注文住宅の見積もりの正しい見方や注意点とは?あなたの家のシミュレーションも交えて解説
【2021年の平均データあり】
この記事のポイント
- 見積もりには、設計を依頼する前のタイミングに見る概算見積もりと、詳しい図面が完成した後の本見積もりがある。
- 見積書に書かれる費用は、主に 本体工事費・附帯工事費・諸経費・別途費用がある。
- いくつかの工務店から相見積もりをとりたかったり、プロに中身をチェックしてもらいたかったりする場合は家づくりの専門家や建築家に相談してみるのがおすすめ。
- 注文住宅の費用のシミュレーションは、面積 坪単価 の掛け算を建物と土地それぞれで考えてみるとざっくり費用感がわかる。
- 2021 年の平均坪単価は、建物が約 90 万円、土地が約 60 万円だった(首都圏の土地付き注文住宅)
注文住宅を建てるときは、工事に入る前に、ハウスメーカーや工務店などの施工業者から見積もりを取ることになります。しかし、見積書には建築業界ならではの難しい言葉が使われていたり、会社によってフォーマットが異なったりするため、
「見積書に書かれていることがよく分からない」
「どのように比較検討すれば良いのか知りたい」
という声をよく耳にします。
ここでは見積書に書かれているそれぞれの項目について、どんな内容が含まれているのか?ということをご説明しつつ、見積もりをチェックするときの注意点についても解説します。大切なお金のことで後悔しないために、前もってしっかりと知ったうえで家づくりをするようにしましょう。
1. 「概算見積もり」と「本見積もり」の違い
まず、注文住宅の見積もりには「概算見積もり」と「本見積もり」の2種類があります。
1-1. 概算見積もり
「概算見積もり」とは、だいたいの建物の広さや形が決まった段階で計算されるおおよその費用の見積もりのことで、設計を依頼する前のタイミング(初期提案のときなど)で伝えられることが多いです。
あくまで概算の費用なので設計の内容によって変わりますが、だいたいの費用感をつかんだり、予算の設定をしたりするための見積もりになります。
1-2. 本見積もり
次に「本見積もり」とは、実際の工事にいくらかかるのかを算出した詳しい費用の見積もりのことです。実施設計が終わり、詳しい設計内容まで固まったタイミングで本見積もりを取ることができます。本見積もりを受けとったあと、設計していたことを最後に調整し、金額が確定してから工事請負契約を結びます。
ここで言う調整とは、例えば工務店から受けとった本見積もりが予想よりも高かったときに、「床の素材にこだわりすぎていたから、もう少し安い床材に変えよう」「キッチンは欲張ってしまっていたかもしれないから、少しグレードを落とそう」などといった調整をすることができます。この調整によって、あなたの予算に合わせた家づくりができるようになります。
一般的な流れはこのようになっていますが、細かくはハウスメーカー・工務店・建築家(設計事務所)それぞれで進め方が異なります。違いについては、 概算見積もり依頼から工事請負契約までの基本的な流れ で説明します。
2. 見積書に書かれるそれぞれの項目と概要
2-1. 本体工事費(建築工事費)
本体工事費とは、建物の構造から外装・内装までをつくる費用のことです。つまり建物という「箱」をつくる工事になります。
本体工事費に含まれる項目はとても多く、このような内容にわけられます。
※ 施工業者により項目は異なります |
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概算見積もりの段階では「本体工事費:〇〇円(〇〇円/坪として)」というようにざっくりとした坪単価で算出されることもありますが、本見積もりになると上の項目ごとに細かい内訳が出てくるのが一般的です。
2-2. 附帯工事費
建物に必要な設備や、建物の外につくるものをまとめて「附帯工事」と呼びます。
附帯工事として扱われやすいものとしては、以下のものが挙げられます。
- 地盤改良(地盤調査の結果、必要な場合にのみ行う)
