吹き抜けリビングで後悔しない!間取り例や寒さ対策など
吹き抜けがあるリビングは明るく開放的で、「家を作るならぜひやってみたい」と考えている方も多いと思います。でも実際に作るとなると、どんな間取りが良いかなかなかイメージがわかないもの。中には吹き抜けは寒いと聞いて、作るかどうか迷っている方もいるかもしれません。
そこで今回は、建築家がデザインしたおしゃれな吹き抜けの実例と、気になる寒さやメンテナンスなどの対策をわかりやすく解説します。読んでいただくと、自宅にどんな吹き抜けを作れば良いかイメージできるようになるはずです。
まず、この記事のまとめポイントです。
- 吹き抜けの寒さは、高気密・高断熱の家や適切なエアコンを選ぶと解消しやすくなる。
- 吹き抜けは1階の臭いが2階に上がりやすいが、2階ホールに窓や換気扇を付けるとこもりにくくなる。また音も2階に伝わりやすいが、内窓を付けるなどの対策がある。
- 吹き抜けのシーリングファンは電動昇降にすると、掃除やメンテナンスがしやすくなる。また照明は吹き抜けの天井ではなく、壁の途中に付けると掃除しやすくなる。
- 吹き抜けに付ける窓は、くもりガラスにすると汚れが目立ちにくくなる。もし透明にするときはお客さまがきれいにするのは難しいため、専門業者に掃除を頼むのがおすすめ。
1. 吹き抜けのあるリビングの間取り5選
はじめにおしゃれにデザインされた、吹き抜けのあるリビングの実例を5つご紹介します。「どうすればより素敵な吹き抜けになるか」というポイントもお伝えしていますので、ぜひ参考にしてください。
1-1. 青空を眺められる吹き抜けリビング
吹き抜けに空を眺められる大きな窓を付け、リビングにいても屋外の開放感を味わえるように設計されています。さらにその隣に2階の部屋に通じる大きな窓を加えて、ソファーに座ったときでも広がりを感じられるように配慮。また壁紙の色にまるで雲のような、鮮やかな白を使っている点も参考にしたいポイントです。
1-2. 開放感と意外性のある吹き抜けリビング
リビングに入ったときは2階の張り出しで普通のリビングに見えますが、一歩進むごとに吹き抜けが目に入り意外性を楽しめるように設計されています。またソファーに座ったときは開放感もありながら、張り出し天井や2階のホールなどで視覚の変化を感じられるようになっています。
1-3. 大開口の窓で開放的な吹き抜けリビング
右側にある天井まで続く窓が、リビングの開放感を高めています。さらに窓のシルバーの枠や、ガラスの向こうに見える階段が都会的な雰囲気を部屋にプラス。家具を含めた内装を白で統一し、余計な装飾を省いたデザインが部屋の広がりを演出しています。
1-4. 吹き抜けに浮かび景色を楽しむリビング
吹き抜けに浮かぶにリビングが配置され、高めの位置から外の景色を楽しめるように設計されています。まわりも吹き抜けを見下ろすような作りになっているため、まるで展望台でくつろぐような開放感が味わえるでしょう。インテリアも極力シンプルにデザインすることで、開放感を高めています。
1-5. 海岸とひとつになった吹き抜けリビング
海を正面に臨み、まるで海岸と一つになったようにデザインされた吹き抜けリビングです。中央に大きく取った土間は、砂浜がそのまま続いているように見えます。部屋の中だけでなく外の景色も考えて設計すると、より魅力的な間取りになることを教えてくれるプランです。
2. 寒い吹き抜けを解決する方法
吹き抜けのあるリビングは空間が大きく、しかも暖房で温めた空気は上にあがってしまうため寒く感じることがあります。しかしこれは建物の造りや設備を工夫すると、抑えやすくなります。
2-1. 高気密・高断熱にする
吹き抜けリビングの寒さは、高気密・高断熱の家にすると和らげることができます。高気密とはなるべく隙間のない家を作ることです。また高断熱とは、壁の中や床下などに入れる断熱材を高性能なものに変え、さらに窓も熱を通しにくいものを使うことです。
こうすると温めた空気が外へ逃げにくく、吹き抜けがあっても暖かい空間にしやすくなります。吹き抜けのあるリビングを作るときは必ず、どのような高気密・高断熱対策をしているか建築会社に確かめるようにしましょう。
2-2. 適切なエアコンを選ぶ
吹き抜けのあるリビングにエアコンを付けるなら、リビングの畳数より大きめのエアコンを選ぶようにしましょう。吹き抜けは容積が大きく暖房した空気が上にあがってしまうため、エアコンのパワーに余裕がないと十分に暖房できません。
