているのです。

2. 茶室を構成するもの

ここからは茶室を構成する代表的なものを紹介します。これらを知っておくと、自宅の茶室を考えるときにとても参考になります。また建築家との打ち合わせもスムーズに進められるため、ぜひ最後まで読んでみてください。

2-1. 露地(茶庭)

茶室の露地(茶庭)の画像

茶室を囲う庭園を露地、あるいは茶庭などと呼び、外の日常世界と茶室の非日常を分けている空間だと言われています。お客さまは露地にある腰掛待合で亭主を待ち、声をかけられると踏石が敷かれた通路を通り茶室に向かいます。

露地には植栽や石燈などが置かれ、移動しながら風情を楽しみます。茶室の入り口に着いたら、手前にある蹲(つくばい)に入った水で手や口を清めます。

2-2. 躙口(にじりぐち)

茶室の躙口(にじりぐち)の画像

躙口(にじりぐち)はおよそ60~70cm四方で設けられている茶室の入り口です。位の高い人でも頭を下げる格好になり、人はみな平等であることを示していると言われます。基本的に躙口は草庵茶室に作られ、書院茶室では通常の立って通る入り口になります。

2-3. 炉

茶室の炉の画像

は炭火で茶釜にお湯を沸かすものです。11月から4月までの寒い季節には畳に埋め込む炉を、5月から10月までは風炉と呼ばれる置き型の炉を使います。

もともとは風炉でお湯を沸かしていましたが、草庵茶室の広まりとともに畳に炉を切るようになりました。炉は熱を出すため冬はお客さまに近づけ暖を取ってもらい、夏やその前後は暑くならないよう遠ざけるための配慮だと言われています。

2-4. 床

茶室の床の画像

はいわゆる床の間のことで、掛け軸や花などを飾ります。茶室に入るとまず床に近寄り、こうした飾りを鑑賞する作法もあります。

床の茶室中央側にある縦の柱が「床柱」、床の上に横向きに渡すのが「落とし掛け」、下に横向きに置かれているのが「床框(とこがまち)」です。また畳から一段上がった平らなところには、畳や板が敷かれます。

それぞれの樹種は花梨や欅、楓、紫檀など多岐にわたります。特にこの樹種を使わなければいけない、という決まりはありませんが、茶室では自然の木のかたちを生かした赤松の皮つき丸太などが人気です。

2-5. 天井

天井は書院茶室と草庵茶室で作りが異なります。書院茶室では天井全体を均一な高さで作りますが、草庵茶室は同じ部屋の中で高さを変えます。お客さまの座るところより亭主が座るところの天井を低く作り、お客さまを敬う心を示しています。

さらに仕上げにおいてもお客さまの方の天井は、「網代天井」や「化粧屋根裏」など凝っものを使います。一方で亭主の天井には、「簾天井」や「蒲(がま)天井」など質素なものを使います。

書院茶室の天井の仕上げは、「格(ごう)天井」や「竿縁天井」などが代表的です。特に格天井は城や寺院などに見られ、品格が感じられる仕上げです。

2-6. 水屋

茶室の水屋の画像

水屋はお茶を点てる準備をしたり片付けたりする場所です。棚を作って茶碗や道具を置けるようにし、水道や水がめを備えることもあります。書院茶室の時代は独立した水屋ではなく、茶湯棚という簡素な棚を使っていたようです。

その後、千利休によって備え付けの棚と水桶を置いた、水屋の原型が作られたと言われています。さらに時代とともに棚や物入れが増え、現代の水屋のかたちができていきます。どのように棚などを作るかは流儀などで決まっている場合もあります。

3. 自宅に茶室を作る!その魅力とポイント

F邸新築工事 (椿 邦司 の作品) F邸新築工事 (椿 邦司 の作品) F邸新築工事 (椿 邦司 の作品)
F邸新築工事(建築家:椿 邦司

茶室は歴史だけでなく、奥深い楽しみ方もありとても魅力的です。せっかくなら自宅に茶室を作り、じっくりお茶を楽しんでみたいという方も多いでしょう。しかし「茶室を作るのはなんだか難しそう」と心配になるのも正直なところ。

そこでここからは、自宅に茶室を作るときの具体的なポイントをお伝えします。これを押さえていただければ、手軽に茶室を実現できるようになるはずです。

3-1. 茶室を作る魅力とは?

