現代美術作家のやなぎみわ氏が脚本、演出、美術を手掛ける「やなぎみわ演劇プロジェクト」の新作公演、“ゼロ・アワー -東京ローズ最後のテープ-”の舞台装置を手掛けた。
日本軍が太平洋戦争中に連合国軍へ向けて行ったラジオ番組「ゼロ・アワー」。その番組に出演し「東京ローズ」と呼ばれた女性アナウンサーが主役となる舞台である。この劇中におけるアナウンサーのためのカウンターが求められた。
開演時に1つのリング状の形をしていたカウンターは5等分されており、ストーリーの展開と共に演者により移動され、個人デスクやラジオブース、法廷など様々なシーンを演出する。また各カウンターには椅子を納め、引き出して使用できるようにした。劇中で幕が下りない本作において、演者がアナウンサーの女性的な所作を保ちながらカウンターや椅子をストレスなく動かせるよう、取っ手などの詳細部分の検討を行った。
抽象的なオブジェとしても美しい形状を目指したカウンターは、レイアウトや照明、演技により、実際に目で見ている以上の様々な情景を観客に連想させるツールとなる。
主要用途: 舞台装置
クレジット: 作・演出・美術:やなぎみわ/音声デザイン:フォルマント兄弟/
キャスト:松角洋平,荒尾日南子,吉田圭佑,高橋紀恵(文学座),高橋牧,小田さやか,明季
所在・会場: 神奈川芸術劇場/愛知県芸術劇場
設計期間: 2013.04-06
施工期間: 2013.06-07
会期: 神奈川芸術劇場2013.07.12-15/愛知県芸術劇場2013.08..30-09.01
写真: 木村三晴