東京 六本木ヒルズ森タワー3階の美術館・展望台チケット/インフォメーション(エントランスホール)と森美術館ショップ、および52階東京シティビューショップの設計を手掛けた。
美術館、展望台へのエントランスとなる、美術館・展望台チケット/インフォメーションは、曲線で構成された空間に自然光を取り込むことで、一体感のある明るい空間とした。ホール中央の、カラーチップを練り込んだ特注のテラゾータイルが、ウエルカムマットのように来館者を出迎える。
3階のミュージアムショップ「森美術館 ショップ」は、店内の意匠を共用通路まで引き伸ばすことで店舗空間を拡張させ、来館者の流れを引き込む。店内は、曲線が特徴的な高さの異なる什器を点在させ、スムーズに回遊できる動線計画とした。什器の土台と特注テラゾーの床材を同系色にして空間全体をツートーンにまとめ、ベース照明の照度を抑えながら、陳列エリアに光を集中させて商品を際立たせている。やわらかい色調のファニチャーリノリウムの色展開をカラースキームに用い、什器や壁に展開してアクセントとしながら商品の背景とした。隣接するギャラリーの白い展示壁面を売場まで延⾧することで、売場とギャラリーの行き来を促すシームレスな関係を築いた。
52階東京シティビュー内にある「東京シティビューショップ」は、展望回廊沿いという特殊な立地と開店時と閉店時の切り替えという条件を踏まえ、コンパクトでありながらより多くの商品を扱えるよう、キオスクにヒントを得て計画した。本のように開閉できるボックス型什器は、引き出すことのできる大小の展示台を内包し、フレキシブルなレイアウトと閉店後の容易な戸締りを可能にしている。ダークレッドのキーカラーと可動什器が空間に統一感を与え、通路を活用した売場を実現した。
来館者を迎え入れ、鑑賞後の動線上にある場として、現代アートへの期待と余韻を感じながらも、喧噪の中の落ち着きある空間を目指した。
主要用途: 物販店舗
施工: エントランスホール)大林組 /ショップ)乃村工藝社
クレジット: (エントランスホール) 実施設計:入江三宅設計事務所/設備設計:建築設備設計研究所/
サイン計画:GKグラフィックス/テラゾータイル:鳥居セメント工業
(ショップ) 照明計画:遠藤照明/テラゾータイル:鳥居セメント工業
所在・会場: 六本木ヒルズ 森タワー3F、52F 東京
延床面積: 870m2
設計期間: 2019.8-2021.4
施工期間: 2021.2-2021.4
写真: 楠瀬友将
ウェブサイト: https://www.mori.art.museum/jp/