- 解体工事費(既存建物がある場合)
- 外構工事(駐車場やフェンス、庭、植栽など)
- 屋外給排水工事(住居の排水を公共の排水につなぐ工事)
- 床暖房工事
- 薪ストーブや暖炉
- 太陽光発電
- スマートホーム設備
- セキュリティ工事
- 宅配ボックス
現地で調査をしなければコストがわからないものであったり、建て主の希望によって大きく左右されたりするものが、附帯工事として含まれるケースが多いです。そのため概算見積もりでは「別途」と書かれていたり、ざっくりとした費用感の提示となっていることもあります。
最初に見積もりをもらうときに「別途」と書かれているものがあったら、そのコストがざっくりいくらくらいになるのかしっかり確認するようにしましょう。「別途の中身を確認しないで進めてしまったら、最終的に思っていたよりもすごく高くなってしまった」という後悔の声を聞くことも少なくありません。
「別途」と書かれるものについては、 2-4. 別途工事費 にもまとめています。
2-3. 諸経費
一般的な見積もりでは、見積書の最後に「諸経費」という項目があります。諸経費とは、施工会社に対して支払われる経費分の費用のことです。交通費、人件費、ガソリン代、保険料、書類作成費などの必要経費と会社の利益が含まれます。地鎮祭や上棟式の費用などが含まれていることもあります。
金額は工事費全体の10%程度であることが多いですが、きちんと施工管理を行う上では欠かせない費用になるので、諸経費が安い方が良いというわけでは必ずしもありません。
2-4. 別途工事
「別途工事」は、見積もりには含まない・その時点ではわからない工事の費用のことです。見積もりのタイミングではまだその工事をするかどうかが不明なとき、その施工業者では請け負うことができない工事であるとき、または建て主が自分で手配するときなどに、「別途工事」という言葉がつかわれます。
別途工事としてよくあるものとしては、
- エアコン本体+取付工事(建て主手配、家電量販店による工事)
- カーテン、照明器具(建て主手配)
- インターネット・光回線開通工事(建て主手配、専門業者による工事)
などが挙げられます。
エアコンやカーテン、照明器具については、場合によってはまとめて工事に含んだほうがメリットが大きい場合もあります。設計段階で一度相談してみると良いでしょう。
別途工事にかかる費用はついつい忘れがちですが、想定外の出費を作らないためにはその分の費用もきちんと見込んで資金計画を立てることが大切です。
2-5. (見積書外)諸費用
また家づくりにおいては「諸費用」もかかってきます。先ほどの 2-3. 諸経費 は主に工務店が作業をするための諸経費ですが、この「諸費用」は工事の費用とは別で、家づくり全体であなた自身にかかってくるその他の費用をさします。
諸費用とはどのようなものなのか、いくらぐらい必要なのかというのはこちらの記事を参考にしてください。
3. 後悔しないために最低限押さえておきたい「見積書のチェックポイント」
見積書の中には、材料の数や単価、施工費などが一つずつ細かく書かれているので、一般の人がぱっと見ただけで内容を理解するのはとても難しいです。
ここからは、見積もりをもらったときに最低限押さえておきたいポイントをご紹介します。
なにが見積もりに含まれているか、どこからがオプションかを確認する
「坪単価」に含まれているものを確認し、比較する場合は条件を揃える
決められた選択肢の中から選ばなければいけない「標準仕様」があるか、制限がなく自由に選べるかを確認する
自分たちの希望が、「標準仕様」の選択肢のなかで実現できるかを確認する
オプションにないものや、見積書に「別途」と書かれているものは、おおよそいくらくらいの費用になるのかを聞く
まずは概算見積もりをもらった段階で「なにが見積もりに含まれているのか」「どこからがオプションになるのか」をきちんと明らかにしておくことが大切です。例えばハウスメーカーでは、
- 選べる壁紙の種類は〇個、それ以外から選ぶとオプションとして追加料金
