羽目板とは?読み方や外壁・内壁の写真付き実例を紹介
ナチュラルな雰囲気が魅力の「羽目板」は、壁や天井に板を貼り付けて自然の温かみを堪能できる壁材です。部分的に取り入れたり住宅全体にあしらったりすることで、雰囲気を大きく左右します。
しかし羽目板の特徴や機能性がわからない人や、おしゃれに取り入れるのは難しいと思う人も多いのでしょう。
そこでこの記事では、羽目板のメリット・デメリットを解説するとともに、 9 つの実例で羽目板のおしゃれな取り入れ方をご紹介します。この記事を読み終える頃には、羽目板の特徴を深く理解し、おしゃれな住宅作りのアイデアが見つかるでしょう。
1. 木の温もりを味わえる「羽目板」とは?
まずは「羽目板」について詳しく解説します。
1-1. 読み方は「はめいた」
羽目板の読み方は「はめいた」で、壁や天井に板を連続して張る手法のこと、または張る板そのものを指します。
日本特有の気候に適した調湿性・保温性に長けた羽目板は、昔から日本の住宅に多く取り入れられてきました。さらに天然素材でできているため、近年問題にあがる「シックハウス症候群」の心配がない素材としても注目を集めています。
また機能性に優れているだけではありません。木の温もりを存分に味わえるため、ナチュラルな雰囲気を取り入れられます。壁の一部を羽目板にするだけでも手軽におしゃれな住宅を作れるでしょう。
羽目板は床ではなく、おもに「壁」や「天井」に使われます。外壁や内壁のアクセントに羽目板を取り入れたり、天井に使用して落ち着いた印象を演出したりと、アイデア次第でさまざまな活用ができるでしょう。
1-2. フローリングとの違い
フローリングと羽目板は目的が異なるため、使用される木材の強度が大きく異なります。
フローリングは人が歩いたり重い家具を置いたりしてもヒビ割れや反りが発生しないよう、頑丈な木材を選ばなければなりません。そのためフローリングに使われる木材は厚くカットされ、傷や汚れ防止の加工が施されています。
一方で羽目板は、壁や天井をおしゃれに装飾するために使用されるケースがほとんどです。加工がしやすいように柔らかく軽い素材を選び、フローリングよりも薄くカットされた木材を使用しています。
フローリングと羽目板はそれぞれ目的が違うため、木材の選び方や加工方法が異なるのです。
2. 【写真付き】プロが施工した羽目板の実例集 9 選
続いては、建築のプロが施工した羽目板の実例集をご紹介します。厳選した写真と一緒にご説明しますので、羽目板を使った住宅づくりをご検討中の場合には要チェックです。
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2-1. 落ち着きのある色味が魅力の羽目板を使った外壁
こちらは大きさの異なる 5 つの木箱をつなげて設計された住宅です。外壁には、シックで落ち着きのある色味をした羽目板をふんだんに採用。どの角度から見ても自然さを感じられるおしゃれな住宅となりました。
内装にも多くの木材を取り入れて、外も中も癒やされるマイホームに仕上げています。
2-2. 森に溶け込むレストラン
こちらは外壁全体に、木目がハッキリと美しく映し出される羽目板を採用した小さなレストランです。長野県に建てられたこのお店は、若い夫婦が営んでいます。
周囲は森。その環境に当然かのように馴染む佇まいは、まさに別荘にいるかのよう。外壁の羽目板から感じられる癒しは、お客さまをより満足へと導いてくれるでしょう。
2-3. 木の温かみを感じるオフィスビル
建物から大きく突き出した庇に、深みのあるブラウンが目を引く羽目板を使うことで、建物全体に温かみをプラスしています。
こちらは建設業組合のオフィスビルですが、庇下の木板貼りやホワイトの塗り壁を組み合わせたり、 2 階にバルコニーを設けて人を招き入れている様子を見せたりと、冷たい印象に偏らないようにどこかホッとする雰囲気を演出しています。
2-4. 美容室と住宅を兼ねた木箱の建物
こちらの建物は、 1 階が美容室で、 2 階が仕事場兼住宅となっています。外壁にはふんだんに木材を使用して、来店するお客さまを温かな気持ちでお迎えしています。
また経年変化を存分に楽しめる外壁は、長い年月とともに味を出していき、自分にとってもお客さまにとっても思い入れ深い場所にしてくれるでしょう。