そもそも自宅に茶室を作る魅力とは何でしょうか。一つに日常の忙しさやストレスから解放され、優美さや侘びを楽しみ心豊かになれることがあると思います。

そこで茶室を作るときは決まりごとに縛られすぎず、自分たちが本当に楽しめる茶室にすることをおすすめします。もともと茶室は使う人の楽しみ方に合わせて変化してきた歴史があります。あまりルールを気にしすぎると、堅苦しく心から楽しめない茶室になりかねません。

もちろん格式を味わうなら細部にこだわっても良く、逆にシンプルで気軽に楽しむ茶室が理想ならそれでも問題ありません。これからお伝えするポイントはあくまで目安の一つです。茶室だからと難しく考えず、自分たちが本当に楽しめる茶室を作りましょう。

3-2. 間取りを考える

茶室の間取りを考えるときは「広さ」「」「水屋」の3つがポイントになります。この3つは家全体の間取りにも影響するため、できるだけ早い段階で考えることをおすすめします。

広さ

茶室の広さは書院茶室なら4畳半以上の「広間」が多く、草庵茶室は4畳半以下の「小間(こま)」がよく見られます。しかし自宅の茶室は、取れる広さに合わせて作っても問題ありません。広間や小間はあくまで分け方であり、広さは茶室の目的や作る状況に合わせるものだからです。

例えば小さな畳数で様式美を楽しむ書院茶室を作っても構わず、広い草庵茶室で侘びを味わっても良いのです。

床は書院茶室なら幅が1間、奥行き3尺が一般的です。また草庵茶室では幅が4尺や5尺、奥行きは2尺など小ぶりな床も見られます。ただしこちらも自宅で取れる広さに合わせて、柔軟に作って構いません。

もし床を取る間取りのゆとりがなければ、置き床を使う方法もあります。置き床とは持ち運べるコンパクトな床で、茶室の広さに応じてさまざまなサイズから選べます。必要なときに茶室の畳の上に置いて使い、使い終わればしまうこともできます。

水屋

水屋は茶室の外に設け、茶碗や茶道具をしまう棚や水がめを置く場所などを作ります。広さは幅が3尺から1間、奥行きは3尺が一般的です。さらに人が立つ場所も必要であり、合わせると1坪ほど面積を取ることもあります。

もし水屋を作るスペースが取れないときは、初期の茶室のように簡素な棚だけにしても良いでしょう。あるいはコンパクトな置き水屋にする方法もあります。置き水屋には移動できる家具調のものや、持ち運べる手持ち式のものもあり場所を取りません。

3-3. デザインを考える

茶室のデザインを考えるときは大まかでも良いので、書院茶室と草庵茶室のどちらにするか絞ることをおすすめします。書院は優雅さを、草庵は簡素な侘びがコンセプトであり、デザインは別のものです。2つのどちらかに決めた方が、ちぐはぐなデザインにならずに済みます。

もし思い描くデザインが決まらないようなら、この後に紹介する茶室つき住宅の実例を参考にしてみてください。イメージに近い写真があればそれを建築家に伝えることで、理想の茶室を実現しやすくなります。

腰張り

より茶室らしさのあるデザインにするなら、腰張りを貼ってみましょう。腰張りとは昔の茶室が土壁だっため、衣服がすれて汚れないように貼った和紙のことです。現代ならこの腰張りはデザインのアクセントになり、特に単調になりがちなシンプルな茶室を引き立てます。

腰張りは亭主が茶を点てるところを白の1段に、お客さまが座るところは2段にして色を変えることもあります。天井と同じくお客さまを敬うためですが、そうした配慮を取り入れても面白いでしょう。

茶室の窓の画像

茶室の窓には、土壁の下地である細かな格子を模した「下地窓」や、細い木材を縦や横に並べてはめ込んだ「連子窓」、現代の障子でも見る縦横に広めな格子の「格子窓」などがあります。

特に「下地窓」は茶室らしさを際立たせます。通常の窓の内側にはめる、内障子の格子を下地窓風にして再現してはいかがでしょうか。

3-4. 気をつけておきたいポイント

自宅に茶室を作るときは、構造の強さや各種の法規制をしっかり考えた作りにしなければなりません。しかしそれらをお施主さまが確かめながら茶室を考えることは困難です。そのため自分たちの茶室がイメージできたら、できるだけ早めに建築家などの専門家に相談することをおすすめします。

専門家なら間取りだけでなく天井や壁の仕上げ、炉の設置など、細かなところまで建物強度や法規制をチェックして茶室を考えてくれます。
ただし専門家であれば誰でも良いというわけではありません。実際に茶室を手がけた経験が豊富な専門家の方が、経験に基づいた素敵なプランを提案してくれます。実際にどのような茶室を建てたか確かめながら、頼れる専門家を探すようにしましょう。