- コンセントは〇箇所まで、増やす場合はオプションとして追加料金
- 照明器具はオプション
など、選べる種類が限られる「標準仕様」がはっきりと決められているケースが多いです。決められた種類の中から選べば自分の希望を叶えられそうなのか、オプションをどれぐらい増やすことになりそうか・それがどのくらいの追加料金になるのか、設計が始まる前の段階でざっくりと把握しておきましょう。
工務店や設計事務所に依頼している場合も、「この概算見積もりではどのようなグレード・品質の素材や設備を想定しているか」「見積もりに含まれていないものがあるか」というのは確認しておくと良いでしょう。グレード感は、過去の事例を見せてもらうとよりイメージがつきやすいかもしれません。
《 「坪単価」の定義を揃える 》
各社が言う「坪単価」の定義は違うことが多いため、どの費用が含まれているかを確認し、総額でいくらになるのか、同じ条件で比較できているかをチェックすることがとても重要です。
一般的なメーカーの坪単価には「外構費用」や「空調・照明」など必要な費用が含まれていないために安く見えたり、逆に工務店や設計事務所の見積もりには同じものが含まれているため割高に見えたりすることがあります。
大切なのは、あなたが必要なものを建てるための総額にいくらかかるかということです。坪単価の内容をチェックして条件を揃えて比較するのに加えて、それ以外も含めた全体のコストをしっかりと把握することが大切です。
《 先のことを考えてチェックする 》
概算見積もりに含まれているものを理解していれば、本見積もりをもらったときに「どの項目がなぜ増えているのか」という視点で比較することができます。チェックするポイントが明らかになり、「予算内に収めるにはこれを削ろう」という検討もしやすくなります。
また、附帯工事が本体工事費に含まれていたり、別途工事として扱われていたりするなど、依頼する会社によって書かれ方が違うことが多いです。
概算見積もりの段階でそれぞれの費用の内訳を把握しておくことで、例えば本見積もりをもらった時に「実は概算では、外構工事は見込んでいなかった」というように想定外の費用を後出しで請求されるのを防ぐことができます。
《 自分でチェックしきれないときは? 》
「本当にこの価格が適正なのか」ということを判断するには、建築の知識をもった第三者から客観的な意見をもらうことをおすすめします。
いくつかの会社に見積もりを頼んでいる場合は、それぞれの会社ごとに見積書のフォーマットや含まれる内容・金額が変わるので、比較検討がしづらいということもあります。提案の内容や条件が違うなかで、概算見積もりの金額だけを見て、どの会社にするのかを決めるのはとても危険です。
タイテルでは、あなたにぴったりの家づくりのパートナーを選ぶために、建築・不動産の知識を持った一級建築士が無料でアドバイスしています。お悩みや不安がある方は、気軽にご相談ください。
4. 概算見積もりから工事請負契約までの流れ
ハウスメーカー・工務店・建築家(設計事務所)など、どこに依頼するかによって見積もりから工事請負契約までの流れが少し違います。ここではそれぞれのケースごとに一般的な流れをご紹介します。(業者によって異なる場合もあります。)
4-1. ハウスメーカーの流れ
ハウスメーカーの流れの特徴は、施工者(工務店)が決まっているため相見積もりのステップがなく早く進むこと、その代わり建て主が自分自身で見積もりを注意深くチェックしなければいけないことがあげられます。
プラン・概算見積もりをもらう
ハウスメーカーを決める(仮契約)
設計打ち合わせ
本見積もりをもらう・金額を調整する
工事請負契約(本契約)
《 プラン・概算見積もり 》
まずはじめに、条件や要望をハウスメーカに伝え、簡単なプラン(建物の形や間取り)と概算見積もりをもらいます。この段階ではいくつかのハウスメーカーに話を聞きにいき、それぞれでプランと見積もりを依頼する人が多くいます。
