日本科学未来館の新規常設展示のための空間構成。「空間情報科学」をテーマにした体験型の展示空間となっている。
同館では初の試みとなるストーリー性を持った展示で、ゲームクリエイターの飯田和敏氏が演出を手がけた。舞台は1000年後の未来、かつて博士たちが空間情報科学を研究していた場所「アナグラ」。博士たちが開発した5つの装置を、空間にログインすると現れる情報空間内の自分「ミー」と一緒に体験していく設定となっている。「アナグラ」の舞台を形として演出しながらも、床壁へプロジェクション投影された世界の背景としてシンプルな空間を目指した。
5つの装置の形態は、それぞれが扱う情報の特性と体験者のアクションに応じて導き出されている。いずれも博士達が開発中に使用していたデスクの端末とセットとなって、レーザーセンサーの動作環境を考慮しながら配置した。解説端末のデスクとしての記号性と床のタイルパターンが研究所としての「アナグラ」を象徴し、また金の鉱物的特性から1000年間劣化せず残っていたかのように装置のインターフェースとなる部分だけがゴールドに輝き、ともに舞台を演出している。映像が投影される壁面は、化粧リブボードによって凹凸のあるスクリーンとした。ひし形のリブは鉱物の結晶のようにこの空間の構成単位となっており、情報の構成単位「ビット」の集合体による映像に呼応する。
ゲームの世界に迷い込んだような体験を通じて、モニターの向こう側の情報空間と、実空間とが融合した不思議な感覚を与える
主要用途: 常設展示
施工: 高島屋スペースクリエイツ
クレジット: 企画・制作:日本科学未来館/総合監修:柴崎亮介(東京大学空間情報科学研究センター)/演出:飯田和敏(グラスホッパー・マニュファクチュア)/コンテンツディレクション:エウレ カコンピューター、デザインムジカアニメーション/グラフィック:納口絵事務所、ボストーク/サウンドシステム:ブレイ ンストーム/プログラミング:クアッ ドアロー/ゲーム調整:猿楽庁
所在・会場: 日本科学未来館 3階
延床面積: 261.5m2
設計期間: 2011.02-08
施工期間: 2011.02-08
写真: 阿野太一/ナカサア ンドパートナーズ
ウェブサイト: http://www.miraikan.jst.go.jp/sp/exhibition/anagura.html