明治38年に創業した福井の老舗、増永眼鏡のフラッグショップ「MASUNAGA1905」青山店の改装計画。キラー通り沿いに2002年に竣工した、美術家・サイトウマコト氏設計による既存建物の1、2階を店舗、3階をオフィスとして使う。建築との調和を図りながらも、店舗空間全体を一新させるデザインが求められた。
間口3m、奥行き12mの細長い形状の空間を活かし、壁一面を150枚の商品が並ぶディスプレイウォールとした。このウォールは、バーチ材の生地色からブランドカラーの濃紺まで、グラデーショナルな5色のパネルをレンガ状に並べ、1階はナチュラル色の多いカジュアルな雰囲気に、2階は青色を基調に落ち着いた雰囲気とした。商品を照らす照明の光は、棚板の間をすり抜け、壁面にグラフィカルなラインを描いている。木目の見えるパネルを背景に商品が1枚ずつ陳列され、丁寧なものづくりを貫く増永眼鏡の製品を、1点1点大切にみせることを心がけた。
また、限られた店内に広がりを与えるために、各所に効果的にミラーを配置し、新設の階段は、段板を二枚の薄い壁で受ける軽やかな構造としている。
間口の狭い建築の特性から、内装としてのディスプレイウォールが外装としても現れ、両者の間にあいまいな境界を生み出している。
主要用途: 物販店舗
施工: イシマル
クレジット: 照明計画/遠藤照明
所在・会場: 東京 青山
延床面積: 139.99㎡
規模: 地上3階
設計期間: 2017.03-2017.12
施工期間: 2017.09-2017.12
写真: 太田拓実