基本的にはプランにあるものは概算見積もりに含まれていることが多いですが、プランと見積もりの内容や整合性が取れているか、抜け漏れがないかをきちんと確認しておくことが大切です。
《 ハウスメーカーを決める 》
各社の概算見積もりをもらい、それぞれの会社の特性がわかった段階で、どのハウスメーカーに依頼するかを決めます。ハウスメーカーによっては、仮契約という形で申込金が発生することもあります。
《 本見積もりをもらう・金額を調整する 》
その後、設計打ち合わせが始まり、設計内容が固まったあとに本見積もりを取ります。本見積もりにかかる期間は1週間ほどです。本見積もりをもとに、金額と設計内容を調整し、内容が固まってから工事請負契約を結ぶという流れになります。
本見積もりを受け取ったら、設計内容がきちんと反映されているか、わからないところがないかなどをチェックしましょう。設計・監理をする人と工事をする人が同じになるため、建て主が自分の責任でチェックしなければならないので大変なところもありますが、後々のトラブルを避けるためにも大切なステップです。わからないところは担当者に確認しながら、納得した上で本契約を結びましょう。
4-2. 工務店の場合
工務店の流れは、ハウスメーカーの場合とほとんど変わりません。設計を依頼する段階でハウスメーカーのように仮契約を結ぶケースや、本契約前に依頼をキャンセルしたときには設計料が発生するケースもあります。
本見積もりにかかる期間は、2~3週間ほどであることが多いです。ある程度規格化されたハウスメーカーの商品とは異なり、材料を一から数えて積算するため、ハウスメーカーよりも少し時間がかかります。
4-3. 建築家(設計事務所)の場合
設計事務所の流れは、より細かく内容をチェックするため見積もりのステップが多くなる特徴がありますが、建築家という家づくりのプロがあなたの立場になって価格やプロセスをチェックしてくれるメリットがあります。
プラン・概算見積もりをもらう
設計監理契約(設計事務所との契約)
基本設計(プラン確定)
(この段階で概算見積もりをとるケースもあり)
実施設計(詳細・素材確定)
本見積もりを依頼する施工業者を選ぶ(相見積もりも可能)
本見積もりを精査する・金額を調整する
施工業者を決める
工事請負契約(施工業者との契約)
建築家(設計事務所)に依頼する場合の大きな違いは、「建築家が第三者となって見積もりを精査してくれる」という点です。
施工業者から本見積もりをもらうと、建築家はまず
- 単価が適正かどうか
- 数量は合っているか
- 見積もり漏れはないか
- 過剰に入っているものはないか
などのチェックをしてくれます。その上で、
- 作り方を工夫することでコストを落とせるか
- 工程を調整することで職人さんの動きに無駄を減らせるか
- 材料を変えるとどのようなコストメリットやデメリットがあるか
ということを施工業者と話し合いながら、設計の内容をなるべく変えないままコストダウンする方法を考えてくれます。また、建て主の希望と予算とのバランスを考えた減額案を提案してくれることもあります。
施工業者は、相見積もりをとってから決定することもできます。「この業者にお願いしたい」という建て主の強い希望がなければ、建築家が施工業者を紹介してくれるケースが一般的です。それぞれの施工業者の見積書を、一覧で比較しやすいよう表でまとめてくれるので、見積書を読み込む手間をはぶくことができます。
規模にもよりますが、本見積もりには2~4週間ほどかかるケースが多いです。施工業者が決まり、最終金額と工事の内容が確定した段階で、施工業者と工事の契約を結びます。
建築家は「監理者」という立場で関わり、あなたの代わりにすべてのプロセスを細かくチェックしてくれます。
5. 施工業者の選び方のポイント
どの施工業者を選ぶかは、まずは建築家や専門家の意見を聞いてみることをおすすめします。建築家によっては「一定のクオリティーを保つために、決まった業者さんにお願いすることが多い」というこだわりを持っている人もいれば、「この案件は左官工事がポイントになるから、良い左官屋さんを抱えている工務店にお願いするのが良い」というようなポイントで施工業者を紹介してくれる人もいます。金額だけでなく、エリアや得意分野などを総合的に見て判断するのがベストかと思います。