タイテルでは、実際に茶室つきの住宅の建築経験のある建築家をご紹介することができます。ぜひ、 タイテルの建築家紹介 からお問い合わせ下さい。

4. 建築家が手がけた、茶室つき住宅 10選

ここからは、タイテルがご紹介できる建築家による、茶室のある住宅の実例10選をご覧いただきます。

4-1. 品と風情のある書院茶室 3選

K邸茶室新築工事 (椿 邦司 の作品) K邸茶室新築工事 (椿 邦司 の作品) K邸茶室新築工事 (椿 邦司 の作品)
K邸茶室新築工事(建築家:椿 邦司

自宅の離れとして作られた本格的な茶室です。庭と一体で設計されており、露地も含めた茶室を堪能できます。

M邸新築工事 (椿 邦司 の作品) M邸新築工事 (椿 邦司 の作品) M邸新築工事 (椿 邦司 の作品)
M邸新築工事(建築家:椿 邦司

品のある和風住宅の中に作られた広間の茶室です。建物と調和した書院の作りで、随所にお客さまのこだわりがうかがえます。

F邸新築工事 (椿 邦司 の作品) F邸新築工事 (椿 邦司 の作品) F邸新築工事 (椿 邦司 の作品)
F邸新築工事(建築家:椿 邦司

玄関にある躙口を通ると小間の茶室があり、さらに廊下を渡ると広間の茶室にたどり着きます。草庵茶室と書院茶室の両方が楽しめます。

4-2. 侘びを楽しむ草庵茶室 3選

T邸新築工事 (椿 邦司 の作品) T邸新築工事 (椿 邦司 の作品) T邸新築工事 (椿 邦司 の作品)
T邸新築工事(建築家:椿 邦司

15坪の狭小地に建てた住宅の小屋裏に茶室を設けています。無駄を省いた草庵茶室を、自然なかたちで取り入れています。

O邸新築工事 (椿 邦司 の作品) O邸新築工事 (椿 邦司 の作品) O邸新築工事 (椿 邦司 の作品)
O邸新築工事(建築家:椿 邦司

囲炉裏のあるテーブルから、茶室と茶庭の両方を見て過ごせる設計です。茶室は天井の仕上げを分けるなど、こだわりの詰まった作りになっています。

T邸新築工事 (椿 邦司 の作品) T邸新築工事 (椿 邦司 の作品) T邸新築工事 (椿 邦司 の作品)
T邸新築工事(建築家:椿 邦司

2階のバルコニーに蹲つきの露地を作り、限られた空間ながら茶室に至る動線も楽しめます。天井の高さも変えた見事な草庵茶室になっています。

4-3. モダンな建物にある茶室 2選

市中の山居 (椿 邦司 の作品) 市中の山居 (椿 邦司 の作品) 市中の山居 (椿 邦司 の作品)
市中の山居(建築家:椿 邦司

モデルルームの中に作られた茶室ですが、手水鉢や化粧屋根裏など細部にもこだわっています。特徴的な外観と環境に優しい素材を使ったモダンな和風建築です。

旧道の山荘|Kyudo Cottage (武富 恭美 の作品) 旧道の山荘|Kyudo Cottage (武富 恭美 の作品) 旧道の山荘|Kyudo Cottage (武富 恭美 の作品)
旧道の山荘|Kyudo Cottage(建築家:武富 恭美

別荘の中に茶室を構えた例で、まさに日常から離れた空間で楽しむ茶室です。水屋は普段の生活でも使えるようアレンジしています。

4-4. 今の住まいに加える茶室 2選

A邸改装工事 (椿 邦司 の作品) A邸改装工事 (椿 邦司 の作品) A邸改装工事 (椿 邦司 の作品)
A邸改装工事(建築家:椿 邦司

マンションに作られた格式を感じる広間の書院茶室です。水屋も設けたその本格的な作りは、マンションの中とは思えない完成度です。

K邸茶室改装工事 (椿 邦司 の作品) K邸茶室改装工事 (椿 邦司 の作品) K邸茶室改装工事 (椿 邦司 の作品)
K邸茶室改装工事(建築家:椿 邦司

RC住宅のワンフロアーに広間と小間、水屋などを備え、多目的に使える茶室空間になっています。室内でありながら踏石を通り躙口から入る作りになっています。

5. まとめ

茶室は日常を離れ、優雅さや侘びを楽しむぜいたくな空間です。またそれぞれの部分に歴史に裏付けられた意味があり、知るほどに茶室の奥深さに魅了されます。

一見茶室を自宅に作るのは難しそうに思うかもしれませんが、紹介した実例からわかるように自宅に合ったかたちで多くの方が実現しています。茶室は使う人や住まいの条件に合わせて、自由にアレンジできるのです。

タイテルが紹介する茶室の設計実績が豊富な建築家なら、お好みはもちろんご予算や敷地の条件に合わせた提案が可能です。自宅に茶室を検討されるなら、ぜひタイテルにご相談ください。