
「既存建物の構造を生かした大空間と、周辺環境と室内外の新しい関係性を構築する」
徳島県阿南市にある道場併設住宅のリノベーション。施主の広々とした空間に住みたいという要望を叶えるため、既存建物の鉄骨造のスパンを活かし、間仕切り壁をすべて撤去することで、無柱の広々とした空間を実現した。
以前は外壁で閉ざされていた西側外壁を大きな開口部にし、建物裏手の山の緑を目一杯取り込むような計画とした。
キッチンからはダイニングとリビングの先に、裏山の緑が開口部を通して目に入って来る。2階の寝室のボリュームを浮かせるように配置することで、奥行方向と高さ方向に大きく広がりがあるLDKを実現しつつ、天井のある部分は親密な雰囲気を作り出している。ダイニングのイスは大きな縁台となっており、椅子としてだけでなく、子供たちが踊ったり寝転んだりできる、様々な使い方ができる場所として計画した。天井にはオリジナルデザインのライン照明を吊り下げ、照明器具を少なくすることですっきりとした印象となる。
主寝室の箱の中からは既存の三角屋根の開口部を通して、緑あふれる周辺の風景が見える。天井の高さをおさえることで落ち着く空間となり、隠れ家のような雰囲気を出した。大きな四角形の室内窓は手摺の下にガラスをはめることで落下防止しつつ、開放感を確保している。
ガラス戸で仕切られたひとつながりの白い空間とした浴室、脱衣室、洗濯室は窓の向こうには敷地に隣接した崖の緑のカーテンが広がる、風と光が通り抜ける、気持ちのいいバスルームである。
この建物はその場所にある素晴らしい周辺環境を再発見し、より豊かな暮らしができるように考えた。1つの空間の中に個室があり、領域が入れ子のようになるような場所で外部の風景とも緩やかにつながる関係性を目指した。


















所在地:徳島県阿南市
設計:futuretank architects/鴻野 吉宏
施工:青江建設
構造:鉄骨造
規模:地上3階建
改修部分延床面積:184.33㎡
設計期間:2019年5月~2020年6月
工事期間:2020年7月~2021年3月
竣工写真/ tsukao・中土居宏紀