もちろん、相見積もりをとって金額を比較するというのも一つの方法です。その場合は事前に建築家に相談しておきましょう。相見積もりをとる場合は、2~3社で比較するケースが多いです。あまりに数を増やしてしまうと施工業者の負担も大きく、建築家が見積もりを精査するときにも、手間がかかる分時間がかかってしまったり精度が落ちてしまったりする可能性があります。
はじめから一つの施工業者に絞って、設計段階から密なコミュニケーションを取りながら金額交渉をするケースと、複数の施工業者で比較検討をするケースでは、それぞれにメリット・デメリットがあります。建築家と相談して進めつつ、客観的な意見を聞きたい場合は タイテルの一級建築士に相談 してみてください。
なお、ハウスメーカーに頼む場合は、自社の工務店があることがほとんどであるため、建て主が施工業者を選んだり精査できたりすることはないことが多いです。
6. 【2021 年データ】平均費用・坪単価の実例
それでは、注文住宅にかかる費用の実例を見ていきましょう。
土地を買うところから注文住宅で家を建てている人は、全国平均で4,397 万円の費用がかかっていることがわかります。
2021 年 実例データ | 全国 | 首都圏 | 近畿圏 | 東海圏 | その他 |
---|---|---|---|---|---|
土地取得費 | 1,436.1 万円 | 2,310.2 万円 | 1,655.3 万円 | 1,300.0 万円 | 932.9 万円 |
建設費 | 2,961.2 万円 | 2,851.8 万円 | 2,888.4 万円 | 3,112.2 万円 | 3,016.3 万円 |
費用合計 | 4,397.3 万円 | 5,162.0 万円 | 4,543.7 万円 | 4,412.2 万円 | 3,949.2 万円 |
敷地面積 | 195.2 m2 | 135.1 m2 | 150.7 m2 | 200.7 m2 | 231.4 m2 |
住宅面積 | 111.1 m2 | 105.8 m2 | 111.2 m2 | 114.8 m2 | 113.1 m2 |
出所:2020 年度 フラット 35 土地付き注文住宅融資利用者の主要指標
首都圏では地価や人件費が高いため、土地も住宅も面積が小さい割に、費用はもっとも高いことが見てとれます。
逆に土地が安い東海圏などでは、土地の代金が抑えられるため、より広い住宅を建てることに予算を使えている傾向も見られます。
《 坪単価にするとどう見える? 》
このデータを坪単価に換算すると、建設費の坪単価はどの地域でも 80 ~ 90 万円ほどで変わらない一方、都市部の土地の坪単価は他の地域の 2~3 倍高いことが見てとれます。
首都圏で土地を買って家づくりをしたいと考えている方は、土地にかかるお金もしっかりと考えて資金プランニングをすることが大切です。
家づくりを考え始めると、「坪単価」という言葉をよく耳にすると思います。坪単価とは、1 坪(約 3.3 平方メートル)の床面積に対して、どれくらいの建物費用がかかるのかを示す単位です。「坪単価 100 万円」の場合は、「延床面積 3.3 平方メートルごとに 100 万円の建物費用がかかる」ということになります。
ここで知っておくべきことは、ハウスメーカー・工務店・設計事務所でそれぞれ坪単価の定義が違うということです。
《 ハウスメーカーの坪単価 》
ハウスメーカーの坪単価には多くの付帯工事が含まれていないことが多く、空調・照明・外構・カーテンなど必要な工事が含まれていないことがあるため、「坪単価 ●● 万円」とは別にお金を払う必要があることがあります。そのため、ハウスメーカーの坪単価は低く見える(=安く建てられるように見える)ことが多く、正しく判断するにはすべての費用をしっかりと認識することが大切です。付帯工事を入れてもハウスメーカーが安くなることもあれば、全部入れたら工務店や建築家の方が安かったということもあります。