2-5. 深みのあるブラウンで大人な雰囲気を作る羽目板
こちらの住宅では、深みのあるブラウンが魅力の羽目板を壁一面に使っています。グレーの床や天井とよく馴染み、大人っぽい雰囲気を楽しめる内装となりました。
海を一望できる大きな窓はリラックスした空間にピッタリ。スッキリとまとめるために、照明はあえてダウンライトを採用しています。
2-6. スタイリッシュな空間をナチュラルな天井で引き締める
床にはタイル、壁は塗り壁、キッチンはステンレス素材を採用して全体的にスタイリッシュにまとめている住宅です。冷たい印象に偏りすぎないように、天井にはナチュラルな雰囲気を感じられる羽目板を施しています。
窓からは庭を眺められるダイニングキッチンは、家族団らんの時間を優雅に楽しめるでしょう。
2-7. 全体に無垢材をあしらった、癒しを叶えた住宅
天井や外壁には羽目板、床には木目が美しいフローリング材をあしらい、どこにいても自然を堪能できるデザインが施された住宅です。
床や天井にあわせて、ダイニングテーブルやチェアも美しい無垢材を使ったデザインに統一しています。
2-8. ライトな色味に統一された無垢材が美しい家
よりナチュラルな空間を目指して、白い壁に合うライトな色合いの無垢材をふんだんに使用したこちらの住宅。 2 階の廊下をあえて宙に浮いたようなデザインにして、木の存在感を楽しめるようになっています。
またキッチンにも同じ色味で統一した羽目板を使用して、家のどこにいても自然をダイレクトに感じられるようになっている点も魅力です。
2-9. 極上のリラックスタイムを毎日味わえるお風呂
パートナーの退職を機に郊外に引っ越してこられたご夫婦の家は、多くの人が訪れたくなるような開放的なデザインが施されています。
また優雅でゆったりとしたお風呂の時間を楽しめるように、天井には木目が美しい羽目板を使用。お湯に浸かって上を見上げたときにホッとリラックスできるようになっています。
3. 羽目板を外壁・内壁に使うメリット 4 つ
ここからは羽目板を外壁・内壁に使うメリットを 4 つご紹介します。羽目板の優れた機能性と雰囲気をあわせて解説しているため、おしゃれな住宅づくりの参考にしてみてください。
3-1. 耐久年数が長い
羽目板は耐久年数が長く、しっかりとメンテナンスをすれば「 100 年保てる」といわれています。ほかの外壁材は定期的にメンテナンスを施しても 40 年ほどしか保たないといわれているため、羽目板の優れた耐久性がうかがえます。
羽目板の耐久年数を長く保つためのメンテナンス頻度は「 3 ~ 5 年に一度」を目安としましょう。吸収性・吸水性に優れている羽目板は、水分を吸収したまま長期間放置してしまうと腐食してしまう可能性があるためです。
定期的なメンテナンスを欠かさず行えば、ほかの壁材より長い期間にわたり、木材の美しさを楽しめます。
3-2. 周囲とは一線を画すおしゃれな外観となる
羽目板は、周囲とは一線を画すおしゃれな外観を作りたい人にピッタリの壁材です。
歴史の長い羽目板を現代風に加工しておしゃれに取り入れる人も増えていますが、それでも外壁に羽目板を取り入れている人はまだまだ少ないのが現状です。現在外壁で最も多く使われているのは「サイディング(窯業・金属)」で、全体の約 8 割以上を占めています。
まだまだ導入例が少ないため、羽目板を上手に取り入れた住宅は思わず目を止めてしまう珍しさと風格を感じられるでしょう。周囲と差をつけたおしゃれな外壁にしたい人におすすめです。
3-3. 自然を感じるアクセントウォールになる
羽目板の良さは、なんといってもナチュラルな雰囲気を楽しめる、味わい深い佇まいでしょう。
壁全体に取り入れるのも素敵ですが、アクセントウォールとして室内外のポイントとしたい部分に羽目板を使うと、さりげないおしゃれさが目を引く住宅になります。
またサイディングなどの壁材と組み合わせても自然の雰囲気を楽しめます。とくに羽目板同様に自然素材を活用した「塗り壁」との相性は抜群です。より自然を近くに感じる空間を目指すなら、素材にこだわった壁材選びをしてみるのもいいでしょう。
3-4. リラックスした空間を演出できる
