昭和女子大学のキャンパス内に「昭和こども園」を計画しました。
クラスは、0歳児から5歳児まで12クラス、延べ223人の子供達のための施設です。
園庭を2階レベルに持ち上げ、建物全体を3階に抑えて明るい園庭を確保しました。50mにおよび道路と接する西側は、街にも開放的で圧迫感のない子供たちの賑わいが街を豊かにする建築を目指しました。
1階には、低学年クラスや事務スペース、運動場など、多くの諸室を中庭と先生ステーションの周りに計画して、全体としてリング状の行き止まりのないプランとしています。クラス間の壁も最小限に抑え、自由に行き来できます。
大きな中庭は1階に光と風を届け、子供達はそこで安全で自由に活動することができます。
2・3階はプランの自由度を守りつつできるだけコンパクトにして、大きな園庭を確保しました。
そして、園庭にはキャンパスから直接アクセスできる大階段と2つの丘を用意しました。
子供達は教室と園庭を自由にアクセスでき、日常的には通学・下校時に使い、授業では楽しく丘を駆け回りますが、非常時にもパニックにならずに安全に避難できるように計画しました。
新しいこども園では、旧園舎のステンドグラスや壁画タイル、風見馬などを積極的に使い、外壁は屋根などの色を踏襲することで、卒業生にも親しみを感じてもらえるようにししました。
「昭和こども園」が、昭和女子大学らしいキャンパスの顔としてだけではなく、巣立っていく子供たちの思い出に残る豊かな場となることを望んでいます。
設計担当:納谷学、納谷新、太田諭、島田明生子
構造設計:yAt構造設計事務所 森部康司
設備設計:ZO設計室 柿沼整三
照明計画:岡安泉照明設計事務所 岡安泉
家具設計:藤森泰司アトリエ 藤森泰司
カーテン:安東陽子デザイン 安東陽子
サイン計画:寺田直樹
粟辻デザイン 粟辻美早、粟辻麻喜
施工会社:東急建設株式会社
所在地 :東京都世田谷区
構造形式:地下1階・1階 RC造、2・3階 鉄骨造
敷地面積:3112.93㎡
延床面積:2898.52㎡
掲載誌 :新建築
建築技術
受賞歴 :こども環境学会賞 デザイン奨励賞
日事連建築賞 一般建築部門 奨励賞
昭和女子大学のキャンパス内に建っています。
持ち上げられた園庭には、2つの丘と大階段を用意しました。
園庭では、子供たちが自由に駆け回ります。
大階段は日常的には登下校時に使いますが、非常時には避難を有効にし、キャンパス内の催事には記念撮影のステージに変わります。
非常階段は、日常の遊び場として使い、非常時に子供たちがパニックにならないようにしました。
持ち上げられた園庭の一部は、園庭では緩やかな大きな丘となり、その下ではこども園のエントランスになっています。
緩やかな園庭の下の天井の高いエントランスです。柔らかい光で子供たちを迎えます。
エントランスの正面に先生ステーション(事務スペース)があり、父兄と子供たちからよく見えるようにしました。
先生ステーションの横には、旧園舎で使われていたタイルを貼りました。
1階は、先生ステーションに近いところから0歳児〜2歳児の教室を配置しています。
小さな子供たちの感染症対策に建具で個々の教室を仕切れるようにして、中が見えるようにしました。
子供たちのお昼寝のため、間接照明を多用し柔らかい教室にしました。
中庭の周りには、お休み広場があります。
主に2歳児のための中庭です。泥んこ遊びができるようにしました。
中庭の横には暖炉を用意し、先生の読み聞かせが出来るようにしました。
2階の子供たちは、園庭から出入りします。
2階の年長組の教室はオープンで、個々の教室を自由につなげ授業ができます。
教室を挟んで園庭の反対側には、街に開いたバルコニーが続きます。
街の通りから見たところです。桜が大きくなって子供たちの賑わいが街に溢れるはずです。
3階の遊戯室です。旧園舎の自然をモチーフに山型の天井にしました。
園庭側にデッキテラスを設け、避難時も活用できるようにしました。また正面の小学校と行き来が出来ます。
小学生と園児が交流する半屋外のふれあいスペースを設けました。
ふれあいスペースに隣接した小学生のための食堂です。
父兄が子供たちを迎えに来ました。
内部からの灯りで園庭も明るく、安全に下校できます。
園舎の灯りが、キャンパス内も明るくします。