例えばリビングが14畳なら、16畳用や18畳用のエアコンを付けるようにしましょう。また床に向かって温風を吹き出す機能のあるエアコンを選んだり、足元から温める床暖房を併用したりすると感じる温度が上がって寒さを感じにくくなります。
2-3. シーリングファンを付ける
吹き抜けの寒さ対策には、吹き抜けの天井にシーリングファンを付けるのもおすすめです。シーリングファンは大きなプロペラの形をしていて、回すと上にあがった暖かい空気を下へ押し戻してくれます。
ただしシーリングファンの風が体に当たると、寒さを感じてしまう方もいます。そのときはファンの回転を逆にして、天井に風を当てて暖かい空気を下ろす方法もあります。シーリングファンがあると夏もリビングを涼しくしやすいため、吹き抜けのある間取りにするときはぜひ検討してみましょう。
3. その他の吹き抜けのデメリットと対策
開放感あふれる吹き抜けですが、寒さ以外にも気を付けたいデメリットがいくつかあります。ここではそのデメリットと対策をお伝えします。
3-1. 音が2階に伝わる
吹き抜けは縦のトンネルのような形をしているため、1階のリビングの話し声やテレビの音が2階に伝わりやすくなります。そのため具合が悪く寝ていたい、静かに勉強したいというときに音が気になってしまうかもしれません。
1階の音を伝わりにくくするには、吹き抜けに面した2階のホールに内窓やパネルを付ける方法があります。透明で縁が細い窓を選べば、吹き抜けの広がりをあまり損なわずに音を軽減できるでしょう。
また手軽に音の対策をするなら、同じく2階ホールにロールスクリーンを付ける方法もあります。内窓ほどの効果はありませんが、必要に応じて開け閉めできるので吹き抜けの見た目を損なわずに済みます。
3-2. 臭いがあがる
リビングとキッチンがつながっていると、料理の臭いが吹き抜けを通って2階にあがってくることがあります。この臭いを和らげるには、2階のホールに窓や換気扇を付ける方法があります。臭いを逃がす場所を作り、2階にこもるのを防ぐのです。
またキッチンに、IHやコンロと連動して動く換気扇を付けるのもおすすめです。料理を始めたときにすぐに排気を始めて、吹き抜けに臭いが広がることを減らします。
3-3. 2階のスペースが狭くなる
吹き抜けを作ると2階のスペースを使ってしまい、部屋などに使える部分が少なくなります。もし希望の間取りが2階にできないときは、寝室やウォークインクローゼットなど2階の部屋を1階に配置することを検討してみましょう。老後を考えるとむしろその方が、快適に過ごせる家になるかもしれません。
ただし敷地の広さによっては、1階に多くの部屋を作れないことも考えられます。そうしたときは2階の部屋と吹き抜けのどちらを優先すべきか、家族でしっかりと話し合うようにしましょう。
3-4. カーテンがないとまぶしい
吹き抜けに窓があると、日差しをかなりまぶしく感じることがあります。そのため吹き抜けに付ける窓には、できる限りロールスクリーンやブラインドなどを付けましょう。1階から紐の操作や電動で開け閉めできるため、まぶしい時にだけ閉めれば吹き抜けの開放感を損ないません。
また1階の天井の高さで、天幕のように付けて開け閉めできるカーテンもあります。これならまぶしさを防ぐだけでなく、冷暖房の効率アップにもつながります。
4. おしゃれな吹き抜け照明の実例
照明の位置や形、照らし方などで、吹き抜をさらにおしゃれにすることができます。ご紹介する例を参考に照明もしっかりプランニングし、よりスタイリッシュな吹き抜けリビングを実現しましょう。
4-1. 照明を分散し全体を明るくした吹き抜け
奥の壁面や張り出し天井に照明を付け、空間全体を明るくした照明プランです。小さめの照明器具を分散させることで、照明の存在感を減らしつつ明るいリビングにしています。照明をあまり目立たせたくないと考えている方に、おすすめの付け方です。
4-2. ダウンライトと建築化照明の吹き抜け
2階のホールを囲うように取り付けたダウンライトと、右の壁沿いにある建築化照明が吹き抜け全体を照らしています。建築化照明は壁や天井の凹みに照明器具を隠し、建物と一体感のある光を作り出します。光がグラデーションで壁伝いに広がり、優しく広い範囲を明るくします。
4-3. 吹き抜けに反射して照らす照明