《 設計事務所の坪単価 》
設計事務所の坪単価には、これらの付帯工事がすべて含まれていることが多いため、一見すると坪単価が高いように見えます。大切なことは、ハウスメーカーと建築家の坪単価は別物であるということを知っておき、トータルでいくらの費用がかかるのかをしっかりと認識できるようにすることです。特に、見積もりに「別途」と書かれていることがあったら、その費用は具体的にいくらくらいかかりそうなのか、契約をする前にしっかりと把握しておくようにしましょう。
坪単価や建物費用のことを詳しく知りたい・自分たちの場合はどれがいいのか知りたいと言う方は、一級建築士への無料相談 も活用してみてください。たくさんの家づくりに関わってきた専門家が、あなたに合った選択肢を客観的にアドバイスしてくれます。
7. 費用のシミュレーション
かんたんな費用シミュレーションをするには、土地と住宅(延床面積)の広さと面積から考えるのがまずは目安となります。具体的には、このような計算でまずは考えてみましょう:
注文住宅の費用 =
( 土地の面積 x 土地の坪単価) ( 住宅の延床面積 x 住宅の坪単価)
先ほどの全国データをもとに、このような坪単価の前提で計算してみるとします:
- 建設費の坪単価:90 万円
- 土地の坪単価:
- 首都圏:60 万円
- 近畿圏:40 万円
- 東海圏:20 万円
- その他:15 万円
《 シミュレーション 1 》
- 首都圏で家を建てたい
- 敷地面積 40 坪(132 m2)の土地がほしい
- 家の延床面積は 30 坪(約 100 m2)ほしい
...費用のシミュレーション =
土地の面積 40 坪
土地の坪単価 60 万円
住宅の延床面積 30 坪
住宅の坪単価 90 万円
2,400 万円 2,700 万円
合計 5,100 万円
(坪単価はあくまでシミュレーション用の目安です。家づくりの費用にはこのほかにも設計料や諸費用などがかかります)
《 シミュレーション 2 》
- 名古屋(東海圏)で家を建てたい
- 敷地面積 60 坪(約 200 m2)の土地がほしい
- 家の延床面積は 45 坪(約 150 m2)ほしい
...費用のシミュレーション =
土地の面積 60 坪
土地の坪単価 20 万円
住宅の延床面積 45 坪
住宅の坪単価 90 万円
1,200 万円 4,050 万円
合計 5,250 万円
(坪単価はあくまでシミュレーション用の目安です。家づくりの費用にはこのほかにも設計料や諸費用などがかかります)
そのほか、建物の坪単価はどの構造を選ぶかによっても変わります。鉄骨造や RC 造(鉄筋コンクリート)の構造を選ぶと、木造よりも高くなる傾向にあります。
また、最近では世界的なウッド・ショックにより木材の価格が上がっているため、過去の値段よりも少し余裕をもった予算組みをしておくこともおすすめしています。
このシミュレーションはあくまでシンプルな費用感を知るための計算ですが、注文住宅の費用についてより詳しく知りたい方はこちらの関連記事もぜひご覧になってください:
8. まとめ
ここまで一般的な見積もりのチェックポイントを説明しましたが、条件がちがう見積もりを比較検討するのは、なかなか大変な作業です。後悔のない家づくりにできるよう、不安になる前にぜひ第三者の意見を取り入れてみてください。
また、ハウスメーカーや工務店に依頼するか、建築家に依頼するどうかで悩んでいるという人も タイテルの一級建築士までご相談 ください。客観的な視点でのアドバイスや、金額面での相談も承ります。
専門家に相談してみよう
「私がもらった見積書は、妥当なの?」「家の予算はどうやって考えたらいいの?」と思っているあなた、ぜひタイテルの建築アドバイザーにご相談ください。
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後悔しない家づくりをするためには、プロの意見を一度は聞いてみることがオススメです。