木材でできている羽目板は、人工的な壁材には作れないリラックスした空間を演出します。そして雰囲気を演出するだけではなく、本当にリラックス効果を体感できるのも魅力のひとつ。
森林浴をすると心が落ち着くなどといわれますが、その効果の秘密は木の香りに含まれる「フィトンチッド」と呼ばれる成分です。このフィトンチッドは血圧を下げたりストレスホルモンを減少させたりと、リラックス効果があるといわれています。
羽目板を壁や天井など内装に多く取り入れると、優しい木の香りが室内を包み込み、深くリラックスできる空間になるでしょう。
4. 羽目板を外壁・内壁に使うデメリット 3 つ
ナチュラルな雰囲気でおしゃれに仕上がる羽目板ですが、実はデメリットもあります。羽目板のデメリットを知っておき適切な対策を施すと、より素敵な住宅が完成するためぜひ参考にしてみてください。
4-1. 火災が発生した場合に燃えやすい
木材で作られている以上、火災に弱いのは避けられないデメリットといえるでしょう。
万が一の火災に備えて、燃えやすい羽目板には防炎・防火ができる塗装での対策が必須です。もちろん防炎・防火の効果を持続させるためにも、定期的なメンテナンスは欠かさず行うようにしましょう。
また羽目板を壁や天井の全面に取り入れるのではなく、アクセントウォールとして壁一面だけに留めたり、キッチンや火を使う場所に近いところには使わないようにしたりといった建築時の工夫も大切です。
4-2. メンテナンスの頻度が多い
羽目板はほかの壁材と比較するとメンテナンスの頻度が多く、時間とお金がかかる点もデメリットです。
先にもお伝えしたように、羽目板の適切なメンテナンス頻度は「 3 ~ 5 年に一度」が目安とされています。一方で現在日本で最も普及している外壁・窯業サイディングのメンテナンス頻度は「 7 ~ 10 年に一度」といわれているため、羽目板のメンテナンス頻度の多さが見て取れるでしょう。
面倒くさい気持ちが先に立ちメンテナンスを怠ったり、長期間メンテナンスを忘れてしまったりすると、羽目板のメリットである「 100 年保つ耐久性」も失われてしまいます。羽目板を美しく、機能性高く保つには定期的なメンテナンスが不可欠であることを認識しておきましょう。
4-3. 費用が高い
羽目板は費用が高い点もデメリットです。 1 平米あたり「約 8,000 ~ 15,000 円」が相場とされていますが、木材の質によってはさらに高額になる可能性もあります。加えて工事費用・メンテナンス費用もかかります。
一方で窯業系サイディングの場合は、 1 平米あたり「約 4,000 ~ 5,000 円」。工事費用やメンテナンス費用も、羽目板と比較すると安く済む傾向にあります。
ナチュラルでおしゃれな雰囲気を楽しめる羽目板ですが、建築費用にはゆとりをもって相談することが大切です。もしくは予算をあらかじめ決めておき、建築家と相談しながら予算内で羽目板を取り入れてもらいましょう。
5. 羽目板を使った DIY はできる?ホームセンターで売っている?
羽目板を DIY で取り付けることは可能ですが、満足のいく仕上がりにするにはプロに任せたほうが確実です。
羽目板そのものはホームセンターでも売られており、必要な材料を揃えれば DIY できます。しかし壁や天井は高さがあるため、慣れていない人が作業するのは難しく、多くの時間と労力がかかってしまうでしょう。
さらに羽目板を取り入れるなら防火・防炎効果のある塗装を施したほうが安心です。素人が塗装するとムラができたり十分な量を塗れていなかったりと、何かと不安になる点も多いでしょう。
せっかくの羽目板を使ったおしゃれな住宅を作るなら、見栄えも安全性もお墨付きの建築家に任せたほうが満足のいく仕上がりとなります。
6. まとめ
羽目板は、天井や壁に自然の温かみをプラスしたいときに活用する木材です。メンテナンスさえしっかりしておけば、耐久性にも優れているため外壁にも使用できます。
また雰囲気にメリハリをつけたいときには、アクセントウォールとして部分的に使用するのもおしゃれです。
もし羽目板を使った注文住宅をお考えの場合には、ぜひ一級建築士の資格をもつタイテル建築アドバイザーにご相談 ください。お客さまにピッタリの建築家や設計事務所をご紹介いたします。