天井から吊るされたペンダント照明の光が、壁と天井に反射し優しい光でリビングを照らしています。ペンダント照明は、位置が低く少しまぶしく感じることがあります。しかしこの例のように光の反射を使えば、まぶしさの少ない小さめの照明でも部屋を明るくできます。
5. 吹き抜け設備のメンテナンス
吹き抜けに付ける設備は、高い位置になるため掃除などのメンテナンスがしにくくなります。設備ごとにどんな対策を取れば良いかあらかじめ知っておくと、住んでから慌てずに済みます。
5-1. シーリングファン
天井に付けるシーリングファンの掃除をしやすくするなら、天井から電動で1階まで下ろせる昇降式がおすすめです。ワイヤーで吊った状態で目の前まで下りてくるので、かんたんに掃除ができます。また万一故障したときも、修理で高所作業費などがかかることも防げます。
5-2. 照明器具
吹き抜けの照明器具の掃除をしやすくするなら、吹き抜けの天井ではなく側壁の中間の高さに付けましょう。その程度の高さなら、安全に十分配慮をすればお客さまでも掃除ができます。
もし吹き抜けの天井に照明を付けるなら、天井に埋め込むダウンライトなら掃除をあまりせずに済みます。また今の照明器具はLED照明が主流で、10年程度は電球交換の心配がありません。ただし修理や本体交換のときは、高所作業費が別にかかる可能性があります。
5-3. 窓
吹き抜けの窓を掃除する時は、長い柄の付いたガラスワイパーを使いましょう。ただしこびりついた汚れは取りにくく、さらに想像以上に腕の力を使います。できれば高い場所の窓も掃除できる清掃業者に頼んだ方が、しっかりきれいになります。
あるいは透明のガラスではなく、曇りガラスを選んで汚れを目立ちにくくする方法もあります。ただし吹き抜けの開放感は減ってしまうため、慎重に判断するようにしましょう。
5-4. 梁
吹き抜けによく見られる梁の上も、掃除がしにくい場所です。しかし1階の天井高にある梁なら、長い柄のお掃除モップできれいにできます。窓と違い落としにくい汚れが付くことはあまりないため、お客さま自身でも掃除は十分に可能です。
6. 吹き抜け+リビング階段の実例
吹き抜けによく見られるリビング階段も、吹き抜けとの組み合わせをしっかり考えてデザインすると、リビングをよりスタイリッシュにしてくれます。リビング階段にはたくさんのデザインや素材があるため、できるだけ多くの例を見るようにすると自分の好みに合うものが見つけやすくなるでしょう。
6-1. 木の温かみがあるリビング階段
木の素材を多用した温かみのあるリビング階段です。フローリングやテレビボード、左奥に見えるキッチンなど、幅広く色味を合わせ全体の統一感を作っています。明るく優しい雰囲気のリビングにしたい方に、おすすめのデザインプランです。
6-2. ダイナミックな曲線のリビング階段
ダイナミックな曲線が印象的なリビング階段です。デザイン性の強い階段を選ぶと吹き抜けを狭く感じてしまうことがありますが、この例では色に白を選ぶことで開放感を損なわないようにしています。また2階ホールのデザインも統一されている点に注目です。
6-3. モダンさを増すスチール階段
スチールのフレームを使ったリビング階段が、吹き抜けリビングをモダンなテイストにしています。また踏み板に木製の板を使うことで、冷たい雰囲気になりすぎないように配慮。木のぬくもりとモダンなデザインを両立したいという方におすすめのプランです。
7. 風水から見たリビングの吹き抜け
古い風水の考えでは、吹き抜けは家の中の「穴」になり好ましくないとされてきました。しかし今は多くの方が吹き抜けリビングで快適に暮らしている現実もあり、「光がたくさん入る」「リビングの居心地が良く家族の絆が深まる」など、風水の視点でも幸運の間取りとする考え方が広まっています。
8. まとめ
吹き抜けは部屋を明るく開放的にし、リビングに作れば毎日を快適に過ごせるようになります。ただし、よりおしゃれな吹き抜けリビングにするには、ご紹介した事例をデザインしたようなセンスあふれる建築家と、相談しながら作るのがおすすめです。また経験豊富な建築家なら、吹き抜けの寒さ対策や将来のメンテナンスについても適切なアドバイスをしてくれるはずです。
当サービス「titel(タイテル)」では、スタイリッシュな吹き抜けリビングを設計できる建築家を無料でご紹介 することが可能です。よりおしゃれで将来も快適な吹き抜けリビングを作るなら、ぜひ一度一級建築士の資格をもつタイテル建築アドバイザーにご相談ください。