使用済みのトラックタープ(幌)、自転車のインナーチューブ、廃車のシートベルトを使った、色とりどりのメッセンジャーバッグやアクセサリーを展開するFREITAG(フライターグ)のアジア初のフラッグシップストアの内外装計画。本来の目的とは異なる役割や機能を与えて新しい価値を生む、フライターグの「リコンテクスチュアライズ」という精神に基づいて計画した。
銀座の角地に建つ、かつては老舗の靴屋だった築50年のビルの1、2階が売り場になる。ストリートが起源の ブランドの特性を踏まえて、街並みの延長にあるような存在感のストアを目指した。ファサードの大型ガラスパネルをスライドさせると、店内と街路との境界がないオープンな場所となり、イベント時には店内の活気が街に漏れ出す。また、折りたたみ式の小さなテーブル“ライド スルー・ウィンドウ”を介して、通りを行き交う人とのパーソナルなコミュニケーションを促す。店内では、フライターグのオリジナルの店舗専用のシェルフユニット「V30 FREITAG Skid」に収められた商品の箱が壁面を覆い、そのまま店内の印象を決定付けている。
フライターグの製品はすべて一点物で、大きな幌から切り出された部位がCIルールに準じてカットされて各製品の表情を決めていく。この即興とも偶然ともいえる性格を引き継いで、床壁面の補修は必要最低限な部分に限り、パッチワーク状に即興で仕上げていくことで、もともと建物が持っていた痕跡がストアの表情に生まれ変わる。同様に、もともとあった2F床面の穴にはマンホールのように蓋を用意し、上下階をつなぐ仕掛けとして残し、防犯用の既存窓格子は実用的な自転車留めともなるなど、ネガティブな要素を価値として読み替えるように操作を行った。
FREITAG Store Tokyoは、常に変化する街をありのまま受け入れる場となる。
主要用途: 物販店舗
施工: イシマル
クレジット: 照明計画協力:内藤電興
所在・会場: 東京 銀座
延床面積: 75.8m2
設計期間: 2011.5-10
施工期間: 2011.9-10
写真: 阿野太一/Sebastian Mayer/トラフ建築設計事務所
ウェブサイト: http://www.freitag.ch